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第3章
66話 デグとベムの日常
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「デグ村長!」
「おー、どうしたー?」
三年越しで出来た村の祭りをしてから、一週間程経った。
この三年間で建物の方は大分建ってきたので、今は食料確保の為農業に挑戦している所だ。
「デグさん、ベムさんがお呼びです」
「緊急か?」
「いえ、そんな感じでは無かったです」
「なら待たせとけ」
「それは、ちょっとマズイんじゃ……」
「……だな」
あの祭りからベムは何かとやる気を出し、積極的に村の発展になる事に取り組んでいる。
ベム自身、過去に仲間を失ったり、弟の様に可愛がっていたアトスと別れて元気が無かったが、祭りをキッカケに笑顔をまた取り戻した。
今この村の規模は二十五人程いる。これからもどんどん増やしていきたいと思っている。
「おー、ベム待たせたな」
「遅い……。臭い上に遅刻までするなんて救えない……」
「だから毎回言っているだろ! 俺は臭くねーんだよ!」
「……」
「無視するな!」
そんなやり取りをしてから俺達は村の見回りをする。見回りと言っても、まだまだ小さい村なので、見回る箇所は少ない。
「あ! デグさーん! 今度家でお茶でも飲んでって下さいよー!」
「おーう! 今度なー」
「ベムー、今日アレしようよ」
「昨日したばかり……。また今度ね」
俺とベムは毎日見回りしているし、一応責任者的な位置にいる為、良く声をかけられる。とても嬉しいが気恥ずかしい感じがしてしまう。
「よし、特に異常無いな」
「うん、いつも通り……」
「訓練するか」
「うん……」
俺達は、この村を作ると決意してから一日も休まず訓練をしてきた。この歳になってから、今更訓練しても身体能力的なのは恐らく変わらないだろう。そもそも人間族の為身体能力は低い。
今現在、この村は人間族だけしかいないが、今後は種族関係無しの村にしたいと思っている。
だが、今は人間族しか居ない以上、俺達は連携の訓練を主にしている。
ここに来て、運が良いのか、この村を作ってからモンスターはまだ一度も見つけた事は無い。
しかし、いつこの村にもモンスターが来るのか分からない以上、モンスターが攻めて来た時の対処法は準備しとく必要がある。
「訓練場にはみんな集まっているのか?」
「デグじゃないから、みんな遅刻しない……」
「お前は一言多いんだよ」
「……」
「言いたい事言って黙るな!」
この村では、戦闘が出来る人間が男女合わせて十人居る。小型の適正討伐人数も四~五人の為、小型一体ならなんとかなると思っている。だが絶対は無い為、連携の訓練をこの三年間している。
一人でもモンスターの犠牲になり食べられた場合はモンスターが成長して、この村は終わるだろう……。
「おー、みんな集まっているな」
「「「「おはようございます!」」」」
「よし! 今日も訓練するぞー」
「「「「はい!」」」」
戦闘するメンバーも偶然バランスが良く、前衛と後衛が丁度半分ずついる。更に後衛の一人にスキルランクBの奴もいる為、小型なら攻めて来ても大丈夫と、非戦闘員達に言って安心させる事が出来ている。
年齢はバラバラで俺とベムが一番歳上であり、後は順々に年齢が下がっていく感じだ。
周りを見渡すと若い奴らばかりの為、威勢が良いし、まだあどけない顔立ちの者までいる。
俺の見た目は年齢が経つにつれて徐々にシワなどが出来始めたから羨ましいぜ……
そして、どういうわけかベムは一切容姿が変わらず、今でも子供にしか見えない。その為村の女性達には、どうしたらその美貌を保てるか良く聞かれている。
「デグさん! ベムさーん!」
「おーう。こっちだー」
そんな事を考えていると、少し前にモンスターに襲われた人間族の住処がどうなっているか偵察しに行ったチームが帰ってきた。
「訓練中でしたか。今大丈夫ですか?」
「あぁ、構わないぜ」
「では報告なのですが、人間族の住処は見えるところは大分修復されていました」
「見た目は?」
「はい。中型に壊された岩の防壁は治っていました」
「あんな大きい岩を人間の手で治せるものなのか……?」
「私も偵察に行った時は驚きました。ですが、他の仲間も確認済みです」
「そうか……。内部はどうだった?」
「それが……」
「ん?」
「中には入れなかったんですよ」
ん……? 入れないだと?
「理由は?」
「恐らく、内部の体制がボロボロでまだ整っていない為では無いでしょうか?」
なるほど。あの事件で人口の半分は人間族の住処から離れていっただろう。
それに残った人達も中型に大分食われたと思う。それを考えると、人間族の住処に住んでいる者で生き残った人達はかなり少ないのでは無いだろうか?
「今の状況で内部体制をかき乱されたく無い為、規制をかけているって事か?」
「恐らく、そうだと思います。なので私達は外部の大岩くらいしか確認が出来ませんでした」
「商人の出入りも無かったのか?」
「はい。商人の出入りも、一切ありませんでしたし、仮に誰かきても追い返されていました」
あの事件以来、人間族の住処も大分キツイ状況だな……。
もし、内部に入れたら物資など調達したかったがしょうがないか……。
「ご苦労だったな。今日は休んで明日から訓練に参加してくれ」
「わかりました!」
何かあった際の逃げ場として再度人間族の住処にしようと思っていたが、どうやら今は難しいな……。これからも定期的に様子を観察していくしかねーな。
「おー、どうしたー?」
三年越しで出来た村の祭りをしてから、一週間程経った。
この三年間で建物の方は大分建ってきたので、今は食料確保の為農業に挑戦している所だ。
「デグさん、ベムさんがお呼びです」
「緊急か?」
「いえ、そんな感じでは無かったです」
「なら待たせとけ」
「それは、ちょっとマズイんじゃ……」
「……だな」
あの祭りからベムは何かとやる気を出し、積極的に村の発展になる事に取り組んでいる。
ベム自身、過去に仲間を失ったり、弟の様に可愛がっていたアトスと別れて元気が無かったが、祭りをキッカケに笑顔をまた取り戻した。
今この村の規模は二十五人程いる。これからもどんどん増やしていきたいと思っている。
「おー、ベム待たせたな」
「遅い……。臭い上に遅刻までするなんて救えない……」
「だから毎回言っているだろ! 俺は臭くねーんだよ!」
「……」
「無視するな!」
そんなやり取りをしてから俺達は村の見回りをする。見回りと言っても、まだまだ小さい村なので、見回る箇所は少ない。
「あ! デグさーん! 今度家でお茶でも飲んでって下さいよー!」
「おーう! 今度なー」
「ベムー、今日アレしようよ」
「昨日したばかり……。また今度ね」
俺とベムは毎日見回りしているし、一応責任者的な位置にいる為、良く声をかけられる。とても嬉しいが気恥ずかしい感じがしてしまう。
「よし、特に異常無いな」
「うん、いつも通り……」
「訓練するか」
「うん……」
俺達は、この村を作ると決意してから一日も休まず訓練をしてきた。この歳になってから、今更訓練しても身体能力的なのは恐らく変わらないだろう。そもそも人間族の為身体能力は低い。
今現在、この村は人間族だけしかいないが、今後は種族関係無しの村にしたいと思っている。
だが、今は人間族しか居ない以上、俺達は連携の訓練を主にしている。
ここに来て、運が良いのか、この村を作ってからモンスターはまだ一度も見つけた事は無い。
しかし、いつこの村にもモンスターが来るのか分からない以上、モンスターが攻めて来た時の対処法は準備しとく必要がある。
「訓練場にはみんな集まっているのか?」
「デグじゃないから、みんな遅刻しない……」
「お前は一言多いんだよ」
「……」
「言いたい事言って黙るな!」
この村では、戦闘が出来る人間が男女合わせて十人居る。小型の適正討伐人数も四~五人の為、小型一体ならなんとかなると思っている。だが絶対は無い為、連携の訓練をこの三年間している。
一人でもモンスターの犠牲になり食べられた場合はモンスターが成長して、この村は終わるだろう……。
「おー、みんな集まっているな」
「「「「おはようございます!」」」」
「よし! 今日も訓練するぞー」
「「「「はい!」」」」
戦闘するメンバーも偶然バランスが良く、前衛と後衛が丁度半分ずついる。更に後衛の一人にスキルランクBの奴もいる為、小型なら攻めて来ても大丈夫と、非戦闘員達に言って安心させる事が出来ている。
年齢はバラバラで俺とベムが一番歳上であり、後は順々に年齢が下がっていく感じだ。
周りを見渡すと若い奴らばかりの為、威勢が良いし、まだあどけない顔立ちの者までいる。
俺の見た目は年齢が経つにつれて徐々にシワなどが出来始めたから羨ましいぜ……
そして、どういうわけかベムは一切容姿が変わらず、今でも子供にしか見えない。その為村の女性達には、どうしたらその美貌を保てるか良く聞かれている。
「デグさん! ベムさーん!」
「おーう。こっちだー」
そんな事を考えていると、少し前にモンスターに襲われた人間族の住処がどうなっているか偵察しに行ったチームが帰ってきた。
「訓練中でしたか。今大丈夫ですか?」
「あぁ、構わないぜ」
「では報告なのですが、人間族の住処は見えるところは大分修復されていました」
「見た目は?」
「はい。中型に壊された岩の防壁は治っていました」
「あんな大きい岩を人間の手で治せるものなのか……?」
「私も偵察に行った時は驚きました。ですが、他の仲間も確認済みです」
「そうか……。内部はどうだった?」
「それが……」
「ん?」
「中には入れなかったんですよ」
ん……? 入れないだと?
「理由は?」
「恐らく、内部の体制がボロボロでまだ整っていない為では無いでしょうか?」
なるほど。あの事件で人口の半分は人間族の住処から離れていっただろう。
それに残った人達も中型に大分食われたと思う。それを考えると、人間族の住処に住んでいる者で生き残った人達はかなり少ないのでは無いだろうか?
「今の状況で内部体制をかき乱されたく無い為、規制をかけているって事か?」
「恐らく、そうだと思います。なので私達は外部の大岩くらいしか確認が出来ませんでした」
「商人の出入りも無かったのか?」
「はい。商人の出入りも、一切ありませんでしたし、仮に誰かきても追い返されていました」
あの事件以来、人間族の住処も大分キツイ状況だな……。
もし、内部に入れたら物資など調達したかったがしょうがないか……。
「ご苦労だったな。今日は休んで明日から訓練に参加してくれ」
「わかりました!」
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