過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第3章

62話 オークに捕まって……

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 オークの集団がモンスターの方に向かって行ったが、恐らく討伐目的だろう。
 その間、二人のオークが俺達を見張っている。
  
「ここに、オークの村が?」
「そうだ。オークだけでは無くゴブリンと共存している」

 ゴブリンだと!? 俺はこの世界にオークやゴブリンなど居ないと思っていた、しかもモンスター側では無く、人間側としてこの世界では生息している事に驚いている。

 よくアニメやゲームなどではオークやゴブリンと言うとモンスターとしての扱いをされている事が多いが、ここでは人間側に分類されるのか。

「村は大きいのか?」
「そんなに大きくも無い。五十人規模くらいだな」

 オークの一人が俺の質問に答えてくれた。

「ゴブリンと言ったがさっきの集団の中では見えなかったが?」
「戦闘は俺達オークが行う。他はゴブリン達が行う様になっているだけだ」

 なるほど。適材適所って事か。シクの種族講義では、オークやゴブリンの事については習わなかったな。
 他にもシクに教わらなかった種族がいるかもな。

「お兄さん、逃げないの?」

 ロピがオーク達に聞こえない様に小声で聞いてくる。

「オーク達の強さが分からない以上危ない事はやめよう」
「そうだね。怪我しても嫌だもんね」
「分かりました。何かあればいつでも言ってください」

 二人は、再び黙り警戒している。

「お前達、なんでこんな所に?」

 オークが聴いてくる。

「この子達のスキル儀式でな」
「あぁ、その子達十歳なのか?」

 ロピとチルが俺より背が高かった為驚いたらしい。

「貴方達はなんでここに?」
「モンスターの気配がしたからな。間引いているのさ」
「間引く?」
「そうだ。モンスター達がここら辺に大量に居たら困るからな」

 言っている意味は分かるが、モンスターが来たからと言って、一々討伐していたらキリが無いと思うが……。

「アトス様、どうやらモンスターを倒したらしいです」
「オーク達、強いねー」

 先程のオークの集団がモンスターを倒したらしい。
 しばらく、待つと一番最初に声を掛けて来たオークを先頭にゾロゾロと戻ってきた。

「待たせたな。とりあえず俺達の村に案内するから付いて来い」

 俺達はオークの集団と一緒にジャングルを歩き、村に向かった。

「そういえば、名乗って無かったな。俺は村の村長をしている、ディングだ」

 ディングと名乗ったオークは、他のオークと比べて一回り程大きかった。
 オーク自身みんな背が大きいがディングは更に大きい。

 ディング達オークと比べたら、人間族の男達と比べても小さく見えるな。

「俺は、アトスだ。よろしく」
「よろしくな。アトス達はなんでここに?」
「ここに来た事自体は偶然だが、この子らのスキル儀式をする為に村を探していた」
「なるほど。この子らは十歳なのか」

 ディングは先程、俺達を見張っていたオーク達と同じ表情をした。

 ──ックソ……そんなに、驚く事ねぇーのに。
 恐らく俺がロピ達より身長が低い為、儀式を受けるのは俺だと思ったのだろう。

「怪しい感じも無いし、大丈夫だな」
「こんな事情聴取して何かあるのか?」
「最近、俺の村に訪れて悪事を働く奴らがいるからな。念のためだ」
「そうか」

 その時のディングの表情に少し違和感を覚えたが、その事には触れずに俺達が旅に出た経緯や、この一週間程の出来事を説明した。

「村に入る許可をしよう」
「助かる」
「村に帰ればスキル儀式が出来る場所に案内してやろう」

 ディングはロピとチルに向かって笑顔で言うが、二人は警戒しているのか、固い表情のままだ。

 しばらく歩き、少し開けた土地が見え始めた。

「あそこだ、俺達オークとゴブリンの村」

 そこには、簡易的だが家らしき物がポツポツ建っている。
 そして、先程の見張りが言っていた事が本当ならこの村には五十人程住んでいるのか。

 村に着いた俺達はディングの家に案内された。

「今日は俺の家で泊まっていけ。明日スキル儀式をするといい」
「ありがとう。泊まらせて頂く」

 その時扉からノックする音が聴こえる。

「来たか、入れ」
「ディング様、お客様ですか?」
「そうだ。お前の事も紹介しとこうと思ってな」
「それは、有り難い」

 そう言って、俺達の目の前に現れたのは一人のゴブリンだった。

「アトス、紹介しよう。ここの副村長のグダだ」
「グダと申します。よろしくお願いします」

 ディングとは逆に、とにかく腰が低いこの男はグダと言うらしい。ここの家に入ってから、グダは常にニコニコと笑っていて、とても雰囲気のいいゴブリンだ。

「俺はアトス。よろしく」
「アトス様ですね。事情は見張りに少しだけ聞きました。その子達のスキル儀式の為に来られたと」
「そうなんだ。ディングからは明日出来ると聞いたけど大丈夫?」
「ええ、こちらで今から手配しますのでこ安心を」
「グダは俺の右腕なんだ。とても気の利く奴だから、安心して任せとけばいい」
「いえいえ、ディング様が居てこその私です」

 そこからは、たわい無い話をして夕飯をご馳走になってから寝る事にした。
 
「チルちゃん、とうとう明日だね」
「うん。姉さんと私が強くなればアトス様が楽になるもんね!」
「そうだね! お兄さんの為に強くなろう!」

 今はディングに案内された部屋で寝る支度をしている。

「二人がどんなスキルだろうが構わないよ。二人が無事なら、なんでもいいよ」
「「はい!」」

 二人は嬉しそうに返事をした。

「チルちゃん、お兄さんは優しいね!」
「うん! アトス様はやっぱり最高だね!」
「二人とも寝るぞー」
「「はーい」」

 明日はスキル儀式だな。二人がどんなスキルになるか楽しみだ。どんなスキルになろうが、何も変わらないけどな!
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