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第3章
55話 アトス15歳になります!
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「ロピ、チル! 休憩だ」
「「はい」」
人間族の住処から逃げ出して三年の月日が流れた。俺も今年で15歳だ!
そして、ロピとチルはそろそろ10歳になる。
そう、お楽しみのスキル儀式なのだ!
「お兄さーん、スキル儀式いつ行くのー?」
「アトス様、私楽しみです。これでまた一段と強くなれます」
二人は訓練が終わってからもはしゃぎながらこちらに近づいて来る。
「お兄さん、私達の儀式どこでやるのー?」
「まだ、決めてないけど少し旅に出ようか」
「それいいねー!!」
「アトス様流石です」
「チルちゃん、楽しみだね!」
「姉さん、私強いスキルが欲しい」
「私も私も!」
あれから俺達は安全な住処を探す為にひたすら人間族の住処から離れて、暮らせる場所を探し回った。
人間族の住処がその後どうなったかは分からないが恐らく無事では無いだろう……。
俺としては人間族の住処がどうなろうが関係ないな。
デグ達の事だけは心配だ。あの時はまだ長期依頼中だったから恐らく大丈夫だろうと思っている。
やっとの事で安全な場所を探して今は家みたいな物を作り三人で暮らしている。
最初は生きていけるか不安だったが、シクの背中を見て育った俺には、問題無いぜ!
獣人の姉妹とは三年程、一緒に暮らし、大分俺に懐いてくれた感じがする。それとシクがどんな気持ちで子育てしたかも、少しは分かった気がした。
シクが俺を立派に育ててくれた事を、俺もロピとチルに対してしている。
この世界は危険だらけの為、この三年間は徹底的に訓練をした。やはり二人とも獣人族のお陰か今では俺より強くなり、走ったら俺がいつも最下位である。
「お兄さーん、私疲れちゃったー」
そう言って、ロピが俺に抱きついて来て体重を預ける。これだけを見ると十五歳に十歳が抱きついて来て微笑ましいイメージだと思うが、俺からしたら屈辱的な事になっている。
その理由は身長によるモノだ!
俺の身長は何故か男の平均身長を大きく下回った状態で成長が止まってしまった……。
そして、ロピとチルは十歳にして既に男性の平均身長以上に大きくなった。しかもまだ成長し続けているから驚きだ。
「姉さん! アトス様から離れて! 汚い!」
「き、汚い……? チ、チルちゃん、私貴方のお姉ちゃんだよ……?」
ロピは絶望した表情でチルに向きながら言う。
「姉さんの事は好きだよ? だけど、アトス様に敬意を払わない姉さんは嫌い!」
「お兄さーん、チルちゃんがグレた!」
そう言いつつもロピは俺から離れようとしない。十五歳に十歳が抱きついているが、実際他の人から見たらお姉ちゃんが弟に抱きついている様にしか見えないだろう。
「いいから、アトス様から離れて。アトス様が嫌がってる!」
「そんな事ないもーん! お兄さんは嬉しいはずだよ! ね!?」
いつものやり取りだ。チルは俺の事を相当敬ってくれる。
ロピは俺にフランクに接してきて、スキンシップも多い為、チルからしたら敬っている者を蔑ろにされている感じがするらしい。
それとチルは潔癖な所があり男女が抱きつくなんて破廉恥! ってイメージがある様だ。
俺からしたら、二人とも子供にしか思えないから、そういう気持ちは一切無いんだけどな……。
そんな事を考えていたら、お互い俺の腕を引っ張り綱引き状態になっている。
「姉さん、離して!」
「チルちゃんこそお兄さんを離してよ」
「アトス様には敬意を持って接するべき」
「お兄さんは私に抱きつかれて嬉しいはずだよ!」
二人とも獣人族だけあって力が強い為相当な力で両側から引っ張られる。
「痛い! 痛い! 二人とも力強すぎだろ!」
「酷い! 女の子にそんな事言うなんて、お兄さんデリカシー無さすぎ!」
「アトス様、酷いです……」
「なんで、こんな時だけ意見一致するんだよ!!」
チルは大人ぶっているが、すぐ拗ねたりして心は子供そのものだ。ロピはいつも余裕な雰囲気を出すが結構テンパる事が多い。
「二人とも、休憩終わりだ。訓練を始めるぞ」
「「はーい」」
シクに教わった事を復習も兼ねて俺はチルとロピに教えている。
そして、それとは別に三人でのコンビネーション的な訓練もしている。モンスターを倒す前提のコンビネーションでは無く逃げる前提だが。
この三年間で何度か小型に遭遇して分かった事がある。どうやら小型は珍しかったり、強かったり、ランクが高いスキルを使用すると、その使用者にターゲットを変える様だ。
恐らくシクはそれを利用して俺を助ける為にモンスターを引き連れたんだと思う。
なので、俺のスキルは相当珍しい上にランクも高いので、使った瞬間にモンスター達が追いかけてくるから、あまり使用はできない。
コンビネーションではスキルを使用しない様にしないとダメだな……
能力向上は強いと思うが、ますます使い辛いぜ……。
これは昔の人達が珍しいスキルだが使えないって言うのも分かるな。
だが、俺は先読みの訓練だけは引き続き行なっている。やはり俺には先読みする才能があるのか、ロピとチルにも試したが、二人は全く先読みが出来なかった。
なので、二人には先読みの訓練の代わりに身体能力を生かす訓練をしている。
「よし、二人とも! 今日の訓練は終わり」
「疲れたー。お兄さん疲れたから今日は一緒に寝よー」
「ダメ! 姉さん、それだけは許さない!」
「えー、いいじゃーん!」
「二人とも、喧嘩してないで水浴びしてきな」
「「はーい」」
二人は仲良くジャングルの奥に行く。
「さて、いつ旅に出るかな……」
そろそろ二人も十歳なのでスキルを得るために、どこかの村行かないとな……。
「「はい」」
人間族の住処から逃げ出して三年の月日が流れた。俺も今年で15歳だ!
そして、ロピとチルはそろそろ10歳になる。
そう、お楽しみのスキル儀式なのだ!
「お兄さーん、スキル儀式いつ行くのー?」
「アトス様、私楽しみです。これでまた一段と強くなれます」
二人は訓練が終わってからもはしゃぎながらこちらに近づいて来る。
「お兄さん、私達の儀式どこでやるのー?」
「まだ、決めてないけど少し旅に出ようか」
「それいいねー!!」
「アトス様流石です」
「チルちゃん、楽しみだね!」
「姉さん、私強いスキルが欲しい」
「私も私も!」
あれから俺達は安全な住処を探す為にひたすら人間族の住処から離れて、暮らせる場所を探し回った。
人間族の住処がその後どうなったかは分からないが恐らく無事では無いだろう……。
俺としては人間族の住処がどうなろうが関係ないな。
デグ達の事だけは心配だ。あの時はまだ長期依頼中だったから恐らく大丈夫だろうと思っている。
やっとの事で安全な場所を探して今は家みたいな物を作り三人で暮らしている。
最初は生きていけるか不安だったが、シクの背中を見て育った俺には、問題無いぜ!
獣人の姉妹とは三年程、一緒に暮らし、大分俺に懐いてくれた感じがする。それとシクがどんな気持ちで子育てしたかも、少しは分かった気がした。
シクが俺を立派に育ててくれた事を、俺もロピとチルに対してしている。
この世界は危険だらけの為、この三年間は徹底的に訓練をした。やはり二人とも獣人族のお陰か今では俺より強くなり、走ったら俺がいつも最下位である。
「お兄さーん、私疲れちゃったー」
そう言って、ロピが俺に抱きついて来て体重を預ける。これだけを見ると十五歳に十歳が抱きついて来て微笑ましいイメージだと思うが、俺からしたら屈辱的な事になっている。
その理由は身長によるモノだ!
俺の身長は何故か男の平均身長を大きく下回った状態で成長が止まってしまった……。
そして、ロピとチルは十歳にして既に男性の平均身長以上に大きくなった。しかもまだ成長し続けているから驚きだ。
「姉さん! アトス様から離れて! 汚い!」
「き、汚い……? チ、チルちゃん、私貴方のお姉ちゃんだよ……?」
ロピは絶望した表情でチルに向きながら言う。
「姉さんの事は好きだよ? だけど、アトス様に敬意を払わない姉さんは嫌い!」
「お兄さーん、チルちゃんがグレた!」
そう言いつつもロピは俺から離れようとしない。十五歳に十歳が抱きついているが、実際他の人から見たらお姉ちゃんが弟に抱きついている様にしか見えないだろう。
「いいから、アトス様から離れて。アトス様が嫌がってる!」
「そんな事ないもーん! お兄さんは嬉しいはずだよ! ね!?」
いつものやり取りだ。チルは俺の事を相当敬ってくれる。
ロピは俺にフランクに接してきて、スキンシップも多い為、チルからしたら敬っている者を蔑ろにされている感じがするらしい。
それとチルは潔癖な所があり男女が抱きつくなんて破廉恥! ってイメージがある様だ。
俺からしたら、二人とも子供にしか思えないから、そういう気持ちは一切無いんだけどな……。
そんな事を考えていたら、お互い俺の腕を引っ張り綱引き状態になっている。
「姉さん、離して!」
「チルちゃんこそお兄さんを離してよ」
「アトス様には敬意を持って接するべき」
「お兄さんは私に抱きつかれて嬉しいはずだよ!」
二人とも獣人族だけあって力が強い為相当な力で両側から引っ張られる。
「痛い! 痛い! 二人とも力強すぎだろ!」
「酷い! 女の子にそんな事言うなんて、お兄さんデリカシー無さすぎ!」
「アトス様、酷いです……」
「なんで、こんな時だけ意見一致するんだよ!!」
チルは大人ぶっているが、すぐ拗ねたりして心は子供そのものだ。ロピはいつも余裕な雰囲気を出すが結構テンパる事が多い。
「二人とも、休憩終わりだ。訓練を始めるぞ」
「「はーい」」
シクに教わった事を復習も兼ねて俺はチルとロピに教えている。
そして、それとは別に三人でのコンビネーション的な訓練もしている。モンスターを倒す前提のコンビネーションでは無く逃げる前提だが。
この三年間で何度か小型に遭遇して分かった事がある。どうやら小型は珍しかったり、強かったり、ランクが高いスキルを使用すると、その使用者にターゲットを変える様だ。
恐らくシクはそれを利用して俺を助ける為にモンスターを引き連れたんだと思う。
なので、俺のスキルは相当珍しい上にランクも高いので、使った瞬間にモンスター達が追いかけてくるから、あまり使用はできない。
コンビネーションではスキルを使用しない様にしないとダメだな……
能力向上は強いと思うが、ますます使い辛いぜ……。
これは昔の人達が珍しいスキルだが使えないって言うのも分かるな。
だが、俺は先読みの訓練だけは引き続き行なっている。やはり俺には先読みする才能があるのか、ロピとチルにも試したが、二人は全く先読みが出来なかった。
なので、二人には先読みの訓練の代わりに身体能力を生かす訓練をしている。
「よし、二人とも! 今日の訓練は終わり」
「疲れたー。お兄さん疲れたから今日は一緒に寝よー」
「ダメ! 姉さん、それだけは許さない!」
「えー、いいじゃーん!」
「二人とも、喧嘩してないで水浴びしてきな」
「「はーい」」
二人は仲良くジャングルの奥に行く。
「さて、いつ旅に出るかな……」
そろそろ二人も十歳なのでスキルを得るために、どこかの村行かないとな……。
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