47 / 492
第2章
46話 戦闘開始
しおりを挟む
ロピに追いついた先には、あの男が居た……。
「あ?──ッなんで、お前がいんだよ!!」
男は先程ボコボコにした奴が、また自分の目の前に現れてイラついているらしい。
コイツこそ、なんでここに居るんだ?!
「ガキ! まだ足りねぇのか?」
男が大声で俺に向かって言葉を放つ。俺はここ最近、この男に何度も殴られたり蹴られたりした為か、身体が勝手に強張るのが分かる。
だが、今回はココで引くわけにはいかない。
「──ッうるせ! お前に関係ねぇーだろ」
「あるんだよ! コイツらは俺の物なんだよ!」
そう言って、男はチルの首に腕を強引に回し自分に引き寄せる。
「うぅ……」
「──ッチルちゃん!! やめて!」
「ギャハハ! だったらする事は分かっているんだろ?」
ロピは諦めた表情をして、服を脱ぎながら男にゆっくり近づく。
そして、一瞬俺の方を見て小声で俺に言う。
「あはは、お兄さんの事騙したからバチが当たったんだね。こんな事言えた義理じゃないけど、さっきの計画チルちゃんだけでも連れてって!」
そう言って、ロピは男の方にゆっくりと歩いて行く。
その歩く様子は悲壮感が漂っており、とてもじゃ無いが、このまま逃げようなどは考えも付かない。
どうする?! って迷っている場合じゃねぇーよな!
俺は無理だと分かっていても男に向かって走り出す。ロピは俺が抜き去った事に驚き目を丸くしていた。
「──ッガキが! 何度やられれば気がすむんだよ!」
弱い者が何度も立ち向かって来るのに、かなりイラついている様だ。
「ロピとチルはお前の物なんかじゃねぇ!」
俺はスライディング気味に男の足元を蹴るが、男はスンナリと避けて俺にカウンターが飛んでくる。
「グフッ」
「生かしてやったのに、バカかテメェは!」
俺の動きが止まった拍子に男は次々と攻撃を浴びせてくる。
前に殴られた時より攻撃が重い?!
「何驚いた顔しているんだよ! 前は手加減してやってたんだよ。ギャハハ」
男が言っている事は本当らしく、前に殴られた時より身体の芯に残る攻撃だ。
「オラオラ!」
顔面はボコボコに腫れて、目は半分塞がっている。
「や、やめて! お兄さんを虐めないでよ!」
「あ? ロピ、テメェ! こんなガキ庇っている暇があるなら、俺の相手をしてればいいんだよ!」
「キャ!!」
男はロピに平手打ちをする。
「ね、姉さん!! お前!! 許さない!!」
姉が攻撃された事に怒ったのか、妹のチルが男に向かって走る。
「お前も、このガキと同じく教育が必要らしいな」
男の平手だった手が握り拳に変化した。チルの事を殴るつもりか……。
俺も男に向かって殴りに行きたいが、身体が動かない。
……く……そ……。また俺はシクの時と同じで見ているだけしか出来ないのかよ……。
そんなの……嫌だッ! 俺は諦めねぇーぞ!
半分塞がっていた目蓋を痛みも気にせずに俺は目を見開いた。
チルは男に殴られる瞬間!
集中しろ……集中だ。
「おい! ロピ、お前の妹が殴られる所見とけよー。ギャハハ」
「やめて! 何でもするからチルちゃんだけは!」
「姉さんを虐める奴は絶対許さない」
「お前見たいな獣人のガキに何が出来るんだよ、ギャハハ」
……集中。……集中。……集中。
「ガード!」
俺は儀式から初めて、スキルを発動させた。
チルが男に向かって走るラインを予測して、そのライン上に青いラインを敷く。
カカと同じスキルの筈だが、カカとはスキルの範囲が全然違った。
カカの青いラインは十メートル程の長さしか無かったが、俺の青ラインはとてつもなく長かった。百メートルくらいあんじゃ無いか?!
俺以外は見えないその青ラインの上をチルが走る。
そして、俺のスキルの恩恵を受けているチルを男が殴る……
「オラ! ……ッ!?」
男はか弱い獣人の少女を殴った筈なのに、拳に伝わる衝撃は、まるで岩を殴ったような顔をしている。
「──ッな、なんだ!?」
男は痛む拳を抑えて、チルを見る。
チルも確かに殴られた筈なのに、全く痛みが無い事に驚いている様だ。
──ッよし! なんとか成功した。カカにスキルの説明をしてもらった次の日から先読みの訓練を特に意識してきた結果が出たぜ!
男は何かの間違えだろうと思ったのか再びチルの事を殴る。
「ガード!」
俺は再び青ラインをチルのいる場所に敷く。
「──ッな、なんなんだよ!」
男は両方の拳を痛めてしまったのか、両腕をダランと下に下ろしている。そして、チルに何かあると思い全力でチルから離れる様に後ろに飛ぶ。
それを機にロピは妹のチルに駆け寄る。
「チルちゃん! 大丈夫!? あの男に何もされなかった?」
「う、うん。私は大丈夫。姉さんこそ大丈夫?」
姉妹はお互いの安全を確認して安堵のため息を吐く。そして、姉妹は床に倒れている俺の方を見る。
「お兄さん、この状況ってお兄さんがやった?」
「……」
ロピとチルは真剣な目で俺を見ていた。
「あぁ。俺のスキルだ! ロピ! チル! このままアイツをぶっ飛ばすぞ!」
俺の言葉に姉妹は表情を引き締めて返事をする。
「「──ッはい!!」」
男は状況が飲み込めず、未だ離れた位置でこちらの様子を窺っている。
「あ?──ッなんで、お前がいんだよ!!」
男は先程ボコボコにした奴が、また自分の目の前に現れてイラついているらしい。
コイツこそ、なんでここに居るんだ?!
「ガキ! まだ足りねぇのか?」
男が大声で俺に向かって言葉を放つ。俺はここ最近、この男に何度も殴られたり蹴られたりした為か、身体が勝手に強張るのが分かる。
だが、今回はココで引くわけにはいかない。
「──ッうるせ! お前に関係ねぇーだろ」
「あるんだよ! コイツらは俺の物なんだよ!」
そう言って、男はチルの首に腕を強引に回し自分に引き寄せる。
「うぅ……」
「──ッチルちゃん!! やめて!」
「ギャハハ! だったらする事は分かっているんだろ?」
ロピは諦めた表情をして、服を脱ぎながら男にゆっくり近づく。
そして、一瞬俺の方を見て小声で俺に言う。
「あはは、お兄さんの事騙したからバチが当たったんだね。こんな事言えた義理じゃないけど、さっきの計画チルちゃんだけでも連れてって!」
そう言って、ロピは男の方にゆっくりと歩いて行く。
その歩く様子は悲壮感が漂っており、とてもじゃ無いが、このまま逃げようなどは考えも付かない。
どうする?! って迷っている場合じゃねぇーよな!
俺は無理だと分かっていても男に向かって走り出す。ロピは俺が抜き去った事に驚き目を丸くしていた。
「──ッガキが! 何度やられれば気がすむんだよ!」
弱い者が何度も立ち向かって来るのに、かなりイラついている様だ。
「ロピとチルはお前の物なんかじゃねぇ!」
俺はスライディング気味に男の足元を蹴るが、男はスンナリと避けて俺にカウンターが飛んでくる。
「グフッ」
「生かしてやったのに、バカかテメェは!」
俺の動きが止まった拍子に男は次々と攻撃を浴びせてくる。
前に殴られた時より攻撃が重い?!
「何驚いた顔しているんだよ! 前は手加減してやってたんだよ。ギャハハ」
男が言っている事は本当らしく、前に殴られた時より身体の芯に残る攻撃だ。
「オラオラ!」
顔面はボコボコに腫れて、目は半分塞がっている。
「や、やめて! お兄さんを虐めないでよ!」
「あ? ロピ、テメェ! こんなガキ庇っている暇があるなら、俺の相手をしてればいいんだよ!」
「キャ!!」
男はロピに平手打ちをする。
「ね、姉さん!! お前!! 許さない!!」
姉が攻撃された事に怒ったのか、妹のチルが男に向かって走る。
「お前も、このガキと同じく教育が必要らしいな」
男の平手だった手が握り拳に変化した。チルの事を殴るつもりか……。
俺も男に向かって殴りに行きたいが、身体が動かない。
……く……そ……。また俺はシクの時と同じで見ているだけしか出来ないのかよ……。
そんなの……嫌だッ! 俺は諦めねぇーぞ!
半分塞がっていた目蓋を痛みも気にせずに俺は目を見開いた。
チルは男に殴られる瞬間!
集中しろ……集中だ。
「おい! ロピ、お前の妹が殴られる所見とけよー。ギャハハ」
「やめて! 何でもするからチルちゃんだけは!」
「姉さんを虐める奴は絶対許さない」
「お前見たいな獣人のガキに何が出来るんだよ、ギャハハ」
……集中。……集中。……集中。
「ガード!」
俺は儀式から初めて、スキルを発動させた。
チルが男に向かって走るラインを予測して、そのライン上に青いラインを敷く。
カカと同じスキルの筈だが、カカとはスキルの範囲が全然違った。
カカの青いラインは十メートル程の長さしか無かったが、俺の青ラインはとてつもなく長かった。百メートルくらいあんじゃ無いか?!
俺以外は見えないその青ラインの上をチルが走る。
そして、俺のスキルの恩恵を受けているチルを男が殴る……
「オラ! ……ッ!?」
男はか弱い獣人の少女を殴った筈なのに、拳に伝わる衝撃は、まるで岩を殴ったような顔をしている。
「──ッな、なんだ!?」
男は痛む拳を抑えて、チルを見る。
チルも確かに殴られた筈なのに、全く痛みが無い事に驚いている様だ。
──ッよし! なんとか成功した。カカにスキルの説明をしてもらった次の日から先読みの訓練を特に意識してきた結果が出たぜ!
男は何かの間違えだろうと思ったのか再びチルの事を殴る。
「ガード!」
俺は再び青ラインをチルのいる場所に敷く。
「──ッな、なんなんだよ!」
男は両方の拳を痛めてしまったのか、両腕をダランと下に下ろしている。そして、チルに何かあると思い全力でチルから離れる様に後ろに飛ぶ。
それを機にロピは妹のチルに駆け寄る。
「チルちゃん! 大丈夫!? あの男に何もされなかった?」
「う、うん。私は大丈夫。姉さんこそ大丈夫?」
姉妹はお互いの安全を確認して安堵のため息を吐く。そして、姉妹は床に倒れている俺の方を見る。
「お兄さん、この状況ってお兄さんがやった?」
「……」
ロピとチルは真剣な目で俺を見ていた。
「あぁ。俺のスキルだ! ロピ! チル! このままアイツをぶっ飛ばすぞ!」
俺の言葉に姉妹は表情を引き締めて返事をする。
「「──ッはい!!」」
男は状況が飲み込めず、未だ離れた位置でこちらの様子を窺っている。
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
異世界召喚された俺は余分な子でした
KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。
サブタイトル
〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
わがまま令嬢の末路
遺灰
ファンタジー
清く正しく美しく、頑張って生きた先に待っていたのは断頭台でした。
悪役令嬢として死んだ私は、今度は自分勝手に我がままに生きると決めた。我慢なんてしないし、欲しいものは必ず手に入れてみせる。
あの薄暗い牢獄で夢見た未来も、あの子も必ずこの手にーーー。
***
これは悪役令嬢が人生をやり直すチャンスを手に入れ、自由を目指して生きる物語。彼女が辿り着くのは、地獄か天国か。例えどんな結末を迎えようとも、それを決めるのは彼女自身だ。
(※内容は小説家になろうに投稿されているものと同一)
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる