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第2章
45話 スラム街脱出計画……しかし……
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「いてて……」
俺に暴行を加えて男達は去っていく。ロピに騙されちゃったな……。
昨日の痛みに追加で更に身体が痛むな。
しばらくその場で動けなかったが、休んでいる内に徐々に身体が動く様になった頃、近くで物音が聞こえた。
「──ッ!?」
まだ、男達の仲間が居たのかと思い警戒を強める。
「……」
「お兄さん、大丈夫……?」
物陰から、ロピが顔を出している。
「ロピか、大丈夫だよ」
「ゴメンね……」
とても、申し訳無さそうな顔でこちらに近づいて来る。
「よくも俺をアイツらに売りやがったな」
俺は、なるべく怒ってない事を伝わる様に笑いながら、ロピのおデコに軽くデコピンする。
「いたッ」
デコピンされた額を両手で抑えて俺の事を睨んでくるロピ。
「お兄さん、ひどーい」
「これくらい、されて当たり前だろ!」
「女の子に手をあげるのは良くない!」
「うるさい! あんな酷い事して、そんな事言う資格はない!」
ロピは、ここでやっと笑顔になった。
「えへへ。お兄さん元気そうで良かった!」
「身体はボロボロだけどな!」
俺がロピに手を近づけると、もう一度デコピンされると思ったのか、目をギュっと瞑った。
俺はおかしくて笑いながら、ロピの頭を撫でてやる。
「!?」
ロピは驚きながらも嫌がらずに受け入れている。
「えへへ」
「なんか、理由があったんだろ?」
俺はロピが悪い子には見えない為理由を聞いてみた。
「アイツらが、チルちゃんを私と同じ目に合わすからって言われて……」
「そうか……」
「お兄さんと仲良くしていた所を見られて、チルちゃんを見逃す代わりに連れて来いって言われた……」
「妹の為か。ならしょうがない!」
「許してくれる?」
「もともと、怒ってないよ。それに家族の為なら、何だってやる気持ちは分かるさ……」
ロピは安心したのか、いつもの笑顔に戻った。
それにしても、アイツらチルまで狙っているのか。
「ロピ、一個提案なんだが」
「なーに?」
「俺と一緒に三人で住まないか?」
「お兄さんと?」
「そうだ。俺とロピとチルの三人だ」
「でも、私達はスラム街にしか住めないよ」
ロピは自分で言って落ち込んでいた。
「人間族の住処を出ようぜ!」
「……そんな事出来るの?」
スラム街の住人は基本スラム街から出られない。だが、例外が一つある。それは奴隷になる事だ。だけどその手はあまり使いたくない。他に何か良い手があればな……。
「ロピとチルが嫌で無ければ、このスラム街から逃げようぜ」
「お兄さんと?」
「そうだ。スラム街を出たら、そのまま人間族の住処を出よう」
「そこからどこ行くの?」
「そうだな……。適当に旅にでも行くか」
ロピは、旅の事を想像したのか物凄いいい笑顔で俺に言った。
「うん! 私はお兄さんとチルちゃんと三人で、ここから出たい!」
「よし! なら直ぐにでもココから逃げ出す準備をするか!」
「でも、待って。チルちゃんに聞かないと。私だけでは決められない……」
「なら、明日また来るよ。その時に返事を聞かせてくれるか?」
ロピは笑顔でコクンと頷く。俺もどうやって、ここから、ロピとチルを連れ出そうかな……。
「よし! なら今日は一旦帰ろう。送って行くよ」
「うん! チルちゃんの事をなんとしてでも説得してここから出てやる!」
ロピは両手を握り決意している様だ。何も考えずに決めてしまったが、これでいいんだ。シクは今の俺くらいの年齢で赤ん坊だった俺を育ててくれた。
俺は過去の年齢も足したら約40歳くらいな訳だし、子供二人育てるくらい大丈夫……だよな?
この身体になってから精神年齢も引っ張られて子供ぽい言動や考え方になっている自覚はある。
「お兄さん、私達の新居はこっちだよー!」
「ロピ、そんなに手を引っ張らないでくれ」
「あはは、お兄さん遅ーい!」
俺とロピは話しながらロピの家に向かった。
「とーちゃーく!」
「ここが新居か」
「チルちゃーん! お姉さんが帰ってきたよー」
ロピはよっぽどさっきの提案が嬉しかったのか、チルに早く伝えたい様で妹の方に小走りで向かっていった。
後はチルの了承を得たら、ここを抜け出して人間族の住処も出て行って、その後はその時考えよう! そんな事を考えていたらロピの声が響く。
「チルちゃん!」
ロピの悲鳴を聞いて、俺は直ぐ駆け出す。
「どうした!?」
俺がロピの所に着いた時には、どういう状況か一目で分かった。
「ギャハハ! ロピ遅いじゃねぇーか」
あの男達のリーダー格が何故かロピとチルの住んでいる所に居た……。
俺に暴行を加えて男達は去っていく。ロピに騙されちゃったな……。
昨日の痛みに追加で更に身体が痛むな。
しばらくその場で動けなかったが、休んでいる内に徐々に身体が動く様になった頃、近くで物音が聞こえた。
「──ッ!?」
まだ、男達の仲間が居たのかと思い警戒を強める。
「……」
「お兄さん、大丈夫……?」
物陰から、ロピが顔を出している。
「ロピか、大丈夫だよ」
「ゴメンね……」
とても、申し訳無さそうな顔でこちらに近づいて来る。
「よくも俺をアイツらに売りやがったな」
俺は、なるべく怒ってない事を伝わる様に笑いながら、ロピのおデコに軽くデコピンする。
「いたッ」
デコピンされた額を両手で抑えて俺の事を睨んでくるロピ。
「お兄さん、ひどーい」
「これくらい、されて当たり前だろ!」
「女の子に手をあげるのは良くない!」
「うるさい! あんな酷い事して、そんな事言う資格はない!」
ロピは、ここでやっと笑顔になった。
「えへへ。お兄さん元気そうで良かった!」
「身体はボロボロだけどな!」
俺がロピに手を近づけると、もう一度デコピンされると思ったのか、目をギュっと瞑った。
俺はおかしくて笑いながら、ロピの頭を撫でてやる。
「!?」
ロピは驚きながらも嫌がらずに受け入れている。
「えへへ」
「なんか、理由があったんだろ?」
俺はロピが悪い子には見えない為理由を聞いてみた。
「アイツらが、チルちゃんを私と同じ目に合わすからって言われて……」
「そうか……」
「お兄さんと仲良くしていた所を見られて、チルちゃんを見逃す代わりに連れて来いって言われた……」
「妹の為か。ならしょうがない!」
「許してくれる?」
「もともと、怒ってないよ。それに家族の為なら、何だってやる気持ちは分かるさ……」
ロピは安心したのか、いつもの笑顔に戻った。
それにしても、アイツらチルまで狙っているのか。
「ロピ、一個提案なんだが」
「なーに?」
「俺と一緒に三人で住まないか?」
「お兄さんと?」
「そうだ。俺とロピとチルの三人だ」
「でも、私達はスラム街にしか住めないよ」
ロピは自分で言って落ち込んでいた。
「人間族の住処を出ようぜ!」
「……そんな事出来るの?」
スラム街の住人は基本スラム街から出られない。だが、例外が一つある。それは奴隷になる事だ。だけどその手はあまり使いたくない。他に何か良い手があればな……。
「ロピとチルが嫌で無ければ、このスラム街から逃げようぜ」
「お兄さんと?」
「そうだ。スラム街を出たら、そのまま人間族の住処を出よう」
「そこからどこ行くの?」
「そうだな……。適当に旅にでも行くか」
ロピは、旅の事を想像したのか物凄いいい笑顔で俺に言った。
「うん! 私はお兄さんとチルちゃんと三人で、ここから出たい!」
「よし! なら直ぐにでもココから逃げ出す準備をするか!」
「でも、待って。チルちゃんに聞かないと。私だけでは決められない……」
「なら、明日また来るよ。その時に返事を聞かせてくれるか?」
ロピは笑顔でコクンと頷く。俺もどうやって、ここから、ロピとチルを連れ出そうかな……。
「よし! なら今日は一旦帰ろう。送って行くよ」
「うん! チルちゃんの事をなんとしてでも説得してここから出てやる!」
ロピは両手を握り決意している様だ。何も考えずに決めてしまったが、これでいいんだ。シクは今の俺くらいの年齢で赤ん坊だった俺を育ててくれた。
俺は過去の年齢も足したら約40歳くらいな訳だし、子供二人育てるくらい大丈夫……だよな?
この身体になってから精神年齢も引っ張られて子供ぽい言動や考え方になっている自覚はある。
「お兄さん、私達の新居はこっちだよー!」
「ロピ、そんなに手を引っ張らないでくれ」
「あはは、お兄さん遅ーい!」
俺とロピは話しながらロピの家に向かった。
「とーちゃーく!」
「ここが新居か」
「チルちゃーん! お姉さんが帰ってきたよー」
ロピはよっぽどさっきの提案が嬉しかったのか、チルに早く伝えたい様で妹の方に小走りで向かっていった。
後はチルの了承を得たら、ここを抜け出して人間族の住処も出て行って、その後はその時考えよう! そんな事を考えていたらロピの声が響く。
「チルちゃん!」
ロピの悲鳴を聞いて、俺は直ぐ駆け出す。
「どうした!?」
俺がロピの所に着いた時には、どういう状況か一目で分かった。
「ギャハハ! ロピ遅いじゃねぇーか」
あの男達のリーダー格が何故かロピとチルの住んでいる所に居た……。
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