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第2章
44話 ロピの裏切り……
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今日は獣人姉妹と会う。
「さて、スラム街に行くか」
冒険者になったにも拘わらず俺はまだ一度も依頼を受けてないな。
まぁ、今は獣人姉妹の事が気になっているから、しょうがないよな!
俺は朝も早くから、昨日の待ち合わせ場所に着き待つ事にした。
しばらく待つと二人がこちらに歩いてきた。
「やぁ、ロピ。来てくれて嬉しいよ」
「お兄さん、お待たせー、待った?」
姉妹が来たが、姉のロピは昨日と同じく、ニコニコして俺に挨拶してくれた。妹は険しい顔をしてこちらを警戒していた。
「お兄さん、この子が私の可愛い妹のチルちゃんだよ!」
「俺はアトス、よろしくね」
俺は警戒している、チルに笑顔で挨拶した。
「よろしく、お願いします」
「敬語じゃなくていいんだよ?」
「……」
チルは何も答えない。
「あはは、チルちゃん緊張しているのー?」
「姉さん、やっぱり人間族と会うのは危ないよ」
「大丈夫大丈夫。このお兄さんは昨日助けてくれたから!」
助けたと言うのは昨日のガラの悪い男の時だろうか?
「でも……」
チルは少し困った顔になり姉を見ていた。
最初はシクみたいに表情が変わらない子かと思ったが、チルはコロコロ表情が変わる。素の表情は常に険しい感じだが。
逆に姉のロピは常にニコニコ笑っていて表情が変わらない。
「まずは、約束通りご飯でも行こうか」
「そうそう、チルちゃん! このお兄さんがご飯奢ってくれるんだって」
「尚更、怪しいよ」
「大丈夫大丈夫ー。ほらチルちゃん行くよー」
ロピがチルの手を握り俺達は飯屋に向かった。
スラム街も一つの町として成り立っており、飯屋や宿屋、遊楽街的な場所まである。ちょっと行ってみたいが俺の年齢だとまだ早いか。
「お兄さん、どこ行くつもりなのー?」
「うーん、俺スラム街の美味しい場所分からないから、逆に行きたい場所いこうか」
「ほんとー? ならチルちゃんが前に食べたいって言ってた場所行こ!」
「姉さん、あそこ結構高いよ?」
「私達が払うわけじゃないから大丈夫だよ!」
「……あはは」
妹のチルは結構な常識人だが、姉のロピは結構良い性格しているな……
「まぁ、いいよ。多少高い所でも」
「お兄さん、太っ腹!」
俺も全然お金無いが、ここはしょうがない。
そこから、ロピの案内でしばらく歩き、飯屋に到着する。
「ここだよー」
結構立派な建物だな。スラム街でも馬鹿に出来ない。俺金足りるか……?
今日はご飯を奢るつもりだったので俺の全財産を持ってきた。
「あ!? チルちゃんゴメーン」
「どうしたの、姉さん?」
「あって、無いような物だけど新しい家の鍵かけ忘れて来ちゃった!」
「私、閉めてくるね」
「ありがとうー」
鍵は大事だな。しかもこんな場所なら尚更だ。
「お兄さん、チルちゃんは後で合流って事で!」
「あぁ、もちろん大丈夫だよ」
「ならチルちゃん、家の鍵お願いね!」
「うん」
そう言ってチルは走って家に戻った。
「さて! お兄さんお店入ろうか」
「うん、そうだね」
俺とロピは店に入った。そして入った瞬間おかしい雰囲気を感じた。
「よー、ロピ! ご苦労様」
「……」
店に入ったら、何故か昨日、俺を殴った男がそこに座っていた。
他にも仲間なのかガラの悪そうな奴らが数人ニヤニヤ笑いながらこっちを見ていた。
「なんで、お前らがいるんだよ……?」
「ギャハハ! こいつまだ気付いてないぜ?」
「「「ギャハハ」」」
男達が汚い笑みをしている。
「どういうことだ……?」
「お前、ロピに騙されたんだよ!」
「え……?」
俺はロピを見つめる。
「……お兄さんゴメンね」
「ロピ、お前はもう行っていいぞ。また今度楽しませてくれ」
ロピは俺の事を一瞬見てから黙って店を出る。
「お前、最近スラム街の住人でもない癖にウロついていただろ?」
「ガキ! お前目障りなんだよ!」
「「「そうだ、そうだ!」」」
リーダ格の男が俺に向かって汚い笑みを向けて言う。
「まぁ、そういう事だから二度とスラム街に来ないように痛めつけようと思って、ロピに協力して貰ったんだよ。お前も俺と同じで獣人好きなんだろ?」
「「「ギャハハ」」」
そうか……。ロピに騙されちゃったか……。
そこからは一方的に男達に殴られ、蹴られた。そして、俺の全財産も盗られて大怪我一歩手前で解放された……
「さて、スラム街に行くか」
冒険者になったにも拘わらず俺はまだ一度も依頼を受けてないな。
まぁ、今は獣人姉妹の事が気になっているから、しょうがないよな!
俺は朝も早くから、昨日の待ち合わせ場所に着き待つ事にした。
しばらく待つと二人がこちらに歩いてきた。
「やぁ、ロピ。来てくれて嬉しいよ」
「お兄さん、お待たせー、待った?」
姉妹が来たが、姉のロピは昨日と同じく、ニコニコして俺に挨拶してくれた。妹は険しい顔をしてこちらを警戒していた。
「お兄さん、この子が私の可愛い妹のチルちゃんだよ!」
「俺はアトス、よろしくね」
俺は警戒している、チルに笑顔で挨拶した。
「よろしく、お願いします」
「敬語じゃなくていいんだよ?」
「……」
チルは何も答えない。
「あはは、チルちゃん緊張しているのー?」
「姉さん、やっぱり人間族と会うのは危ないよ」
「大丈夫大丈夫。このお兄さんは昨日助けてくれたから!」
助けたと言うのは昨日のガラの悪い男の時だろうか?
「でも……」
チルは少し困った顔になり姉を見ていた。
最初はシクみたいに表情が変わらない子かと思ったが、チルはコロコロ表情が変わる。素の表情は常に険しい感じだが。
逆に姉のロピは常にニコニコ笑っていて表情が変わらない。
「まずは、約束通りご飯でも行こうか」
「そうそう、チルちゃん! このお兄さんがご飯奢ってくれるんだって」
「尚更、怪しいよ」
「大丈夫大丈夫ー。ほらチルちゃん行くよー」
ロピがチルの手を握り俺達は飯屋に向かった。
スラム街も一つの町として成り立っており、飯屋や宿屋、遊楽街的な場所まである。ちょっと行ってみたいが俺の年齢だとまだ早いか。
「お兄さん、どこ行くつもりなのー?」
「うーん、俺スラム街の美味しい場所分からないから、逆に行きたい場所いこうか」
「ほんとー? ならチルちゃんが前に食べたいって言ってた場所行こ!」
「姉さん、あそこ結構高いよ?」
「私達が払うわけじゃないから大丈夫だよ!」
「……あはは」
妹のチルは結構な常識人だが、姉のロピは結構良い性格しているな……
「まぁ、いいよ。多少高い所でも」
「お兄さん、太っ腹!」
俺も全然お金無いが、ここはしょうがない。
そこから、ロピの案内でしばらく歩き、飯屋に到着する。
「ここだよー」
結構立派な建物だな。スラム街でも馬鹿に出来ない。俺金足りるか……?
今日はご飯を奢るつもりだったので俺の全財産を持ってきた。
「あ!? チルちゃんゴメーン」
「どうしたの、姉さん?」
「あって、無いような物だけど新しい家の鍵かけ忘れて来ちゃった!」
「私、閉めてくるね」
「ありがとうー」
鍵は大事だな。しかもこんな場所なら尚更だ。
「お兄さん、チルちゃんは後で合流って事で!」
「あぁ、もちろん大丈夫だよ」
「ならチルちゃん、家の鍵お願いね!」
「うん」
そう言ってチルは走って家に戻った。
「さて! お兄さんお店入ろうか」
「うん、そうだね」
俺とロピは店に入った。そして入った瞬間おかしい雰囲気を感じた。
「よー、ロピ! ご苦労様」
「……」
店に入ったら、何故か昨日、俺を殴った男がそこに座っていた。
他にも仲間なのかガラの悪そうな奴らが数人ニヤニヤ笑いながらこっちを見ていた。
「なんで、お前らがいるんだよ……?」
「ギャハハ! こいつまだ気付いてないぜ?」
「「「ギャハハ」」」
男達が汚い笑みをしている。
「どういうことだ……?」
「お前、ロピに騙されたんだよ!」
「え……?」
俺はロピを見つめる。
「……お兄さんゴメンね」
「ロピ、お前はもう行っていいぞ。また今度楽しませてくれ」
ロピは俺の事を一瞬見てから黙って店を出る。
「お前、最近スラム街の住人でもない癖にウロついていただろ?」
「ガキ! お前目障りなんだよ!」
「「「そうだ、そうだ!」」」
リーダ格の男が俺に向かって汚い笑みを向けて言う。
「まぁ、そういう事だから二度とスラム街に来ないように痛めつけようと思って、ロピに協力して貰ったんだよ。お前も俺と同じで獣人好きなんだろ?」
「「「ギャハハ」」」
そうか……。ロピに騙されちゃったか……。
そこからは一方的に男達に殴られ、蹴られた。そして、俺の全財産も盗られて大怪我一歩手前で解放された……
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