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第1章
31話 命の恩人
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アトスはちゃんと逃げられたかな……?
私は小型に追われながらアトスの無事を願っていた。次会った時は怒られるだろうな……。その時を想像して、つい苦笑いをしてしまう。
さて、この追ってきている小型からどう逃げ切るかだな。
本気で走れば少しは引き離せるとおもったが、どうやらこの小型は引き離せる気配が無い。
一時的に見えなくなるが、確実に私を認知して追ってきている。
……ん?
小型から逃げていると、更にモンスターを察知した。
だが、モンスターだけでは無く、人の気配もするな。
よし。この人間に小型を擦りつけるか。
そうと決めた私はもう一つの気配の方向に逃げる事にした。
恐らく、冒険者だろう。前にも察知したが、最近はここら辺に人間達が来るようになったのか?
それから、少しスピードを上げて向かっていたら、直ぐに着いた。
「あそこか」
見ると、人間族が二人居た。
一人は大柄の男だ。アトスとは違って筋肉の鎧に包まれており、少女を守るように前に出ていた。
もう一人は小柄の少女だった。どうやら、小型相手に絶望したのか地面に座り込んでおり、小型に攻撃されたら絶対に助からないだろう……。
私は冒険者達の前に着地した。
「「──ッ!?」」
私が突然登場した事により、かなり驚いている。
「獣人……か?」
大柄の男が私を見て呟く。
「そうだ。お前らは何故こんな場所に小型と居る?」
「冒険者としての依頼でここらの薬草を採取しに来ていたが、途中小型に襲われてな。一人が犠牲になり一人は逃げ出した……」
何かを思い出したのか、大柄の男と少女は悲しい表情をした後に、怒りを含む表情になった。
「そうか。別にどうでもいいが逃げないのか? そろそろ、もう一体来るぞ?」
「人間族の俺達が逃げても追いつかれて食われるだけだ。それにベムが走れる状況じゃねぇ」
そう言うと、大柄の男は少女に一瞬だけ目線を向けた。
「デ、デグ。ゴメン……」
「大丈夫だ。お前は俺の後ろに居ろ。最後の最後まで抵抗だけはしてみるぜ!」
「食われるだけだぞ?」
私の残酷な言葉に、苦笑いしながらデグという男がこちらを向く。
「かもな……。だが、コイツを俺は自分自身の都合が良くなる為に今の依頼に連れてきちまった。だから、この依頼中は保護者のつもりでいるからな! 親が子を置いていけるわけがねぇ!」
真剣な表情で私を見ながらデクが言う。
その固い意志と言葉に私は、自分自身とアトスの関係を重ねてしまった……。
はぁ……。
「おい、デグとか言ったか?」
「あぁ? そうだけど、なんだ? アンタは獣人だし早く逃げな! 出来ればベムを連れて行って欲しいが……」
「それは無理だ。いくら獣人だとしても人を、一人運んで逃げるのは無理だ」
「そうか……。そうだよな」
男は残念そうな表情をして、それから私に向かって笑顔で言う。
「なら、アンタだけでも逃げな! 俺が二体纏めて惹きつけてやるからよ!」
「……」
しょうがないよな……。重ねてしまった私が悪い。もう心では答えが出ているしな。
アトスが見たら、驚くだろうな。
アトス以外どうでも良いと常に思っていた私がこんな真似をするなんて。
「デグよ。一つ頼みがあるが良いか?」
「この際だ、なんでも言え!」
小型はもう一人食べ物が増えた事に、更に迷いが生じたのか、ゆっくりと品定めしている。
私の追ってきた小型もそろそろ来るな。
「私の宝物である、人間族の子供がここら辺に居る。その子を人間族の住処まで連れて行ってくれないか?」
「人間族の子供? 何故人間族の子供なんか?」
「捨て子だ。拾ってそのまま育てた。その子は恐らく私を探しにこのジャングルを探し回るだろう。だから、見つけたら私が小型に食われたと言ってくれ」
「「……」」
デグとベムは私を見て、苦虫を噛み潰したような表情をしている。
恐らくこの先の事を想像して、どうなるかも納得したのだろう。
「いいのか? そんな風に伝えて」
「あぁ。私に囚われて欲しくないしアトスには幸せになって欲しい。ただ、それだけだ」
「……。そうか。子供の名前はアトスでいいんだな?」
「そうだ。頼む」
そう言うと、私が連れてきた小型も姿を現した。
「では、行く。くれぐれもアトスを頼む。そして願わくば幸せにしてやって欲しい」
私は二体の小型に対して一発ずつ炎を纏った拳で殴りつけた。
「武器強化のスキル……。リサと同じ……」
ベムが何かを呟いていたが気にしている場合では無い。
私がスキルを発動すると、小型二体は標的を私に変え追ってきた。
全力で逃げる!
私は、木々を飛び移る様に小型二体から逃げ出す。
アトスの時も思ったが、どうやらモンスター達はスキルのレア度が高い人間を好むらしい。
そうで無ければ、食べ易いアトスでは無く私を狙う意味が分からない。
私は、二体の小型を惹きつけて逃げるのを再開した。
アトス、これからの人生をより一層幸せになってくれ……。
私は小型に追われながらアトスの無事を願っていた。次会った時は怒られるだろうな……。その時を想像して、つい苦笑いをしてしまう。
さて、この追ってきている小型からどう逃げ切るかだな。
本気で走れば少しは引き離せるとおもったが、どうやらこの小型は引き離せる気配が無い。
一時的に見えなくなるが、確実に私を認知して追ってきている。
……ん?
小型から逃げていると、更にモンスターを察知した。
だが、モンスターだけでは無く、人の気配もするな。
よし。この人間に小型を擦りつけるか。
そうと決めた私はもう一つの気配の方向に逃げる事にした。
恐らく、冒険者だろう。前にも察知したが、最近はここら辺に人間達が来るようになったのか?
それから、少しスピードを上げて向かっていたら、直ぐに着いた。
「あそこか」
見ると、人間族が二人居た。
一人は大柄の男だ。アトスとは違って筋肉の鎧に包まれており、少女を守るように前に出ていた。
もう一人は小柄の少女だった。どうやら、小型相手に絶望したのか地面に座り込んでおり、小型に攻撃されたら絶対に助からないだろう……。
私は冒険者達の前に着地した。
「「──ッ!?」」
私が突然登場した事により、かなり驚いている。
「獣人……か?」
大柄の男が私を見て呟く。
「そうだ。お前らは何故こんな場所に小型と居る?」
「冒険者としての依頼でここらの薬草を採取しに来ていたが、途中小型に襲われてな。一人が犠牲になり一人は逃げ出した……」
何かを思い出したのか、大柄の男と少女は悲しい表情をした後に、怒りを含む表情になった。
「そうか。別にどうでもいいが逃げないのか? そろそろ、もう一体来るぞ?」
「人間族の俺達が逃げても追いつかれて食われるだけだ。それにベムが走れる状況じゃねぇ」
そう言うと、大柄の男は少女に一瞬だけ目線を向けた。
「デ、デグ。ゴメン……」
「大丈夫だ。お前は俺の後ろに居ろ。最後の最後まで抵抗だけはしてみるぜ!」
「食われるだけだぞ?」
私の残酷な言葉に、苦笑いしながらデグという男がこちらを向く。
「かもな……。だが、コイツを俺は自分自身の都合が良くなる為に今の依頼に連れてきちまった。だから、この依頼中は保護者のつもりでいるからな! 親が子を置いていけるわけがねぇ!」
真剣な表情で私を見ながらデクが言う。
その固い意志と言葉に私は、自分自身とアトスの関係を重ねてしまった……。
はぁ……。
「おい、デグとか言ったか?」
「あぁ? そうだけど、なんだ? アンタは獣人だし早く逃げな! 出来ればベムを連れて行って欲しいが……」
「それは無理だ。いくら獣人だとしても人を、一人運んで逃げるのは無理だ」
「そうか……。そうだよな」
男は残念そうな表情をして、それから私に向かって笑顔で言う。
「なら、アンタだけでも逃げな! 俺が二体纏めて惹きつけてやるからよ!」
「……」
しょうがないよな……。重ねてしまった私が悪い。もう心では答えが出ているしな。
アトスが見たら、驚くだろうな。
アトス以外どうでも良いと常に思っていた私がこんな真似をするなんて。
「デグよ。一つ頼みがあるが良いか?」
「この際だ、なんでも言え!」
小型はもう一人食べ物が増えた事に、更に迷いが生じたのか、ゆっくりと品定めしている。
私の追ってきた小型もそろそろ来るな。
「私の宝物である、人間族の子供がここら辺に居る。その子を人間族の住処まで連れて行ってくれないか?」
「人間族の子供? 何故人間族の子供なんか?」
「捨て子だ。拾ってそのまま育てた。その子は恐らく私を探しにこのジャングルを探し回るだろう。だから、見つけたら私が小型に食われたと言ってくれ」
「「……」」
デグとベムは私を見て、苦虫を噛み潰したような表情をしている。
恐らくこの先の事を想像して、どうなるかも納得したのだろう。
「いいのか? そんな風に伝えて」
「あぁ。私に囚われて欲しくないしアトスには幸せになって欲しい。ただ、それだけだ」
「……。そうか。子供の名前はアトスでいいんだな?」
「そうだ。頼む」
そう言うと、私が連れてきた小型も姿を現した。
「では、行く。くれぐれもアトスを頼む。そして願わくば幸せにしてやって欲しい」
私は二体の小型に対して一発ずつ炎を纏った拳で殴りつけた。
「武器強化のスキル……。リサと同じ……」
ベムが何かを呟いていたが気にしている場合では無い。
私がスキルを発動すると、小型二体は標的を私に変え追ってきた。
全力で逃げる!
私は、木々を飛び移る様に小型二体から逃げ出す。
アトスの時も思ったが、どうやらモンスター達はスキルのレア度が高い人間を好むらしい。
そうで無ければ、食べ易いアトスでは無く私を狙う意味が分からない。
私は、二体の小型を惹きつけて逃げるのを再開した。
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