過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第1章

27話 10歳の誕生日……そして最悪のプレゼント

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 人間族の住処を目指して三日間が経った。その間モンスターの気配は何度も有り、その度にシクの気配察知にて遭遇を回避してきた。

 夜などは交代で見張りをしていたが、俺が見張りの時は何度か危ない時もあった……。

 「シク、人間族の住処まで後半分くらいか?」
 「そうだな。後四日もすれば到着するな」
 「後四日か……。気を引き締めないとな」
 「その通りだ。そろそろ体に疲れが溜まってくる時だからな」

 夜は寝ているが交代での睡眠で俺は全然寝れなかったりする。
 シクは慣れているのか、しっかり睡眠が取れているらしく、疲れた様子は見えない。

 「アトス、眠かったら言えよ。仮眠取っていいから」
 「大丈夫だ。早く向かおう」

 本当は疲れていて、頭も回らないがシクに迷惑をかけたく無いし、シクに役に立たないとは思われたくなかった。

 それから、夜間までは特に休む事も無く歩き続けて、今は食事中だ。

 「シク、ここまで来ると食べた事無い薬草とか色々あるんだな」
 「そうだな。私も小さい時に食べた事ある野草や食べた事無いものまであるな」
 「でも、シクの料理はやっぱり美味いな!」

 そう言うとシクはいつもの表情で手を俺の頭に置いてから撫でてくれた。
 
 ……恥ずかしい。

 「アトス」
 「ん?」

 シクはこちらの目を真っ直ぐに見て言う。

 「誕生日おめでとう」
 
 あぁ……。そうか、今日は俺の誕生日か。
 こんな状況の為スッカリ忘れていた。

 「あぁ、そうか俺今日で十歳か……」
 「早いものだな。すっかり大きくなって」
 
 シク、昔を思い出す様に遠くを見ている。

 「アトスを拾った時は本当に驚いたが、今は出会えた事に感謝しているよ。アトスがいない人生は考えられない」
 「大袈裟だろ……」
 「そんな事無いさ。アトスと出会うまでは何の目的も無く生きていたが、出会ってからは、いつのまにか立派に育てようと必死に子育てしていた自分がいたよ」
 「迷惑だったか……?」

 俺はなんて返ってくるか怖かったが、質問した。

 「何を言っている? 私はお前と出会えてからは毎日が楽しくて幸せだぞ?」
 「なら、いいんだけどさ……」

 シクが俺の後ろまで移動して、後ろから抱きしめられる。

 「な、なんだよ? 離れろよー」
 「たまにはいいじゃないか。大きくなってきて一緒に寝てくれなくなったしな」
 「あ、当たり前だろ!」
 「今日くらいは、いいだろ」

 しばらく、シクに抱きしめられていた。
 だが恥ずかしくなってきた俺は誤魔化す様にシクに言う。

 「シ、シク今日は俺が見張りするから先に寝てくれ」
 「アトスが先でいいぞ。最近あまり寝れてなくて疲れているだろ?」
 「大丈夫だ! いいからシクが先に寝てくれ!」

 シクは俺の気持ちや思いが分かるのか、しばらく考えてから先に仮眠を取る事を了承した。

 「では先に寝かせて貰うが、何かあればすぐ教えてくれ」
 「わかった」

 しばらくするとシクの寝息が聞こえる。
 俺は辺りを一度見回し、何か異常が無いかを確認してから再度座り直して、シクとの見張りを交代するまで周りを警戒する事にした。

 シクは俺を大事に大事に育ててくれたな……
 俺はシクの寝顔を見ながら昔を懐かしむ。

 「はは、前世の記憶を持ったままだから俺はシクと出会ってからの事を全て覚えているんだぜ?」

 シクは俺を拾ってから生活スタイルがかなり変わっただろうな……
 一番変わった事と言えば、嫌いな人間と関わる様になった事だな。

 シクは俺に色々な知識を教える為に月に一度程商人の所に行き、様々な物を調達していた。

 それは、調味料や本、他にも情報などを商人から調達していた様だ。

「人間が嫌いな癖に……ありがとうな」
 
 それから俺は周囲の様子を見たりと、見張りの務めを果たすべき集中していた……はずだった……




 「「……すぅー……すぅー」」

 眠りが浅いのか寝ながら地面の揺れを感じる。あれ? 今ってどっちが見張りの番だっけ?

 「「すぅ……すぅ……」」

 少しずつ覚醒してきたのか揺れが徐々に大きくなるのを感じる。

 「「……すぅ……すう」」

 そして一際大きい揺れと音で俺は目がさめる。

 「「──ッ?!」」

 いきなり、地面から凄まじい衝撃を受け、俺は目が覚めた。

 「──ッアトス!! 逃げろ!!」

 シクが今まで聞いた事が無いほど大きい声で俺に逃げろと言う。

 「──ッ小型だ!! アトス早く逃げるぞ!!」

 ……ぁあ……俺が寝てしまったから……
 
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