過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第1章

19話 モンスターからの逃走 2

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 「追ってきているな……」

 俺には最初の気配しか気付けなかったが、シクは今でも気配が分かるらしい。

 「追いつかれそう?」
 「四年前とは違ってアトスは大分体力が着いたから、ひとまず前回同様に家とは逆の方に逃げるぞ」

 そう言って俺達はスピードを更に上げて逃げた。

 「前にもあったけどここら辺はモンスターが少ないんじゃなかったのか?」
 「その通りだ。たが全くいない訳ではないからな」
 「体力はかなり着いたがスピードは四年前とくらべても、あまり変わらないが大丈夫か?」
 「まだ、分からんが今回の小型は、そこまで大きい個体では無いのかもしれない」
 「なんでだ?」
 「追ってくるスピードが前より遅い上に、そろそろ私の索敵範囲から外れそうだ」
 「お?! なら、逃げきれそうか?」
 「恐らくだが、このままなら逃げ切れるな……」

 シクは後ろを向きながら呟く。



 
 どれくらいの時間走っただろうか。
 俺自身はかなり体力を消耗している。

 「はぁはぁ……シクどうだ?」
 「恐らく撒いたと思うが念の為だ。もう少し走ってから家に向かおう」
 「わかった……」

 走り込みの訓練は十分成果が出ているな。四年前はこんなに長い距離を走れなかっただろう。
 だが、先読みの訓練に関しては分からない。相手を目視しないと先が読めないし……

 「シクは今までにモンスターと何回くらい遭遇した事あるんだ?」
 「三回遭遇した事がある。その内の一回は四年前だな」

 更にその内のもう一回は俺が赤ん坊の時だな。
 今思うとあの時の中型は本当に大きかった。シクには物凄く感謝しているが、あの状況で良く俺を助けようと思ったな……

 「よし、完全に撒いたな。別ルートを通って家に帰ろう」
 「はぁはぁ……賛成ーー」

 シクを見ると息一つ上がっていない。

 ……体力オバケめ!!

 「──イテッ?! 何するんだよ?」
 「アトスから何か不愉快な念を感じた」

 いつも、思うが心が読めるのか?!

 「アトス、周りもかなり暗くなってきた。気をつけるんだ」
 「分かっている。夜の移動はあまりした事ないからシクの後ろを付いて行くよ」
 「疲れたら言えよ?」

 夜の移動は昼間と全く違う。
 ただでさえ昼間でも薄暗いジャングルが夜になると真っ暗になり、自分自身が覚えていた道が全く違う道に見えて直ぐに迷ってしまう。

 そして、完全に夜になると先が全く見えなくなる為スピードが出せなくなってしまう。

 シクは獣人族なので、第六感的なのが鋭い為か迷わず家に向かっている。

 人間族って良いところ無いな……。
 どうせ、転生するなら獣人族が良かったぜ…。

 
 

 こうして、俺達は暗闇の中、家に戻った。



 
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