過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

文字の大きさ
上 下
2 / 492

1話 異世界転生?

しおりを挟む
 ん……なんだ?

 顔に当たるそよ風と草木同士が擦れ合う音で目を覚ます。

 ここは……ジャングル? いつの間にか気を失っていたのか……。

 俺は起き上がろうと身体に力を入れる。

 「うぎゃ……あぎゃ……」

 ん? 声が出ないし身体も動かない。どこかで怪我でもしたかな……?

 自分が思う様に身体が動かずもがいていると、不意に自分の手が見えた。
 
 ──ん?!

 なんだこの手は……物凄く小さいぞ?

 俺の視界に入り込んだ手は、それはそれは小さい形をしていた。

 おいおい……これじゃ、まるで赤ん坊の……手?

 俺、赤ん坊になっている?!

 何が起きているのか理解出来ず、自分自身が動揺している事が分かる。

 これは、あれだ。ラノベだ。異世界だ。転生だ。頭の中でグルグルと単語が回っている。

 夢を見ているわけか。よし早く起きてガイド達と合流しよう。

 そう思い、頭の中で起きろ! と何度も唱えるが全然目が覚める気配が無い。

 そんな事を考えていると、ジャングルの奥から何やらこちらに向かって来る気配を感じる。

 あれ…これ不味いんじゃないか。こんな状況で肉食動物とか来たら確実にアウトだ……

 何かの気配はどんどん近づいてくる。
 

 ん? 地面が揺れている……。

 草食動物である事をひたすらに願い続けていたら、時間が経つにつれて地面から伝わる、振動が大きくなり、今では振動の度に身体が浮くようになってきた。

 「あぎゃ!……うぎゃ……!?」

 不味い不味い! 何が近付いて来ているのか想像も付か無いが、このままだと確実にアウトな未来しか見えないぞ?!

 逃げたくても何故だか今は身体が赤ん坊だし、何も出来ねぇ!?

 「あぎゃ!あぎゃ!」

 大きい声で助けを呼んで見るが、こんなジャングルに人なんて居ないよな……

 誰も居ないと分かりつつも、助けを呼んでいると──とうとう気配の正体が姿を現した。

 その姿を見て俺は更に言葉になっていない声を大きくあげる。

 「あぎゃ!! あぎゃ!?」

 そいつは俺の目の前で一旦止まりこちらを観察している様子である。

 その正体は一軒家程の大きさのイモムシであった……

 しかも頭部に大きいツノまで生えている。

 こ、こんなイモムシは地球上に居ないぞ……?

 やはり、アニメ、ラノベ、異世界、転生の文字が頭をグルグル回り、ここが地球では無い事を確信する。

 そんな事より、この状況どうする?! 俺食われるのか?

 イモムシは俺を食う準備が出来たのかこちらにゆっくり近づいてくる。

 「うぎゃ!あぎゃ!!」

 あ、これは終わったな……

 そんな事を思った瞬間!

 急に身体が浮く感じがした時には既に何者かに抱かれて木の上にいる事に気が付く。

 なんだ?! 俺助かったのか?

 少し離れた場所には先ほどの大きいイモムシが居る。どうやら俺の事を探している様子だ。

 俺は自分の事を抱いている何者かを見上げる。

 ……え? 頭の上に耳?
 さっきまでイモムシに食われそうになっていた事を忘れて、俺はその何者かに目を奪われる。

 その何者かは、幼いが美しかった。

 だが、幼い顔立ちには似合わない程の険悪な目つき、そして感情が読み取れない冷酷な表情で俺を見つめていたのである……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

チート能力【無限増殖】を得た俺は終末世界でもファンタジーしている ~無限に増え続ける能力で世界最強~

仮実谷 望
ファンタジー
ある日、俺は謎の薬を手に入れてそれを飲んだら、物を増やす能力に目覚めていた。お金儲けしたり、自分自身の欲望を叶えているうちに厄介ごとやモンスターと出会う。増える超能力。増え続ける超能力が進化していつの日か世界最強の男になっていた。基本的に能力は増え続けます。主人公は色々なことをしようとします。若干異能力バトルに巻き込まれます。世界は終末世界に移行してしまいます。そんな感じでサバイバルが始まる。スライムをお供にして終末世界を旅して自由気ままに暮らすたまに人助けして悪人を成敗する毎日です。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

神様を育てることになりました

チョッキリ
ファンタジー
死後の世界で転生待ちをしていた。誘導にしたがって進んでいたが、俺だけ神使に別の場所に案内された。そこには5人の男女がいた。俺が5人の側に行くと、俺達の前にいた神様から「これから君達にはこの神の卵を渡す。この卵を孵し立派な神に育てよ」と言われた。こうしてオレは神様を育てることになった。

半分異世界

月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。 ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。 いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。 そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。 「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...