婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。

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「フィリップが、胸の大きい方が好きで良かったわ」
 
 今日は、フィリップと報告をし合いに、フィリップのおうちに伺っている。
 お父様との話し合いの後、お父様とおじ様、お兄様とフィリップの四人で、話し合いをして下さった。
 
「……そこだけじゃないからな。男なら、みんな好きだよ。アレックスだって、きっと好きだよ? ただ、胸よりも、パトリシアの方が好きだったって事だな」
「……そうなの? お兄様も、やっぱり大きな胸が好きなのかしら?」
「そりゃ、嫌いな男はいないだろ」
「…………」
「また、変なこと考えてないだろうな?」
「変なことって何よ!」
「結婚するまで、パトリシアに指一本触れたら駄目なんだろ? アレックスを煽る様な事はするなよ? おじさんの信頼を失ったら、結婚できないんだぞ」
「分かってるわよ。そんな事しないわ」

◇◇◇

 お兄様と婚約してから、ー年が経ち、次の社交のシーズンになった。
 久しぶりにお兄様が舞踏会に出席し、帰り道の馬車の中、お兄様と二人きりになるのもー年ぶりになる。

「長い様で、あっという間だったな」
「お兄様は、試験や卒業論文などでお忙しくされてたものね」
「ああ、おかげで、余計な事を考えなくて済んで、助かったよ。パトリシアは何か変わった事は、あったかい?」
「そうね。フィリップが、マチルダと婚約した事くらいかしら」
「フィリップとマチルダが?」
「ええ、そうなの。二人共、頭の回転が早いでしょう? 会うたびに、言い合いの様な会話をするんだけれど、いつの間にか、仲良くなっていたのよね」
「そうなんだね……」
「フィリップは長男だし、意外と優しくて、気もきくから、年頃の令嬢達に人気だったんだけど、気が合う人が、やっぱり良かったのね」
「なんだかホッとしたよ。元々フィリップの婚約者だったパトリシアを、奪う様な形になってしまったから、申し訳なく思っていたんだ」
「そうでしたの? ……フィリップは、シェルバーン夫人の事、知的な方でもあるから好きだったんだと思うの。マチルダも賢い人だから、元々、私なんか眼中に無かったと思うのだけれど……」
「フィリップは、パトリシアといると飽きなくて楽しいと、話していたよ。パトリシアとフィリップは、本当に兄妹みたいなものだったんだね。……僕は幸運だったんだよ」

「お兄様、あと一つ、変わった事があるわ。……気がつかない?」
「なんだろう?」
「私もこの一年、何もしてなかった訳ではないのよ」
「すまない、分からないな」
「お兄様の手を貸して」
「いや、駄目だよ? パトリシア」
「ダンスだってお兄様と踊って、手袋もしてるもの。……私から、手を触るくらいなら良いでしょう?」
「…………手だけだよ?」

  お兄様の差し出してくれた、手を取り、自分の胸に当てると、お兄様が固まってしまう。

「お兄様……? 何か気がつかない?」
「……いや、ちょっと頭が真っ白になって。ごめん」
「……また、胸が大きくなったのよ?」
「あ、ああ、なるほど。でも、パトリシア……これは、さすがにまずい……」
「お兄様がして下さったみたいに、自分で触ってみたのだけど」

 お兄様の顔が真っ赤になってしまう。

「それで、胸が、大きく、なったの?」
「ええ」
「……パトリシア、分かった。とりあえず、手を離してくれるかな?」

 お兄様の手に重ねる様に、押し当てていた手を離すと、お兄様が、ぎこちない動きで、胸から手を離す。

「……勉強をしている時以外は、ずっとパトリシアの事を考えていた。あの夜の事も、何度も思い返してしまって。……とても口には出せない様な事ばかり考えていたんだよ。……軽蔑するかい?」
「いいえ、……私の事を考えて下さって、とても、嬉しいわ」
「良かった。……僕も、嬉しいよ。離れていても、僕の事を思ってくれていたんだね」
「お兄様……、大好き」

 お兄様が、唇に触れるか触れないかくらいの、キスをする。

「僕もだよ……今のキスは二人だけの秘密だ。分かったかい?」

 顔が熱くなってしまい、黙って、こくりと頷く。

「良い子だね」

 お兄様が微笑みながら、前を向く。

 それからは、二人とも黙っていたけれど、ドキドキしながらも、穏やかで幸せな気持ちで、帰路についた。


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