靴音

うめ

文字の大きさ
上 下
1 / 5

靴音

しおりを挟む
瞳は靴音が苦手だ
特に後ろから聞こえるピンヒールと革靴の音
ピンヒールの音はカツカツと高い音で細かく刻まれている
革靴はズカズカと鈍い音で懐に入って来そうだ
それらに急かされているように感じる
特に後ろから来られた時は最悪
朝の人がいっぱいいる時ならましだが
夕方ゆっくり歩いて帰ろうとした時に後ろからその音が聞こえてきたときはもううんざり
ため息をついてしまう
ただの音なのに
なぜそんなに威圧感があるのだろう
一度意識してしまうと苦しくなる時がある
朝の忙しい通勤路職場のAくんとすれ違った
Aくんは革靴だったのにまったく嫌な音がしなかった
おはようございますと言って去っていった
その日の夕方仕事終わりにまたAくんと行き合った
お疲れ様ですと言って帰ろうとしたら
Aくんがお疲れ様です
よかったらこの後一緒にご飯でもどうですかと誘われた
私は驚いたがはいと返事をした
二人で職場の近くの居酒屋に入った
こんなに近くだと他の人にばれそうだなと思ったが気にしないようにした
Aくんはレモンサワーをたのみ私は梅酒にした
二人ともビールはそんなに好きじゃないと着く前に話ていた
私は気が合いますね
と言われ
ドキッとした
私は前からAくんのことが気になっていた
ただ、飲み物の好みの話だったのに
うれしくなった
そして話はけっこう盛り上がって
そろそろ次の店かお開きかなと思っていた頃
Aくんが私の目を見て
実は前から気になっていたんですと言った
へーと間抜けな声を出してしまった
私はなにが気になっていたのか分からなかった
するとAくんがそっと私の手をとり前から瞳さんのことが気になっていたんですと言った

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

【ショートショート】おやすみ

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。 声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

男性向け(女声)シチュエーションボイス台本

しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。 関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください ご自由にお使いください。 イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ブラック企業を退職したら、極上マッサージに蕩ける日々が待ってました。

イセヤ レキ
恋愛
ブラック企業に勤める赤羽(あかばね)陽葵(ひまり)は、ある夜、退職を決意する。 きっかけは、雑居ビルのとあるマッサージ店。 そのマッサージ店の恰幅が良く朗らかな女性オーナーに新たな職場を紹介されるが、そこには無口で無表情な男の店長がいて……? ※ストーリー構成上、導入部だけシリアスです。 ※他サイトにも掲載しています。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

彼氏が完璧すぎるから別れたい

しおだだ
恋愛
月奈(ユエナ)は恋人と別れたいと思っている。 なぜなら彼はイケメンでやさしくて有能だから。そんな相手は荷が重い。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

処理中です...