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Act 05

清福の折~静穏の話譚

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「おかえり、アリス」

「エリオット、先に帰っていたのね。ただいま。あら、図書館で着替えてこなかったの? 白いローブのまま」

「うん。
 今日は、仕事が忙しかったんだ。着替えていたら、君の帰宅に間に合わないと思って、急いで帰ってきてしまったよ。愛するアリスと一緒にいられる時間が少しでも減ってしまうなんて、考えただけでも寂しいさ。でも、これからは、ずっと二人だけで過ごせるんだ。そう強く実感したいから、君を抱きしめたい。僕の胸に抱かれる事、恐れないでほしいな」

「もう、エリオットったら大げさな事を言って。くすっ。はい、しっかりと私を抱きしめてください」

「ありがとう。アリスの方から近づいてきてくれて嬉しいな。君の温かさを感じられるだけで、僕は、幸せだよ。君をずっと抱きしめていられるのなら、世界のすべての人間がいなくなってしまう日がきたとしても、怖いなんて思わないのだろう」

「エリオット、変な事を言わないでよ! 私は、そんな事になったら怖いわ。そんな日がこないように、神様の名のもと、私は聖女としてのつとめを果たしているんだから」

「ごめん、ごめん。ふふ。僕の腕の中で、頬を膨らませて怒る君のその表情、愛らしいよ。
 聖女さまの方は、大聖堂からの帰り道、その黒いワンピースを着てくれていたんだね。嬉しいな。僕のプレゼントしたその服、みんなの前で着る事を躊躇ためらわないなんて。
 街の人たちは、驚いていなかったかい?
 人前に出る時は、つねに白い法衣をまとっている聖女さまが、真っ黒に着飾っているのは、どう思っていたのかな」

「う~ん。
 あまりおぼえていないわ。大聖堂での今日のおつとめが終わったら、すぐにこの黒いワンピースに着替えて、エリオットと暮らすこの家に帰ってきたかったから。朝は……どうだったかしら? 大聖堂に到着してそのままおつとめだったから、おぼえていないわ」

「聖女としての大切なおつとめよりも、僕の事を想っていてくれて嬉しいな。僕も、仕事中ずっと、いとしいアリスに会いたくて仕方なかったよ。ほんの少しの時間でも、君と離れていると切なく感じてくるんだ。でも、アリスが僕の次に好きだという物語たちのお世話なので、もちろん真剣におつとめをしているよ」

「大好きなエリオットが、本を大切にしてくれる人で嬉しいな。私はもうすぐ、司書さんのお嫁さんになれるのね。結婚前に二人で暮らすなんて、みんなに反対されるかと思っていたけど……そんな事を言う人の声は聞こえなかった。とても静かに、エリオットと二人きりでこの家で暮らせて、私は、幸せよ。
 あ……」

「……急に、僕と唇を重ねる事になって驚いたのかな?
 可愛い聖女さま、君が歓びを感じるというのが、僕と一緒にいられる事だと口にしてくれて嬉しいよ。それを言葉にする為に愛らしく動いていた唇に、触れたくなってしまっただけだよ。ふふ」

「あ……胸……エリオット、胸に、手が触れているわ……ああ……ああん……ふ、服……リボンをかないで……せっかく、エリオットにプレゼントしてもらったワンピースが、床に落ちてしまう……あは……むねに、またエリオットの手が触れて……」

「何度も繰り返し言いたくなってしまうが、嬉しいな。僕のプレゼントで黒く着飾る事、君自身が受け入れてくれていて。分かったよ。では、胸だけ見せてくれ」

「うわ……も、もう……エリオット、背中のリボンをかないで……ううん、恥ずかしがってごめん。
 胸、見ていいよ。
 あのね……嫌だった訳じゃないの。司書さんの格好のまま帰ってきてくれたから、もうしばらく着ていてほしいなと思っただけ。図書館で初めて出逢った時に着ていたのが、その白いローブだったからかな。今日のエリオットが、いつもよりカッコよく見えたわ。
 二人が愛を深めるのは、私も心の底から大切な時間だって思うよ。でも、エリオットがその白いローブを脱いじゃうんだなって考えたら、少し残念に思っただけなの。エリオットの事を大好きって気持ちには変わりないわよ」

「改めて大好きだと言ってもらえて、幸せだよ。
 運命の出逢いをして、やがて手を取りあって、そして身体と身体が結ばれる日がきた。そう、アリスと僕が愛を深める為に、裸で抱きしめあう時間は大切なんだ。それを君も重んじてくれていると聞けて、心弾む気持ちになったよ。そうだな。では、僕は、今日はこのままの姿で、君と愛を深めるとしよう」

「え……ローブ姿のままなの……ああ……私、胸を出したまま、エリオットに抱きしめられて……あ、裸のエリオットに抱きしめられているのとは、少し違う……直接触れられている胸も、腕を回されている背中も、白いそのローブにつつまれているみたい……うん、いいよ。下もさわって」

「素直になってくれて、ありがとう。
 君が好きだと言う書物たちと同じように、アリスの身体も大切に扱う事を約束しよう。唇、もらうよ。君の方からも、舌を絡めてきてくれると嬉しいな。
 出逢った頃から、僕のおすすめのいろいろな物語を紹介してきたが、今からは、二人で作る物語の中にいる事を楽しんでほしい。主人公は君だよ、アリス……」

「……ん……あ……舌と舌が触れあったのね。エリオットの舌が先に入ってきてくれたから、私、真っすぐな心のまま舌を絡める事ができた。つたない舌の動きしかできなかったけど、エリオットの事を大好きって気持ちを伝えたつもり。どうだったかしら? 自分の方から、積極的になれないなんて……嫌われてしまうのではないかと、いつも怖いの。どうしたらエリオットに喜んでもらえるのか、上手に考えられなくて……でも、大好きよ。大好きだから、教えてほしいの。どうしたら、喜んでもらえるのかしら……あ……きゃあ」

「突然抱きあげて、すまない。
 聖女さまが、可愛らしい事ばかり言うので、早く寝所ねどこでてやろうと思ったんだ。さらけ出してしまっている胸、君が満たされるまでんでやらねばならないだろ? ふふ。もちろん陰部だって、しっかりいじってやろう。強引な僕を、嫌いにならないでほしいな」

「あ……ああん……すそから手が……手を突っ込んで、いきなり陰核いんかくを……胸も……はんっ!
 はあ……あああ……いいわよ……だって、もう、シーツの上なんだから……ご、強引になってもいい……エリオットにすべてを支配されているのだと、私が思うぐらいに……強引に扱って……こ、こんな事を私が口にしたら、喜んでもらえるのかしら……あ、ああん、あんっ!」

「うんうん。悦喜えっきさせてもらったよ。
 僕の可愛い聖女さまが、身体を好き勝手に扱われるのが望みだと言うのなら、聞き入れてやらねばならない。白く美しい手足を開いたまま、白布の上で無防備に横たわるアリスの身体に、快楽をたっぷり与えてやるのが、今からの僕のつとめさ……」

「んんっ!
 は……はあ……きゅ、急に、舌を口の中に……にぃいいいい……む、胸……んだり、さ、先っぽ……す、吸われて……はああんっ!
 あん、ああんっ!
 あああ……またすそから手が……し、下を、ゆっくりとでられて……濡れてきているのは、自分でも分かる……エリオットの指の動きが……滑らかになってきていて……はううん!」

「そうだよ、アリス。
 僕から、どのようなえつを与えられているか、口を動かして表現してほしい。それが、僕を悦ばせるという事さ。
 しんに支配するというのは、力をもって制する事と等しくない。だって、君の大切な部分の裂け目、ほら、こうやって上から下に向かってなぞられていったら、心地よいだろ――」

「う……は……うは……うん、夢の中にいるみたいに……気持ちいいよ……はあ、はあ……エリオットなら、お嫁さんになった私を、きっと大切にしてくれる……あ、あは……はあ」

「僕からの贈り物にくるまれているアリスの姿もうるわしいが、そろそろ白い素肌のすべてを見せてほしい。脱がすよ」
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