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似すぎな二人

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水の都で買い物等をしていると気がつけば
日が暮れていた。
「...やばいな...」
「何がやばいの?お義母さん...」
「いや...この都、実はちょっとした
噂があってね...」
リアスはそう言うとそれをおもむろに
話始めた。
「...この都には夜、幽霊が出るっていう
噂があるんだ...ちょうど今日みたいに
少しかけた月が出た夜、川の至るところに
白い袴を着た幽霊が泣きながらこちらを
見て...
『こっちにおいで...こっちにおいで...』
と問いかけてくるらしいのよ...
それに近づいたらもう...最後だけどね?」
リアスがそう話すとアリスはマリアの
手を掴んで怯えていた。
「...まぁ、ただの噂だしね?そんなことは
ないと思うよ...だからアリス、
手を離して?」
マリアはそう言って彼女の頭を撫でた。
金色の髪はもても艶がよく色もまだ淡く
なっていない。その髪と自分の髪をマリアは
比べた。色は少し淡くなっていたが、
艶はまだあった。たった二年の差でこれ程の
差が出てしまうのか...マリアは少しショックを受けていた。とそう思ったその時、
『...こっちにおいで』
そう聞き覚えのない声が川の向こうから
聞こえてきた。
「誰の声!?」
先程の話を聞いたマリアはそれが幽霊では
ないかと少し疑い、離そうとしていた
アリスの手をぎゅっと握った。
リアスはすぐに二人を連れて逃げられるようにして構えていた。その声は徐々に
近づいてきた。だが、先程の話とは少し
違った。それはたった一人で近づいてきた
のだ。
「こっちにおいで...いい宿を紹介してあげる」
そう聞こえたのはマリアだけだった。
「待って!あの人私達を心配している?」
川から出てきた人は月明かりに照らされ
姿がはっきりとした。
黒い髪におっとりとしそれでいて
赤く光る瞳、それはまるでリアスと目元以外が似通った女性だった。
「...姉妹ーー!」
「...いえ...違います。」
驚くマリアにリアスはそう言った。
「宿を紹介するよぉ?」
「それではお願いします」
そう言ってリアスと彼女は川を進んだ。
背中を見比べても何の変わりのない二人に
驚きながらもマリア達は二人の
背中を追った。

川を越えた後、
「紹介が遅れたけど私はニアスっていうの、
よろしくね?」
名前まで似ていたのにマリアは驚きを
隠せずにいた。
「...似すぎでしょ?」
そう思わず呟く程であった。
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