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〜6章〜
小さな旅の始まり
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小さな船が、緩やかに波打つ海面を切り裂いていく。
雲一つない満点の星空が反射し、まるで宇宙に投げ出されたかのようなその船は、静かに海を渡っていた。
穏やかで優しいその海は、悠久の時を思わせる、大いなる存在を思わせた。
「さすがに風が強いな」
トットはそう言いながら伸びをした。
「フランマも来られたらよかったのにね」ソルは甲板に肘をつき、真っ暗な水平線へと目を凝らしていた。
二人の少年は今、海の上にいる。厚い氷層に覆われた大地を行く事、一時間。彼らは氷でできた港へと到着し、この小さな船に乗船した。
船には八十名ほどが乗っている。みな、黄昏の空を拝むために集まった者たちだ。
「ここからどのくらい進むんだろう?」
待てども待てども、暗闇の中を進む船。船上を照らす灯りと、星空を反射する水面以外に、光るものは何も見えなかった。
「兄貴曰く、船に乗ってからさらに五時間はかかるらしい。めっちゃ遠いよな」
あぁ退屈だぁ、とトットは呑気に欠伸をする。
初めのうちは、初めての海に船、見渡す限りの星空に興奮していた二人であったが、それもすぐに飽きてしまい、ダラダラと中身のないことを呟きあっている始末であった。
「本日は快晴、本日は快晴。快適な海の旅をお楽しみください」と、アナウンスが鳴り響く。
確かに快適ではあるが、退屈だ。何せやることが何もない。
そんな状況に飽々としていた二人は、船室に戻り一眠りすることにした。
船上から伸びる階段を登っていくと大きな広間に出る。そこでは何人もの人々がお酒を片手にくつろいでいた。その周りをクルーロボットが行ったり来たりしている。バーカウンターにも人がビッシリだ。
「君たち、珍しいね。兄弟でこのツアーに?」
酔って上機嫌なその男性は、グラスを片手に近寄ってきた。
「いやいや、友達同士でですよ」
人馴れしたトットが適当に話を合わせる。ソルはその間、周りを観察して時間を潰す。
若い夫婦とその子供が三人で座っていた。子供が父親にくすぐられ笑い声をあげている。その微笑ましい光景にソルはそっと口元が緩んだ。
「まぁ楽しんでいきなさい。せっかくの貴重な体験だ」
「ありがとう、おじさんも」
その男性は嬉しそうにグラスを掲げ、バーカウンターへと戻った。
「相変わらず、可愛がられるね、トットは」
「俺はお前みたいに無愛想じゃないからな」
トットはニヤリとしてソルに言った。
「別に無愛想にしてるつもりじゃ。人見知りなだけだよ」
どうだかな、と二人はニヤニヤとしながら自分達の部屋を目指し歩く。
「ここだな」
扉を開けると、そこには質素な二段ベッドが両脇に並ぶ以外には、特に何もない小さな部屋であった。窓辺には小さな丸型の窓。そこには水面に輝く星たちが見える。トットはその窓まで歩いて行き、さっさとカーテンを閉めた。
「昼寝して起きてもまだ着いてないだろうけど」と、トットは止まらぬ欠伸を繰り返しながら、簡易ベッドの上段へと上がって行く。
「万が一、空が明るくなってきたら起こしてくれよな」上から顔だけを覗かせるトット。
「アラームかけておいた方がいいかな?」と、ソルは心配気だ。
「まぁ大丈夫だろ。大人たちが騒ぎ始めるだろうし」
それもそうだね、とソルも安心してベッドに横になる。
珍しく眠気を感じていなかったソルであったが、横になるとすぐに睡魔が忍び寄ってきた。『黄昏』というものに思いを馳せているうちに、ぼんやりと心地の良い波に誘われ、眠りへと沈んでいった。
夢の中。小さな小さな舟を見た。自分とは姿形の違う人が乗っている。あれは、旧人類だ。
その旧人類は、長い棒状のもので舟を漕いでいた。静かな海をたった一人で。
ソルは声をかけようとしたが、声は音にならずに静かに空を切った。
その旧人類は、親指を上げこちらに笑顔を向け、何か一言呟いた。
そして、目の前を横切り遠くへと行ってしまった。
「ソル、ソル。起きろ」
何者かが体を揺すっている。ハッとして目を覚ますと、トットが横にいた。
「え、もう着いた?」
目を擦りながらも勢いよく起き上がると、窓のカーテンを開けた。先ほどと変わらない、星空に輝く海が広がっているだけだった。
「『イルカ』が見れるぞ」
「『イルカ』って?」
「哺乳類ってやつだ。魚みたいな」
ソルはピンときた。授業で習ったことがある。旧人類の主なエネルギー源の一つである。
「まだ哺乳類っていたんだ」ソルたちはドアに手をかけ部屋を出た。
「だいぶ気温が上がってきてるんだろうな。魚たちの住めるぐらいあったかい地域に入ってきたんだろ」
二人は駆け足で船内を走り抜ける。先ほどまで賑わっていた広間は、今ではカウンターに二人ほどいるのみで、静寂に包まれていた。二人は船上へ下るべく階段を駆け降りた。
人々は船の甲板に身を乗りださんばかりにしている。
ソルたちも駆け寄ると、先ほどの男性が二人に気づいた。
「おぉ君たちか。ほらほら、よく見てみなさい。『イルカ』が何頭もいるよ」
男性が身を引き、二人が見えやすいように場所を開けてくれた。二人は身を寄せ合って、船の縁にへばりつき、目を凝らした。だが、輝く星空と微かに揺れ煌めく海面以外には何も見えない。
二人は男性を振り返ると、その男性は静かに微笑みながら頷き、海を指差した。
しばらく海に目を凝らしていると、突如、海面から何かが勢いよく飛び出した。
「わぁー」
二人は突然のことに感嘆の声をあげた。周りにいた他の乗客たちからも歓声が上がる。
最初の一頭に釣られるかのように、次々とその何かが海面から飛び出してきた。打ち上げられた水飛沫がキラキラと輝いている。
「あれが『イルカ』」
二人は、目の前に広がる光景に興奮を隠しきれなかった。トットに至っては海に飛び込まんばかりに飛び跳ねている。
「どうだい、とても美しいだろう」男性は恍惚した表情で『イルカ』を眺めている。
「おじさんは見たことあったの?」
「いや、私も初めてだよ。このツアー自体、久しく行われてなかったしね」
少年のように嬉しそうに語る。それに、と男性は続けた。
「海は広いからね。『イルカ』は警戒心が薄いとされているけど、実際にこうして遭遇できるのは奇跡に近いことなんだよ。君たちもってるねー」
三人は旧友のように喜びあった。
一通り姿を見せると満足したのか、『イルカ』の群れはどこかへと行ってしまった。
乗客たちも満足したのか、一人また一人と船内へと戻っていく。ソルたちは未だ興奮冷めやらず、『イルカ』の去った海を眺めていた。
「さて、私も戻るとしようかな」男性が後ろから二人へと声をかける。
「ありがとう、おじさん」
男性は二人に手を振り船内へと消えていった。
「すごかったね」半ば放心状態のソルは海から目を離せないでいた。
「すごかった。珍しく感動しちゃったぜ」
「なんかもう大感動で満足しちゃった」
ソルは笑いながらふぅとため息をついた。
「はは、『黄昏』見たらどうなっちゃうんだろうな」
「トット、興奮しすぎ。危うく海に落ちるところだったよ」
二人は笑い合い、しばらくの間その場から動けずにいた。
「ありがとね、連れてきてくれて」
トットはソルの方を見ることなく、頷いた。
「残るは『黄昏』のみだな」ソルも前方を見据えたまま頷く。
船が出発してからどのくらいの時間が経ったのだろう。その時は突然に訪れた。
「あれ。・・・・ねぇ、あれ見て!」
無言で海を眺めていたソルが突如声を上げた。目の前の海を指差している。ぼーっとしていたトットは目を凝らし、その指の先を見据えた。
「なんだ、あれ。あれが『神の台地』か?」
いつの間にか目の前の星の輝きが消え、真っ黒な地帯が現れていた。慌てて空を見上げるが、そこにはいつもと変わらず星が輝いている。陽光が射している様子はない。
「どれだけ高いんだ。目の前一面壁じゃないか」
トットの言う通り、見渡す限り星の輝きを放っていた海と空であったが、今では黒い壁が海と空を隔てて聳え立っているように見える。まだ距離はだいぶあるのだろう。目の前の海面の星空は遠くまで輝いている。しかし、その圧倒的な大きさを有する巨大な壁の存在感は凄まじく、二人の少年は畏怖の念にかられていた。
「すごいね、あれが『神の台地』。神って言うだけある」
ソルはほぅ、っとため息をつきながらそう呟いた。トットは感動なのか、はたまた動揺なのか、ただ頷き返すことしかできなかった。
すると突然船内に大きなアナウンスが鳴り響いた。突然の大音量に二人は体をびくつかせた。
「えー、ただいまより多少の急流地帯に入ります。船上にいるお客様は危ないですので、船内へとお戻りください。また、多少の揺れが生じると思われますが、安全は考慮されておりますので、ご安心を。それでは、快適な海の旅をお楽しみください」
一方的に告げられたアナウンスを合図に、クルーロボットが現れ船上に残る乗客たちを中へと誘導し始めた。二人は大人しくそれに従い、広間の一角を陣取った。
「どのくらい揺れるんだろう」
そわそわとしながら外に目をやる。先ほどまでと変わらぬ世界が広がっているように見えるが、心なしか波の立ち幅が大きくなったようにも思える。
ソルはいつもの如く多少の不安を抱えながらも、それを周りには悟られぬよう振る舞った。
「兄さんが言うには、『神の台地』に波がぶつかってそれが跳ね返ってくるらしい。それで周りが少しばかり波立つようになるんだと」
トットは特に不安な様子を見せることもなく、飄々と広間の乗客へと目を走らせていた。
『神の台地』が近づいてきたからだろう。広間は他の乗客たちで埋め尽くされており、皆そわそわと窓の外を見たりしている。
「ってことは、『神の台地』には近づけないのかな?」
クルーロボットがスルスルと近寄り、こちらに飲み物を運んできた。ソルはお礼を言い、コーヒー二つを受け取った。コーヒーを受け取りながらトットが答える。
「軍用の大きなやつなら影響ない程度の波らしいけど、この船だと厳しいだろうな」
「まぁ小さな客船だしね」
段々と船の揺れが強くなってきたようだ。窓の外では、時折大きな波飛沫が上がる。
「ちょっとなんか気持ち悪くなってきた。この揺れ、まだ続くのかな」
コーヒーを返しフラフラと立ち上がる。ちょっとトイレ、と言うととぼとぼと歩き始めた。確かに少しだけ顔色が悪いようだ。
「大変だねぇ」
トットはニヤニヤとそう呟きながら、トイレへと向かう親友の背中を見送った。
「大丈夫か?」
とぼとぼと戻ってきたソルに尋ねる。顔色が戻っている。
「うん、さっきのおじさんが薬くれた。少ししたら楽になるって」
ソルは空の薬袋を振って見せ、席にどさっと腰を下ろした。
「多分それ眠くなるぞ」
トットは苦笑しながら、眠り魔の親友に言った。
「あ、やっぱり?着いた時に寝てたら絶対起こしてね」
ソルは既に眠そうな様子だ。
「もちろん。とりあえず寝てていいぞ」
その言葉を聞いたのか聞いてないのか、既にソルはうとうととしていた。トットは苦笑を噛み殺し、窓の外へと目を向けた。
今でははっきりと波が大きく立っている。船の揺れと波飛沫の大きさが、自身の中のワクワク感を表しているかのようだ。だが、自分も酔っては敵わない、と広間に視線を戻す。
乗客たちは船内の揺れを特に気にする様子もなく、皆寛いでいるように見える。内心は自分と同じように心をときめかせているのだろう。笑い声がどこからともなく鳴り響いてくる。
やることもないので、自分も少しだけ仮眠を取ろうと、瞼を閉じた。
船の揺れが心地の良い揺籠のようだな。そんなことを思いながらトットは眠りについた。
ふと目を覚ますと先ほどと変わらない広間が目の前に広がっていた。だが、どこかおかしい。飽々とした見慣れた光景だったはずだが何かがおかしい。乗客が一人もいない。
ソルはまだぼうっとする頭を抱え、んんーと背筋を伸ばした。
「あっ!」
ガバッと立ち上がると、急いでトットを起こした。
「トット!起きて!」
はっと目を覚ましたトットの頭は冴えていた。瞬時に何が起きたか悟ったようだ。
「やばっ!」
既に広間の違和感に気がついたトットは驚愕していた。
窓からうっすらと光が差し込んでいる。
「おい、早く下降りるぞ」
どちらともなく、二人は一斉に駆け出した。ごった返してた先ほどとは打って変わって、船内は人っ子一人歩いていなかった。
「なんで誰も起こしてくれないかねー」
全速力で走りながら、二人は階段を滑るように駆け降りた。船の揺れは完全に止まっている。船上へと続く扉を体当たりの如く開けると、そこには見たこともない景色が広がっていた。
「なんだこれ」
大勢の乗客たちで溢れ、ごった返している船上。その上には濃い赤紫色に輝く大空があった。皆、口々に感想を述べているが、そのあまりにも偉大な大空の輝きに、誰もがひそひそ声だ。
「すごい」
そんなありきたりな言葉しか出てこなかった。それで十分であった。
『黄昏の空』は、ただただ美しく、ただただ厳かであった。
「これより本客船は帰路へとつきます。急流地帯を再び通りますので船の揺れがまたしばらくは続きますが、快適な海の旅をお楽しみください」
船内アナウンスが流れる。ソルたちは広間の一角を陣取り、興奮を抑えられない様子だ。
「あれはやばかった」
船酔いを恐れてじっと座っているソルへと、熱っぽく語りかけるトット。彼は今、絶賛酒気帯び中だ。お酒の後押しもあり、その舌はとても滑らかだ。
「当たり前だけどさ、あんなに綺麗な空は初めて見たぜ」
トットはいかに『黄昏の空』が素晴らしく、また世界は美しいもので溢れているか、いつまでも熱弁していた。
「いつか一緒に世界を旅したいな。ソルマルクだけじゃなくて、世界中どこまでも」
トットはそう言うと、ソルの方をしっかりと見据えさらに一言付け足した。
「虹、いつか必ず見ような。絶対に」
トットの希望に満ちたその語りに、ソルはただニコニコ頷くのであった。
二人を乗せた船は今、再び荒波の中へ向かっていくところだった。背後の『神の台地』が遠ざかっていく。もちろん、この巨大な岩壁も圧巻であったが、鮮やかな『黄昏の空』の前では、勝ち目はなかった。
本ツアーの目的を果たしたためか、他の乗客たちはそれぞれの部屋に篭りがちであった。あとは港に着くまで皆ゆっくりとあの余韻に浸るのであろう。
二人の少年もまた、いつまでも余韻に浸っていた。
それは突如訪れた。
大きな衝撃とともに、不気味な金属音が船内に鳴り響く。
船酔いを恐れ、うとうとしていたソルであったが、突然の衝撃に目を覚ました。
「なんだ⁉︎」
向かいに座っていたトットはガバッと立ち上がり、窓際へと駆けていく。そして、あっと声を上げた。
突然の衝撃に動揺した他の乗客たちがワラワラと広間へと集まってきた。
「なんだ?座礁でもしたのか?」
「すごい揺れだったけど」
先ほどまでは閑散とした広間であったが、あっという間に乗客たちで埋め尽くされた。
すぐに二度目の衝撃が船内に走る。海賊からの攻撃を受けたのだ。トットの立つ場所から数メートル先の窓ガラスが音を立てて弾け飛ぶ。
状況を察した乗客たちはパニックに陥り、船内はたちまち煙に包まれる。
「トット、危ない!早くこっちへ!」
ソルはそう叫ぶと、衝撃を受け床に突っ伏していたトットを抱き抱える。二人の周りを乗客たちは慌てふためき、逃げ場のない船内を逃げ惑っている。
「どうしよう。早く逃げないと」
「逃げるってどこにだよ?」
二人は滑り込むようにしてバーカウンターの中へと身を隠した。乱れる息をなんとか整えようと深呼吸をする。
「救命ボートで逃げよう」
トットが呟くのと同時に三度目の衝撃が走る。
「え、なに?」
ぐらつく船内に必死に這いつくばり、ソルが叫び返す。トットはそんなソルの腕を引っ張り走り出す。目指すは甲板だ。
「今外に出るの⁉︎危ないよ!」
ソルはトットの意図に気づいたが、そのあまりにも無謀な試みに思わず足をすくませた。
「救命ボートで逃げるぞ。奴らの狙いが何かわからないが、この船の何かだろう。小さなボートには気づきはしねぇよ」
逃げ惑う乗客たちをかき分け階段を目指す。今や海賊の砲弾は雨のように降り注いでいる。
「いいか、甲板に出たらすぐに船の後ろの方へ行くぞ。そっちに救命ボートがあった」
トットは有無を言わさずにそう告げると、行くぞ、と階段めがけて突っ走る。ソルも慌ててトットの後を追う。ソルは自身の鼓動の高鳴りを嫌というほど感じていた。不安で不安で押し潰されそうだが、ここで友の足を引っ張るわけにはいかない。小さな勇気を振り絞り、階段を飛ぶように駆け降りていく。
ふと、大きな衝撃とともに、目の前からトットが消えた。
「あれ」
気がつくと宙に身が投げ出されていた。
全身に激しい痛みを感じるが、不思議と苦痛はない。
視界の端に、先ほどまでいた船が見えた。今や火柱が上がりボロボロになっている。
どこか他人事のように、ぼんやりとその光景を見ていた。
「あぁ・・・」
助からなかった。目の前で船が沈んでいく。
親友のことを思い、絶望に打ちひしがれた。そして、意識は遠のいていった。
夢の中。小さな小さな舟がこちらへ向かってくる。その舟に乗っているのは、旧人類だ。
長い棒状のもので水をかきながら、ゆっくりと、こちらへ向かってくる。
やがて、その舟は目の前まで来ていた。彼は手を差し出し、彼の小さな舟へと誘った。
息も絶え絶え、自由の効かない体を舟の縁に預け、彼を見上げる。彼は目を輝かせながら鼻歌を歌っていた。その口元には煙を放つ小さな棒状のものが咥えられていた。
ところどころ音程の外れたその鼻歌は、どこか懐かしい。
まるで魔法のように優しく意識を包み込み、眠りへと誘う鼻歌。
すぐに、意識が遠のいていき、世界は完全な闇に包まれた。
雲一つない満点の星空が反射し、まるで宇宙に投げ出されたかのようなその船は、静かに海を渡っていた。
穏やかで優しいその海は、悠久の時を思わせる、大いなる存在を思わせた。
「さすがに風が強いな」
トットはそう言いながら伸びをした。
「フランマも来られたらよかったのにね」ソルは甲板に肘をつき、真っ暗な水平線へと目を凝らしていた。
二人の少年は今、海の上にいる。厚い氷層に覆われた大地を行く事、一時間。彼らは氷でできた港へと到着し、この小さな船に乗船した。
船には八十名ほどが乗っている。みな、黄昏の空を拝むために集まった者たちだ。
「ここからどのくらい進むんだろう?」
待てども待てども、暗闇の中を進む船。船上を照らす灯りと、星空を反射する水面以外に、光るものは何も見えなかった。
「兄貴曰く、船に乗ってからさらに五時間はかかるらしい。めっちゃ遠いよな」
あぁ退屈だぁ、とトットは呑気に欠伸をする。
初めのうちは、初めての海に船、見渡す限りの星空に興奮していた二人であったが、それもすぐに飽きてしまい、ダラダラと中身のないことを呟きあっている始末であった。
「本日は快晴、本日は快晴。快適な海の旅をお楽しみください」と、アナウンスが鳴り響く。
確かに快適ではあるが、退屈だ。何せやることが何もない。
そんな状況に飽々としていた二人は、船室に戻り一眠りすることにした。
船上から伸びる階段を登っていくと大きな広間に出る。そこでは何人もの人々がお酒を片手にくつろいでいた。その周りをクルーロボットが行ったり来たりしている。バーカウンターにも人がビッシリだ。
「君たち、珍しいね。兄弟でこのツアーに?」
酔って上機嫌なその男性は、グラスを片手に近寄ってきた。
「いやいや、友達同士でですよ」
人馴れしたトットが適当に話を合わせる。ソルはその間、周りを観察して時間を潰す。
若い夫婦とその子供が三人で座っていた。子供が父親にくすぐられ笑い声をあげている。その微笑ましい光景にソルはそっと口元が緩んだ。
「まぁ楽しんでいきなさい。せっかくの貴重な体験だ」
「ありがとう、おじさんも」
その男性は嬉しそうにグラスを掲げ、バーカウンターへと戻った。
「相変わらず、可愛がられるね、トットは」
「俺はお前みたいに無愛想じゃないからな」
トットはニヤリとしてソルに言った。
「別に無愛想にしてるつもりじゃ。人見知りなだけだよ」
どうだかな、と二人はニヤニヤとしながら自分達の部屋を目指し歩く。
「ここだな」
扉を開けると、そこには質素な二段ベッドが両脇に並ぶ以外には、特に何もない小さな部屋であった。窓辺には小さな丸型の窓。そこには水面に輝く星たちが見える。トットはその窓まで歩いて行き、さっさとカーテンを閉めた。
「昼寝して起きてもまだ着いてないだろうけど」と、トットは止まらぬ欠伸を繰り返しながら、簡易ベッドの上段へと上がって行く。
「万が一、空が明るくなってきたら起こしてくれよな」上から顔だけを覗かせるトット。
「アラームかけておいた方がいいかな?」と、ソルは心配気だ。
「まぁ大丈夫だろ。大人たちが騒ぎ始めるだろうし」
それもそうだね、とソルも安心してベッドに横になる。
珍しく眠気を感じていなかったソルであったが、横になるとすぐに睡魔が忍び寄ってきた。『黄昏』というものに思いを馳せているうちに、ぼんやりと心地の良い波に誘われ、眠りへと沈んでいった。
夢の中。小さな小さな舟を見た。自分とは姿形の違う人が乗っている。あれは、旧人類だ。
その旧人類は、長い棒状のもので舟を漕いでいた。静かな海をたった一人で。
ソルは声をかけようとしたが、声は音にならずに静かに空を切った。
その旧人類は、親指を上げこちらに笑顔を向け、何か一言呟いた。
そして、目の前を横切り遠くへと行ってしまった。
「ソル、ソル。起きろ」
何者かが体を揺すっている。ハッとして目を覚ますと、トットが横にいた。
「え、もう着いた?」
目を擦りながらも勢いよく起き上がると、窓のカーテンを開けた。先ほどと変わらない、星空に輝く海が広がっているだけだった。
「『イルカ』が見れるぞ」
「『イルカ』って?」
「哺乳類ってやつだ。魚みたいな」
ソルはピンときた。授業で習ったことがある。旧人類の主なエネルギー源の一つである。
「まだ哺乳類っていたんだ」ソルたちはドアに手をかけ部屋を出た。
「だいぶ気温が上がってきてるんだろうな。魚たちの住めるぐらいあったかい地域に入ってきたんだろ」
二人は駆け足で船内を走り抜ける。先ほどまで賑わっていた広間は、今ではカウンターに二人ほどいるのみで、静寂に包まれていた。二人は船上へ下るべく階段を駆け降りた。
人々は船の甲板に身を乗りださんばかりにしている。
ソルたちも駆け寄ると、先ほどの男性が二人に気づいた。
「おぉ君たちか。ほらほら、よく見てみなさい。『イルカ』が何頭もいるよ」
男性が身を引き、二人が見えやすいように場所を開けてくれた。二人は身を寄せ合って、船の縁にへばりつき、目を凝らした。だが、輝く星空と微かに揺れ煌めく海面以外には何も見えない。
二人は男性を振り返ると、その男性は静かに微笑みながら頷き、海を指差した。
しばらく海に目を凝らしていると、突如、海面から何かが勢いよく飛び出した。
「わぁー」
二人は突然のことに感嘆の声をあげた。周りにいた他の乗客たちからも歓声が上がる。
最初の一頭に釣られるかのように、次々とその何かが海面から飛び出してきた。打ち上げられた水飛沫がキラキラと輝いている。
「あれが『イルカ』」
二人は、目の前に広がる光景に興奮を隠しきれなかった。トットに至っては海に飛び込まんばかりに飛び跳ねている。
「どうだい、とても美しいだろう」男性は恍惚した表情で『イルカ』を眺めている。
「おじさんは見たことあったの?」
「いや、私も初めてだよ。このツアー自体、久しく行われてなかったしね」
少年のように嬉しそうに語る。それに、と男性は続けた。
「海は広いからね。『イルカ』は警戒心が薄いとされているけど、実際にこうして遭遇できるのは奇跡に近いことなんだよ。君たちもってるねー」
三人は旧友のように喜びあった。
一通り姿を見せると満足したのか、『イルカ』の群れはどこかへと行ってしまった。
乗客たちも満足したのか、一人また一人と船内へと戻っていく。ソルたちは未だ興奮冷めやらず、『イルカ』の去った海を眺めていた。
「さて、私も戻るとしようかな」男性が後ろから二人へと声をかける。
「ありがとう、おじさん」
男性は二人に手を振り船内へと消えていった。
「すごかったね」半ば放心状態のソルは海から目を離せないでいた。
「すごかった。珍しく感動しちゃったぜ」
「なんかもう大感動で満足しちゃった」
ソルは笑いながらふぅとため息をついた。
「はは、『黄昏』見たらどうなっちゃうんだろうな」
「トット、興奮しすぎ。危うく海に落ちるところだったよ」
二人は笑い合い、しばらくの間その場から動けずにいた。
「ありがとね、連れてきてくれて」
トットはソルの方を見ることなく、頷いた。
「残るは『黄昏』のみだな」ソルも前方を見据えたまま頷く。
船が出発してからどのくらいの時間が経ったのだろう。その時は突然に訪れた。
「あれ。・・・・ねぇ、あれ見て!」
無言で海を眺めていたソルが突如声を上げた。目の前の海を指差している。ぼーっとしていたトットは目を凝らし、その指の先を見据えた。
「なんだ、あれ。あれが『神の台地』か?」
いつの間にか目の前の星の輝きが消え、真っ黒な地帯が現れていた。慌てて空を見上げるが、そこにはいつもと変わらず星が輝いている。陽光が射している様子はない。
「どれだけ高いんだ。目の前一面壁じゃないか」
トットの言う通り、見渡す限り星の輝きを放っていた海と空であったが、今では黒い壁が海と空を隔てて聳え立っているように見える。まだ距離はだいぶあるのだろう。目の前の海面の星空は遠くまで輝いている。しかし、その圧倒的な大きさを有する巨大な壁の存在感は凄まじく、二人の少年は畏怖の念にかられていた。
「すごいね、あれが『神の台地』。神って言うだけある」
ソルはほぅ、っとため息をつきながらそう呟いた。トットは感動なのか、はたまた動揺なのか、ただ頷き返すことしかできなかった。
すると突然船内に大きなアナウンスが鳴り響いた。突然の大音量に二人は体をびくつかせた。
「えー、ただいまより多少の急流地帯に入ります。船上にいるお客様は危ないですので、船内へとお戻りください。また、多少の揺れが生じると思われますが、安全は考慮されておりますので、ご安心を。それでは、快適な海の旅をお楽しみください」
一方的に告げられたアナウンスを合図に、クルーロボットが現れ船上に残る乗客たちを中へと誘導し始めた。二人は大人しくそれに従い、広間の一角を陣取った。
「どのくらい揺れるんだろう」
そわそわとしながら外に目をやる。先ほどまでと変わらぬ世界が広がっているように見えるが、心なしか波の立ち幅が大きくなったようにも思える。
ソルはいつもの如く多少の不安を抱えながらも、それを周りには悟られぬよう振る舞った。
「兄さんが言うには、『神の台地』に波がぶつかってそれが跳ね返ってくるらしい。それで周りが少しばかり波立つようになるんだと」
トットは特に不安な様子を見せることもなく、飄々と広間の乗客へと目を走らせていた。
『神の台地』が近づいてきたからだろう。広間は他の乗客たちで埋め尽くされており、皆そわそわと窓の外を見たりしている。
「ってことは、『神の台地』には近づけないのかな?」
クルーロボットがスルスルと近寄り、こちらに飲み物を運んできた。ソルはお礼を言い、コーヒー二つを受け取った。コーヒーを受け取りながらトットが答える。
「軍用の大きなやつなら影響ない程度の波らしいけど、この船だと厳しいだろうな」
「まぁ小さな客船だしね」
段々と船の揺れが強くなってきたようだ。窓の外では、時折大きな波飛沫が上がる。
「ちょっとなんか気持ち悪くなってきた。この揺れ、まだ続くのかな」
コーヒーを返しフラフラと立ち上がる。ちょっとトイレ、と言うととぼとぼと歩き始めた。確かに少しだけ顔色が悪いようだ。
「大変だねぇ」
トットはニヤニヤとそう呟きながら、トイレへと向かう親友の背中を見送った。
「大丈夫か?」
とぼとぼと戻ってきたソルに尋ねる。顔色が戻っている。
「うん、さっきのおじさんが薬くれた。少ししたら楽になるって」
ソルは空の薬袋を振って見せ、席にどさっと腰を下ろした。
「多分それ眠くなるぞ」
トットは苦笑しながら、眠り魔の親友に言った。
「あ、やっぱり?着いた時に寝てたら絶対起こしてね」
ソルは既に眠そうな様子だ。
「もちろん。とりあえず寝てていいぞ」
その言葉を聞いたのか聞いてないのか、既にソルはうとうととしていた。トットは苦笑を噛み殺し、窓の外へと目を向けた。
今でははっきりと波が大きく立っている。船の揺れと波飛沫の大きさが、自身の中のワクワク感を表しているかのようだ。だが、自分も酔っては敵わない、と広間に視線を戻す。
乗客たちは船内の揺れを特に気にする様子もなく、皆寛いでいるように見える。内心は自分と同じように心をときめかせているのだろう。笑い声がどこからともなく鳴り響いてくる。
やることもないので、自分も少しだけ仮眠を取ろうと、瞼を閉じた。
船の揺れが心地の良い揺籠のようだな。そんなことを思いながらトットは眠りについた。
ふと目を覚ますと先ほどと変わらない広間が目の前に広がっていた。だが、どこかおかしい。飽々とした見慣れた光景だったはずだが何かがおかしい。乗客が一人もいない。
ソルはまだぼうっとする頭を抱え、んんーと背筋を伸ばした。
「あっ!」
ガバッと立ち上がると、急いでトットを起こした。
「トット!起きて!」
はっと目を覚ましたトットの頭は冴えていた。瞬時に何が起きたか悟ったようだ。
「やばっ!」
既に広間の違和感に気がついたトットは驚愕していた。
窓からうっすらと光が差し込んでいる。
「おい、早く下降りるぞ」
どちらともなく、二人は一斉に駆け出した。ごった返してた先ほどとは打って変わって、船内は人っ子一人歩いていなかった。
「なんで誰も起こしてくれないかねー」
全速力で走りながら、二人は階段を滑るように駆け降りた。船の揺れは完全に止まっている。船上へと続く扉を体当たりの如く開けると、そこには見たこともない景色が広がっていた。
「なんだこれ」
大勢の乗客たちで溢れ、ごった返している船上。その上には濃い赤紫色に輝く大空があった。皆、口々に感想を述べているが、そのあまりにも偉大な大空の輝きに、誰もがひそひそ声だ。
「すごい」
そんなありきたりな言葉しか出てこなかった。それで十分であった。
『黄昏の空』は、ただただ美しく、ただただ厳かであった。
「これより本客船は帰路へとつきます。急流地帯を再び通りますので船の揺れがまたしばらくは続きますが、快適な海の旅をお楽しみください」
船内アナウンスが流れる。ソルたちは広間の一角を陣取り、興奮を抑えられない様子だ。
「あれはやばかった」
船酔いを恐れてじっと座っているソルへと、熱っぽく語りかけるトット。彼は今、絶賛酒気帯び中だ。お酒の後押しもあり、その舌はとても滑らかだ。
「当たり前だけどさ、あんなに綺麗な空は初めて見たぜ」
トットはいかに『黄昏の空』が素晴らしく、また世界は美しいもので溢れているか、いつまでも熱弁していた。
「いつか一緒に世界を旅したいな。ソルマルクだけじゃなくて、世界中どこまでも」
トットはそう言うと、ソルの方をしっかりと見据えさらに一言付け足した。
「虹、いつか必ず見ような。絶対に」
トットの希望に満ちたその語りに、ソルはただニコニコ頷くのであった。
二人を乗せた船は今、再び荒波の中へ向かっていくところだった。背後の『神の台地』が遠ざかっていく。もちろん、この巨大な岩壁も圧巻であったが、鮮やかな『黄昏の空』の前では、勝ち目はなかった。
本ツアーの目的を果たしたためか、他の乗客たちはそれぞれの部屋に篭りがちであった。あとは港に着くまで皆ゆっくりとあの余韻に浸るのであろう。
二人の少年もまた、いつまでも余韻に浸っていた。
それは突如訪れた。
大きな衝撃とともに、不気味な金属音が船内に鳴り響く。
船酔いを恐れ、うとうとしていたソルであったが、突然の衝撃に目を覚ました。
「なんだ⁉︎」
向かいに座っていたトットはガバッと立ち上がり、窓際へと駆けていく。そして、あっと声を上げた。
突然の衝撃に動揺した他の乗客たちがワラワラと広間へと集まってきた。
「なんだ?座礁でもしたのか?」
「すごい揺れだったけど」
先ほどまでは閑散とした広間であったが、あっという間に乗客たちで埋め尽くされた。
すぐに二度目の衝撃が船内に走る。海賊からの攻撃を受けたのだ。トットの立つ場所から数メートル先の窓ガラスが音を立てて弾け飛ぶ。
状況を察した乗客たちはパニックに陥り、船内はたちまち煙に包まれる。
「トット、危ない!早くこっちへ!」
ソルはそう叫ぶと、衝撃を受け床に突っ伏していたトットを抱き抱える。二人の周りを乗客たちは慌てふためき、逃げ場のない船内を逃げ惑っている。
「どうしよう。早く逃げないと」
「逃げるってどこにだよ?」
二人は滑り込むようにしてバーカウンターの中へと身を隠した。乱れる息をなんとか整えようと深呼吸をする。
「救命ボートで逃げよう」
トットが呟くのと同時に三度目の衝撃が走る。
「え、なに?」
ぐらつく船内に必死に這いつくばり、ソルが叫び返す。トットはそんなソルの腕を引っ張り走り出す。目指すは甲板だ。
「今外に出るの⁉︎危ないよ!」
ソルはトットの意図に気づいたが、そのあまりにも無謀な試みに思わず足をすくませた。
「救命ボートで逃げるぞ。奴らの狙いが何かわからないが、この船の何かだろう。小さなボートには気づきはしねぇよ」
逃げ惑う乗客たちをかき分け階段を目指す。今や海賊の砲弾は雨のように降り注いでいる。
「いいか、甲板に出たらすぐに船の後ろの方へ行くぞ。そっちに救命ボートがあった」
トットは有無を言わさずにそう告げると、行くぞ、と階段めがけて突っ走る。ソルも慌ててトットの後を追う。ソルは自身の鼓動の高鳴りを嫌というほど感じていた。不安で不安で押し潰されそうだが、ここで友の足を引っ張るわけにはいかない。小さな勇気を振り絞り、階段を飛ぶように駆け降りていく。
ふと、大きな衝撃とともに、目の前からトットが消えた。
「あれ」
気がつくと宙に身が投げ出されていた。
全身に激しい痛みを感じるが、不思議と苦痛はない。
視界の端に、先ほどまでいた船が見えた。今や火柱が上がりボロボロになっている。
どこか他人事のように、ぼんやりとその光景を見ていた。
「あぁ・・・」
助からなかった。目の前で船が沈んでいく。
親友のことを思い、絶望に打ちひしがれた。そして、意識は遠のいていった。
夢の中。小さな小さな舟がこちらへ向かってくる。その舟に乗っているのは、旧人類だ。
長い棒状のもので水をかきながら、ゆっくりと、こちらへ向かってくる。
やがて、その舟は目の前まで来ていた。彼は手を差し出し、彼の小さな舟へと誘った。
息も絶え絶え、自由の効かない体を舟の縁に預け、彼を見上げる。彼は目を輝かせながら鼻歌を歌っていた。その口元には煙を放つ小さな棒状のものが咥えられていた。
ところどころ音程の外れたその鼻歌は、どこか懐かしい。
まるで魔法のように優しく意識を包み込み、眠りへと誘う鼻歌。
すぐに、意識が遠のいていき、世界は完全な闇に包まれた。
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