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〜26章〜
甘く優しいひととき
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レタシモン卿は一人、自身の書斎にこもり恍惚な表情を浮かべていました。
いつものようにお気に入りの蓄音機から流れてくる音楽に耳を傾け、右手に葉巻、そして左手にはワイングラスが握られています。
まるで何か偉大なことを成し遂げたかのように、いるはずのない誰かに向かって左手を掲げたレタシモン卿は、とても満足げな表情を浮かべています。
突然の来訪に、最初はまた面倒なのが来たと内心苛立っていたのですが、蓋を開けてみるとそこにはまるでピーナッツバターのように甘く優しい老婆が佇んでいたのです。
彼にとっては懐かしい母親の香りを思い出させる出会いでした。
こんなに気分が良いのはいつぶりのことでしょう。
たっぷりと葉巻の煙を口の中で遊ばせたレタシモン卿は、うっとりとした表情を浮かべ先ほどの老婆とのひとときを思い返していました。
なんて素敵な出会いなのだろう。
まるで母が帰ってきたかのようだ。
怪しく光るワインを喉へと流し込むと、ふとあることに気がつきました。
そういえば、彼女の名前はなんといっただろうか。
挨拶は交わしたが、名前は聞いていない気がする。
ふふふ、と一人自虐的に笑みを溢した彼は、誰もいないはずの部屋の片隅に向かって声をかけました。
「あの方のお部屋を用意して差し上げなさい」
照明の届かない真っ暗なところから大きな人型の影が現れたかと思うと、静かに頭を垂れゆっくりとレタシモン卿の書斎を後にしました。
そうだ。あの方のために何か焼き菓子でも焼こう。
きっと喜んでくれる。
レタシモン卿はとっくの昔に失ってしまった自分のハートがあった胸を愛おしげに撫でると、ゆっくりと立ち上がりました。
こんなに胸が高鳴るのはいつぶりのことでしょうか。
なんだか子供の頃に戻ったかのように、ドキドキワクワクとしてきます。
甘く優しい気持ちに包まれたレタシモン卿は一人、小躍りをしながら軽快に自身の書斎を後にしました。
いつものようにお気に入りの蓄音機から流れてくる音楽に耳を傾け、右手に葉巻、そして左手にはワイングラスが握られています。
まるで何か偉大なことを成し遂げたかのように、いるはずのない誰かに向かって左手を掲げたレタシモン卿は、とても満足げな表情を浮かべています。
突然の来訪に、最初はまた面倒なのが来たと内心苛立っていたのですが、蓋を開けてみるとそこにはまるでピーナッツバターのように甘く優しい老婆が佇んでいたのです。
彼にとっては懐かしい母親の香りを思い出させる出会いでした。
こんなに気分が良いのはいつぶりのことでしょう。
たっぷりと葉巻の煙を口の中で遊ばせたレタシモン卿は、うっとりとした表情を浮かべ先ほどの老婆とのひとときを思い返していました。
なんて素敵な出会いなのだろう。
まるで母が帰ってきたかのようだ。
怪しく光るワインを喉へと流し込むと、ふとあることに気がつきました。
そういえば、彼女の名前はなんといっただろうか。
挨拶は交わしたが、名前は聞いていない気がする。
ふふふ、と一人自虐的に笑みを溢した彼は、誰もいないはずの部屋の片隅に向かって声をかけました。
「あの方のお部屋を用意して差し上げなさい」
照明の届かない真っ暗なところから大きな人型の影が現れたかと思うと、静かに頭を垂れゆっくりとレタシモン卿の書斎を後にしました。
そうだ。あの方のために何か焼き菓子でも焼こう。
きっと喜んでくれる。
レタシモン卿はとっくの昔に失ってしまった自分のハートがあった胸を愛おしげに撫でると、ゆっくりと立ち上がりました。
こんなに胸が高鳴るのはいつぶりのことでしょうか。
なんだか子供の頃に戻ったかのように、ドキドキワクワクとしてきます。
甘く優しい気持ちに包まれたレタシモン卿は一人、小躍りをしながら軽快に自身の書斎を後にしました。
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