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黙示録戦争後に残された世界でたった一人冷凍睡眠から蘇ったオレの日常

ありふれた日常 第1話『好みのタイプ』

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 黙示録の最終戦争は実際に起きてしまった……そして、人類は一度滅亡した。

 だが、もう一度世界は創生され、新しい魔法文明が栄えた世界となっていた。

 ところが、そんな中、冷凍睡眠されていたジンはなんと蘇生されてしまったのだ。


 ジンを目覚めさせた超科学の人工頭脳がアイ、そしてジンの忠実な3つの下僕達のヒルコ、コタンコロ、アラハバキという巨大ロボの心臓部である双子の二人イシカとホノリらとともに、失われた科学文明のオタク文化を蘇らせるために、ジンは行動することに決めたのだ。



 ある日のオレの自宅『霧越楼閣』でのこと……。


 「アイってさ。どうしてそのぉ……。『猫ミミク様』とそっくりの姿をしてるんだい?」

 「はい。マスター。マスターのお好みの姿にさせていただきましたんですわ!」

 「お……おぅ……。照れるんだよね。その姿を見ていたら。」





 ヴァーチャルアイドル・Vドル『猫ミミク様』とはー。


 オレのいた旧世界で大人気だったヴァーチャルアイドルで、髪の毛のリボンが猫耳のようで、ロングツインテールの金色の美しい髪が足元まで届くほど長く、顔は超美少女。

 服はセーラー服とブレザーを合わせたようなコスチュームで、ネクタイがその胸の前にかかっていて、それがまた可愛い。

 友達に『くまんちゃ』という熊のぬいぐるみのような生き物がいるのだが、その『くまんちゃ』と『猫ミミク様』のコントのような掛け合いが面白かったのを覚えている。



 『猫ミミク様』はオレの彼女……とか言ってたっけ。

 それが、目の前に現れた!

 そんなイメージなんだ。ドキドキするわ。



 「まあ。マスターったら。照れ屋さんなんだから! ……そこが愛おしい御方なのでございます。」

 「あはは。ありがとね。」


 「イシカもジン様の好みであるか?」

 「ホノリもジン様の好みなのか?」



 このイシカとホノリは双子のアンドロイドで、元は土偶と美少女の融合がテーマでオレが作ったフィギュアだった。

 違いはその制服で、赤と青。

 イシカはそのロングの髪の色も赤で赤のセーラー服姿。ホノリは青のセーラー服姿で、青色の髪でロングだ。

 そして、顔はそっくりだが、ふたりともアイドル顔負けに可愛い。



 「イシカもホノリも可愛いよ? オレの娘みたいなもんだ!」


 「「お……おお!!」」

 「イシカはジン様の娘であるゾ!」

 「ホノリもジン様の娘なのだ!」


 ふたりともめちゃくちゃ笑顔だ。可愛い。





 「お……! おお! じゃあ、僕は僕は? ジン様ぁ! 僕も好みかぁな?」

 ヒルコまで!?

 つか、ヒルコって性別とかないんじゃないの?

 オレの好みとかなくね?



 「ま……まあ、ヒルコも可愛いよ。」

 「ええ!? 本当!? やったぁ! ジン様! ジン様!」

 ヒルコもおおはしゃぎである。



 メイドの姿をした水色の髪の愛らしい少女……としか見えない姿だが、ヒルコは粘菌なのだ。

 昔、もともと弱ってたアメーバをオレが育ててたんだ。その粘菌がアイの進化の手術により超進化したっていうわけだ。

 ヒルコもまあ、見た目はたしかに好みど真ん中、超ストライクではあるんだけどね。



 「我もご主人様の好みか知りたいと思うが、ご主人様は我のことをいかがに思っておいでか?」

 オレたちの様子をじっと見守っていたコタンコロまでこんなことを言い出したのだ!


 コタンコロは超巨大なフクロウで、やはりその昔、傷ついたフクロウの子を孵化から育てていたのだが、アイの進化の手術で超進化したのだ。

 ヒト型の姿になることもできる優秀な子なんだけど……。

 えーっと、その前に……、コタンコロってオスなの? メスなの?



 「え……っと、コタンコロってそもそも性別はどちらなの?」

 「ああ! 我だけ即答してくれぬのか……。我は好みではないのかぁあああ!!」


 「いやいや……。コタンコロももちろん可愛いよ? そりゃそうでしょ!」

 「本当にか……?」

 「うんうん!!」

 オレはぶんぶん首を縦に振った。



 「よかったぞ。我が主よ。我だけ嫌われてるのかと思ったぞ。」

 「コタンコロ! マスターがみなを嫌うはずがありませんよ?」

 「そうであったな。アイ様。あんなに愛情を注いでいただいたご主人様の愛を疑うなんて……。我は恩知らずであったわ。」

 「いやぁ……。あはは……。」


 好みの話じゃあなかったんかよ!



 (まあ、マスターの正妻はワタクシ……ですけどね。)


 ん……? なにか言った?


 「いえいえ! さあ、今日の晩御飯は何になさいますか? ワタクシでも構いませんよ?」

 「え? いや、普通に……カレーかなぁ。」

 「あん、もぉ……。了解でございます! カレーですね?」

 「ああーー! イシカもカレー大好きであるゾ!」

 「おおーー! ホノリもカレーは好きなのだ!」

 「うんうん! 僕もカレーが好きだぞぉー!」

 「我ももちろん異存はありませんな。」




 今日も楽しい我が家の晩ごはんであったー。



~続く~


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