正しいことが分からない

林檎

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広島

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班決めからいろいろな問題にぶつかりながらも修学旅行当日になった。

新幹線で広島に向かい原爆ドームに向かう。
新幹線の中でも僕は一人だった。

苦痛というかなんというか、むしろここにいる存在価値がなかった。

「ねぇ、××もトランプしようよ?」

僕に声をかけてくるなんて思ってもいなかった。
一口お茶を飲んで僕は答える。

「え。。。いいの?」

そこにいたグループ全員が笑顔でいいよ?といった。
僕はその輪に混ざって新幹線の中を過ごした。広島についてからも他の人と比べると口数は少ないが何とかして会話の輪に混ざった。
楽しい。
人と話すことはこんなに楽しかったのか。

僕は忘れかけていたその感情を何となく取り戻した。
そういえば僕は何でいじめられていたんだ?

何かしたっけ、、、

二日目も何もなく、三日目。最終日の姫路セントラルパークで僕は迷子の男の子を見つけた。
その子は泣きじゃくっていて見るからに僕は迷子だよ。って叫んでいるようだった。

「どうしたの?誰と来たの?」
僕は聞いた。

男の子は少し口をとがらせて答えた。

「ママと、、、ママと来たのにママいなくなっちゃった、、」

男の子はまた眼に涙を浮かべた。

僕はびっくりして男の子の手を握る。
「僕とママをさがそ?」
すると男の子は小さくうなずいて僕の手を握り返してきた。

でも僕は修学旅行中で集団行動中だ。
勝手なことをしてはいけない。
頭では分かっているのに本能的にもこの子を放置してはいけないといっているような感覚になった。

「あ、あの!この子の親、、探しに行かない?」
僕なりの勇気だった。
ふり絞った。力いっぱい叫んだ。
「え、、?そんなこと勝手に?(笑)先生に任せたら?」
そして小声でそれに遊ぶ時間なくなっちゃうよ、、、

僕は空気を読んだ。

「あ、、僕一人で探すから皆は遊んでてよ!!ちょっとだけ別行動するね!」

いこ?そういってみんなの輪から離れた。
男の子のお母さんはすぐに見つかった。

皆の輪に戻ろうとしたとき先生に呼び止められた。

「××。勝手な行動するな。君一人の行動がどれほどの人の迷惑になる。本当に6年生にもなってそんなこともわからないのか。」

僕はでも、、!
ふり絞った声だった。何かが溢れるような。

「でもじゃないだろう?みんなに謝りなさい。全く。ほんとにみんなに迷惑をかけて」

謝る?何で?僕のしたことは間違っていたかもしれない。でも泣いている子供を放置して遊ぶことが偉いの?

「ごめんなさい。。。」


そのあとは最悪だった。

僕のグループは5人グループだったからバスに乗るときは一人はぶれるのだ

「ねぇ。××。この後サファリパーク回るじゃない?バス、、先生と座ろうね?ほら、、グループ無理して入れてもらってるでしょう?だからちょっと空気読もうね?」

先生に言われた言葉で動物なんてそれどころじゃなかったし帰るまでの間ほとんど何も考えることができなかった。

地元について迎えに来ていた母を見て安心した。
自分の居場所を見つけた気がした。

「楽しかった?」
楽しくないなんて言えない。けど嘘もつけなかった。

「うん。そこそこ」

母は悲しそうな顔をした。
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