41 / 47
041 隕石撃破計画
しおりを挟む
ーー ダイサンの街 ~ 王都への街道 深夜
「師匠、月が落ちてくるって本当なのか?」
アッシュが緊張した顔で確認してくる。
「おう、正確には月そのものじゃなくて、隕石だけどな」
現在は合流したアッシュ達と現状の共有を行っているところだ。
「王都を壊滅できる威力とのことでしたが……やはり魔王軍が?」
ロウの言葉にも緊張の色が隠せない。
「魔王のスキルに【邪神の鉄槌】ってのがあるんだがな。読み方は【メテオフォール】だ。
魔王個人で扱うには規模が大きすぎるから、複数人での発動と見て間違いないと思う」
「いつ頃落ちてくるでござるか?」
「タイムリミットは今から72時間ってところだな」
「3日後……!」
「アッシュ達はこのまま王都に向って、冒険者ギルドでクエストを受けてくれ」
「なるほど、隕石を止めるクエストが受注できるというわけですね?」
「王都東の【静寂の湖】のボスを倒すクエストがあるんだが、そいつは隕石とは直接関係ないのでスルーしていい」
「スルーすんの!?」
「ボスを倒したら【きらめきの洞窟】の情報が手に入るだけなんだよ。 だから【きらめきの洞窟】に直行して四天王の【大地のゲルザイル】を倒してくれ。
そいつが隕石の制御をしている」
「【大地のゲルザイル】……!」
「討伐推奨レベルは35だが、いまのお前たち3人……4人?がかりなら余裕を持って討伐できるだろう」
「そういえばケイティはどうすんだ?」
アッシュに振られて、ケイティが会話に混じってくる。
「はじめまして、モウブさん。 私はシスターケイティ。 アッシュ君たちの強さの秘密を学ぶため、一時的に行動を共にしています」
「は、はじめまして。よろしく、ケイティ……さん」
黒ずくめのナノルナルックを除いて、面と向かって会話をするのは初めてなので、若干の緊張を隠しながら言葉を返す。
「どこかで聞いたような声……? 失礼ですが以前にお会いしたことあります?」
カリンが目を細めて俺を睨んでいる。浮気した夫を見るような目をやめなさい。
「いや、初めてだが……私はハジマリの町で衛兵をしている、どこにでもいそうな門番だよ。 きっと気の所為だろう」
「はあ、そうですか……とりあえず、アッシュ君たちの師匠のあなたに教えを請いたいのですが……」
「うーん……話を聞いていたと思うが、今はちょっと時間に余裕がなくてね……
引き続きアッシュ達に協力してもらいつつ、通信教育という形でレッスンをするのはどうだろうか」
「お手間を取らせるのは本意ではありませんので、ご迷惑でない形でご指導いただけるのならありがたいです!」
「では連絡は黒猫便でやり取りするとして……
俺たちは隕石をぶっ壊す方法を手に入れに行くとするよ」
「ぶっ壊すんですか? 魔王スキルの【邪神の鉄槌】で?」
「いや、【邪神の鉄槌】は空から隕石を引き寄せる魔法だから、手頃な隕石がないと発動ができない。
同様に、隕石に隕石を当てて角度を変えるといった対応も、計算が複雑すぎて失敗の可能性が高い。
ってことで、真正面から隕石を破壊する手段が必要ってわけだ」
右手と左手を使って説明をしていく。
「ついでに、アッシュの最強武器も手に入れとくから楽しみにしておいてくれ」
「おおーありがとう師匠! ってついでで手に入るのかよ!」
「アッシュの最強武器はとあるレースの景品になっててな。
ドラゴンに乗ってレースして、優勝したら貰えるコインで交換する剣なんだ」
「ドラゴンなんて持ってなくね?」
「おう、普通にやったらすごく大変だな。
まず野生のドラゴンをテイムするか、高額なレンタル料金払って借り受けて。
手に入れたドラゴンを訓練してレース用に調教するんだ。
与える餌や訓練内容でドラゴンのステータスが変わるから、最適な育成方法で管理してやれば……
まあ3ヶ月もあれば優勝できるステータスになるかな。くっそ高い餌使えば」
「3ヶ月じゃ、とっくに隕石落ちてんじゃん?」
「ふふふ、隕石をぶっ壊す方法を手に入れるって言っただろ? 最強の召喚獣、その名をーー【幻獣王・バハムート】」
☆ ☆ ☆
師匠達が影の中に帰っていって、見張りのローテ決めが終わったあとのこと。
ケイティが興奮した表情で話しかけてきた。
「さっきは黙ってたけど、師匠って何者なの? 普通に魔王スキルが使える体で話してたけど!?」
「言っただろ! 師匠はスゲーんだ!」
「前にステータスを教えてもらいましたけど、習得してないスキルも使えますからね師匠は」
「師匠は神ですからな。全てのスキルを使えても当然でござろう」
「あの方に付いていけば私にもその強さが手に入る……!?」
「スルタンにぶっ飛ばされたのまだ根に持ってんの?」
「違うわよ! いやちょっとはそれもあるけど、私にはやるべきことがあるの!」
「なんか話し長くなりそうだしまた今度にしねえ? そろそろ寝ないと明日にこたえるぞー」
「ーーくっ! 兄弟子がウザい……!」
ーー 隕石衝突まであと70時間
「師匠、月が落ちてくるって本当なのか?」
アッシュが緊張した顔で確認してくる。
「おう、正確には月そのものじゃなくて、隕石だけどな」
現在は合流したアッシュ達と現状の共有を行っているところだ。
「王都を壊滅できる威力とのことでしたが……やはり魔王軍が?」
ロウの言葉にも緊張の色が隠せない。
「魔王のスキルに【邪神の鉄槌】ってのがあるんだがな。読み方は【メテオフォール】だ。
魔王個人で扱うには規模が大きすぎるから、複数人での発動と見て間違いないと思う」
「いつ頃落ちてくるでござるか?」
「タイムリミットは今から72時間ってところだな」
「3日後……!」
「アッシュ達はこのまま王都に向って、冒険者ギルドでクエストを受けてくれ」
「なるほど、隕石を止めるクエストが受注できるというわけですね?」
「王都東の【静寂の湖】のボスを倒すクエストがあるんだが、そいつは隕石とは直接関係ないのでスルーしていい」
「スルーすんの!?」
「ボスを倒したら【きらめきの洞窟】の情報が手に入るだけなんだよ。 だから【きらめきの洞窟】に直行して四天王の【大地のゲルザイル】を倒してくれ。
そいつが隕石の制御をしている」
「【大地のゲルザイル】……!」
「討伐推奨レベルは35だが、いまのお前たち3人……4人?がかりなら余裕を持って討伐できるだろう」
「そういえばケイティはどうすんだ?」
アッシュに振られて、ケイティが会話に混じってくる。
「はじめまして、モウブさん。 私はシスターケイティ。 アッシュ君たちの強さの秘密を学ぶため、一時的に行動を共にしています」
「は、はじめまして。よろしく、ケイティ……さん」
黒ずくめのナノルナルックを除いて、面と向かって会話をするのは初めてなので、若干の緊張を隠しながら言葉を返す。
「どこかで聞いたような声……? 失礼ですが以前にお会いしたことあります?」
カリンが目を細めて俺を睨んでいる。浮気した夫を見るような目をやめなさい。
「いや、初めてだが……私はハジマリの町で衛兵をしている、どこにでもいそうな門番だよ。 きっと気の所為だろう」
「はあ、そうですか……とりあえず、アッシュ君たちの師匠のあなたに教えを請いたいのですが……」
「うーん……話を聞いていたと思うが、今はちょっと時間に余裕がなくてね……
引き続きアッシュ達に協力してもらいつつ、通信教育という形でレッスンをするのはどうだろうか」
「お手間を取らせるのは本意ではありませんので、ご迷惑でない形でご指導いただけるのならありがたいです!」
「では連絡は黒猫便でやり取りするとして……
俺たちは隕石をぶっ壊す方法を手に入れに行くとするよ」
「ぶっ壊すんですか? 魔王スキルの【邪神の鉄槌】で?」
「いや、【邪神の鉄槌】は空から隕石を引き寄せる魔法だから、手頃な隕石がないと発動ができない。
同様に、隕石に隕石を当てて角度を変えるといった対応も、計算が複雑すぎて失敗の可能性が高い。
ってことで、真正面から隕石を破壊する手段が必要ってわけだ」
右手と左手を使って説明をしていく。
「ついでに、アッシュの最強武器も手に入れとくから楽しみにしておいてくれ」
「おおーありがとう師匠! ってついでで手に入るのかよ!」
「アッシュの最強武器はとあるレースの景品になっててな。
ドラゴンに乗ってレースして、優勝したら貰えるコインで交換する剣なんだ」
「ドラゴンなんて持ってなくね?」
「おう、普通にやったらすごく大変だな。
まず野生のドラゴンをテイムするか、高額なレンタル料金払って借り受けて。
手に入れたドラゴンを訓練してレース用に調教するんだ。
与える餌や訓練内容でドラゴンのステータスが変わるから、最適な育成方法で管理してやれば……
まあ3ヶ月もあれば優勝できるステータスになるかな。くっそ高い餌使えば」
「3ヶ月じゃ、とっくに隕石落ちてんじゃん?」
「ふふふ、隕石をぶっ壊す方法を手に入れるって言っただろ? 最強の召喚獣、その名をーー【幻獣王・バハムート】」
☆ ☆ ☆
師匠達が影の中に帰っていって、見張りのローテ決めが終わったあとのこと。
ケイティが興奮した表情で話しかけてきた。
「さっきは黙ってたけど、師匠って何者なの? 普通に魔王スキルが使える体で話してたけど!?」
「言っただろ! 師匠はスゲーんだ!」
「前にステータスを教えてもらいましたけど、習得してないスキルも使えますからね師匠は」
「師匠は神ですからな。全てのスキルを使えても当然でござろう」
「あの方に付いていけば私にもその強さが手に入る……!?」
「スルタンにぶっ飛ばされたのまだ根に持ってんの?」
「違うわよ! いやちょっとはそれもあるけど、私にはやるべきことがあるの!」
「なんか話し長くなりそうだしまた今度にしねえ? そろそろ寝ないと明日にこたえるぞー」
「ーーくっ! 兄弟子がウザい……!」
ーー 隕石衝突まであと70時間
0
お気に入りに追加
198
あなたにおすすめの小説
【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」
何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?
後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!
負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。
やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*)
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/06/22……完結
2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位
2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位
2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
実家が没落したので、こうなったら落ちるところまで落ちてやります。
黒蜜きな粉
ファンタジー
ある日を境にタニヤの生活は変わってしまった。
実家は爵位を剥奪され、領地を没収された。
父は刑死、それにショックを受けた母は自ら命を絶った。
まだ学生だったタニヤは学費が払えなくなり学校を退学。
そんなタニヤが生活費を稼ぐために始めたのは冒険者だった。
しかし、どこへ行っても元貴族とバレると嫌がらせを受けてしまう。
いい加減にこんな生活はうんざりだと思っていたときに出会ったのは、商人だと名乗る怪しい者たちだった。
騙されていたって構わない。
もう金に困ることなくお腹いっぱい食べられるなら、裏家業だろうがなんでもやってやる。
タニヤは商人の元へ転職することを決意する。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる