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041 隕石撃破計画

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ーー ダイサンの街 ~ 王都への街道 深夜

「師匠、月が落ちてくるって本当なのか?」
 アッシュが緊張した顔で確認してくる。

「おう、正確には月そのものじゃなくて、隕石だけどな」
 現在は合流したアッシュ達と現状の共有を行っているところだ。

「王都を壊滅できる威力とのことでしたが……やはり魔王軍が?」
 ロウの言葉にも緊張の色が隠せない。

「魔王のスキルに【邪神の鉄槌】ってのがあるんだがな。読み方は【メテオフォール】だ。
 魔王個人で扱うには規模が大きすぎるから、複数人での発動と見て間違いないと思う」

「いつ頃落ちてくるでござるか?」

「タイムリミットは今から72時間ってところだな」

「3日後……!」

「アッシュ達はこのまま王都に向って、冒険者ギルドでクエストを受けてくれ」

「なるほど、隕石を止めるクエストが受注できるというわけですね?」

「王都東の【静寂の湖】のボスを倒すクエストがあるんだが、そいつは隕石とは直接関係ないのでスルーしていい」

「スルーすんの!?」

「ボスを倒したら【きらめきの洞窟】の情報が手に入るだけなんだよ。 だから【きらめきの洞窟】に直行して四天王の【大地のゲルザイル】を倒してくれ。
 そいつが隕石の制御をしている」

「【大地のゲルザイル】……!」

「討伐推奨レベルは35だが、いまのお前たち3人……4人?がかりなら余裕を持って討伐できるだろう」

「そういえばケイティはどうすんだ?」

 アッシュに振られて、ケイティが会話に混じってくる。
「はじめまして、モウブさん。 私はシスターケイティ。 アッシュ君たちの強さの秘密を学ぶため、一時的に行動を共にしています」

「は、はじめまして。よろしく、ケイティ……さん」
 黒ずくめのナノルナルックを除いて、面と向かって会話をするのは初めてなので、若干の緊張を隠しながら言葉を返す。

「どこかで聞いたような声……? 失礼ですが以前にお会いしたことあります?」

 カリンが目を細めて俺を睨んでいる。浮気した夫を見るような目をやめなさい。
「いや、初めてだが……私はハジマリの町で衛兵をしている、どこにでもいそうな門番だよ。 きっと気の所為だろう」

「はあ、そうですか……とりあえず、アッシュ君たちの師匠のあなたに教えを請いたいのですが……」

「うーん……話を聞いていたと思うが、今はちょっと時間に余裕がなくてね……
 引き続きアッシュ達に協力してもらいつつ、通信教育という形でレッスンをするのはどうだろうか」

「お手間を取らせるのは本意ではありませんので、ご迷惑でない形でご指導いただけるのならありがたいです!」

「では連絡は黒猫便でやり取りするとして……
 俺たちは隕石をぶっ壊す方法を手に入れに行くとするよ」

「ぶっ壊すんですか? 魔王スキルの【邪神の鉄槌】で?」

「いや、【邪神の鉄槌】は空から隕石を引き寄せる魔法だから、手頃な隕石がないと発動ができない。
 同様に、隕石に隕石を当てて角度を変えるといった対応も、計算が複雑すぎて失敗の可能性が高い。
 ってことで、真正面から隕石を破壊する手段が必要ってわけだ」
 右手と左手を使って説明をしていく。

「ついでに、アッシュの最強武器も手に入れとくから楽しみにしておいてくれ」

「おおーありがとう師匠! ってついでで手に入るのかよ!」

「アッシュの最強武器はとあるレースの景品になっててな。
 ドラゴンに乗ってレースして、優勝したら貰えるコインで交換する剣なんだ」

「ドラゴンなんて持ってなくね?」

「おう、普通にやったらすごく大変だな。
 まず野生のドラゴンをテイムするか、高額なレンタル料金払って借り受けて。
 手に入れたドラゴンを訓練してレース用に調教するんだ。
 与える餌や訓練内容でドラゴンのステータスが変わるから、最適な育成方法で管理してやれば……
 まあ3ヶ月もあれば優勝できるステータスになるかな。くっそ高い餌使えば」

「3ヶ月じゃ、とっくに隕石落ちてんじゃん?」

「ふふふ、隕石をぶっ壊す方法を手に入れるって言っただろ? 最強の召喚獣、その名をーー【幻獣王・バハムート】」


☆ ☆ ☆

 師匠達が影の中に帰っていって、見張りのローテ決めが終わったあとのこと。
 ケイティが興奮した表情で話しかけてきた。

「さっきは黙ってたけど、師匠って何者なの? 普通に魔王スキルが使える体で話してたけど!?」

「言っただろ! 師匠はスゲーんだ!」

「前にステータスを教えてもらいましたけど、習得してないスキルも使えますからね師匠は」

「師匠は神ですからな。全てのスキルを使えても当然でござろう」

「あの方に付いていけば私にもその強さが手に入る……!?」

「スルタンにぶっ飛ばされたのまだ根に持ってんの?」

「違うわよ! いやちょっとはそれもあるけど、私にはやるべきことがあるの!」

「なんか話し長くなりそうだしまた今度にしねえ? そろそろ寝ないと明日にこたえるぞー」

「ーーくっ! 兄弟子がウザい……!」


ーー 隕石衝突まであと70時間
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