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昔の毒舌女

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「おじゃましまー…す…」
俺は今、姫条の家に来ている。驚くべきことに姫条の家は駅の近くの高層マンションの最上階であった。容姿端麗、頭脳明晰ときて金持ちとか神は二物どころか三物くらい与えているのである。
「そう畏まらなくていいわよ。私たち以外誰もいないんだし。」
「いや、だってよぉ、おまえここ最上階だぞ。平民出身の俺には荷が重いぜ。」
「そういうもんなのかしらね。まぁいいわ。軽く何か作るから、私の部屋に行ってなさい。私の部屋はこの廊下の1番奥にある部屋よ。」
そういうと姫条は台所へ向かった。とりあえず、言われた通り俺は姫条の部屋に向かった。姫条の部屋はとても片付いていた。掃除もしっかり行き届いており、きっと普段から欠かさず掃除をしていることがうかがえる。すると俺の目に1つの本が目にとまる。
(これ、姫条の中学のアルバムだ。相模のことは昔から知り合いみたいなこと言ってたし、もしかして手がかりになるかも。)
俺はそう思いアルバムを見た。すると相模の写真はすぐ見つかった。ショートで快活そうな女の子である。昨日の憎悪にまみれた顔が想像できないような明るい普通の女の子。やっぱり昨日のは”異常”だ。嫉妬する気持ちはわかる。だが、あそこまでするのは何かの作用があったからと考えてしまう。
(これが俺の考えすぎだといいけど。)
相模のついでに昔の姫条もみてみた。今と同じ髪型であり変わったところはあまりみられなかったが、1つだけ決定的に違うところがあったのだ。クラスメイトらしき人たちと笑っている。それもすごく楽しそうに。
(あいつもこんな笑い方できるんだな)
「人のものを勝手にみるなんて貴方いい趣味してるわね。」
ドキッとしながら後ろを向く。知らぬ間に姫条が仁王立ちしていた。
「い、いやぁ相模のことの手がかりになるかと思ってたんだけど…」
「見たのは舞の写真だけ?」
「そりゃそうさ。」
姫条ははぁ~と深いため息をつく。
「まぁいいわ、とにかくご飯ができたからリビングにいらっしゃい。」
そういうと姫条は去っていった。ふぅとため息をつくと俺は背中に汗をかいていたのを感じる。意外にもあっさりと許してくれた姫条に対し俺は少し違和感を感じていた。
(正直、ビンタくらいは覚悟していたが…。まぁ今は姫条より相模か。)
そう思い、俺もリビングに向かうのであった
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