【事例で考える】もてない男・女がやるべきこと／やってはいけないこと

※付録４【ショートストリー】見合い相手は皆講師

　拝啓、私の見合い相手だった人。

　今、どんな生活をしていますか？

　どんな人と結婚したのですか？

　幸せに暮らしていますか？

　私のことを一方的に嫌がった人

　私の方が一方的に嫌がった人

　私のことを信用するに値しないと判断した人

　私の方が信用するに値しないと判断した人

　全くお話にならなかった人

　もしかしたら気が合いそうに思えて結局合わなかった人

　いろいろいましたね。

　でも、私はあなた達に、僅かな時間でも会えたことはよかったのかもしれません。

　何故ならあなた達に会ったことによって、いろいろなことを学習させていただいたからです。

　私はもともと女性とはまともに話もできない人間でした。

　女嫌いとまではいかないにしても、結婚とか、恋愛とかには、あまり魅力を感じていませんでした。

　魅力を感じない代わりにリスクというものを感じ、女性には心を閉ざしていました。

　そんな状況にも関わらず、親や親戚から、
「早く結婚しろ」
　と言われて、いろいろな人から紹介されて、しぶしぶ見合いに応じました。

　でもやっぱり私には、大きな無理がありましたね。

　長年女性に対して心を閉ざしていた私がいきなり女性に会ってみても、まともに身動きすらできませんでした。

　女性に関するノウハウもなく、何を話していいのかもわからず、どのような付き合い方をしていいのかも全くわかりませんでした。

　あなた達にとって、こんな私と会っていた時間は、さぞかし無意味なひとときだったのでしょうね。

　聞くところによると、私のことを「あほっぽい」「何の魅力も感じない」「何か気難しそう」「怖い感じがする」等、いろいろ思った人もいたそうですけど。

　でも、今にして思えば、私にとってのあなた達は、見合い相手というよりは、何かのセミナーの講師だったように思えます。

　心を閉ざしながらも、いろいろな女性会ってみて、
「女は皆、こういう者だ」
　と一律に決め付けた見方が誤りだということがわかるようになりました。

　全く信用できない人もいれば、多少は信用できる人もいました。

　あることに興味を持つ人もいれば、持たない人もいる、あることを好む人もいれば、嫌う人もいることなどもわかりました。

　女性と応対する時は、もっとこうすべきではないかということも、いろいろ考えさせられました。

　とにかく、いろいろなことを学習させていただいたのです。

　偏りのあった自分の人生経験に新しい光を差し込み、新しい風を吹き込み、私に新しいものの見方や考え方を発見させたのです。

　そしてその学習したことの積み重ねにより、今の妻と出会って、実を結ぶことができたのです。

　妻と巡り会い、夫となり、そして父親になれることができたのは、私の「見合い相手」という名のセミナー講師のみなさんと一時的に会って、勉強させていただいたおかげです。

　本当にありがとうございました。

　みなさんのご健勝、ご多幸をお祈り申し上げます。
　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敬具