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二章
平行世界
しおりを挟むかつて、平行世界は存在しなかった、、、、、、
空想上の物語にしか存在しない天使や悪魔、神に魔法の類を封じる為に大魔法ワールドトランスによって二つの世界に分けられた。
分けられた事を気づかれたなら人類は滅んでいただろう、、、、、、
神を騙す以外に人類は神々の戦争では生き残れず、反撃すらできず、銃弾のように使い捨てられていたはずなのだから、、、、、、
人類最初で最後の反撃、それは大魔導師 アーク の魔法による攻撃魔法でも、召喚魔法でも無く、世界、神々や天使、悪魔をも欺く明鏡止水という当時存在しなかった魔法でした。
憎しみの連鎖や敵意そのものを明鏡止水によって欺かれた事により、強大な力を持つ神々は新世界ヴァルハラに身を潜め、天使と悪魔、神々の1000年に渡る戦争は幕を下ろした。
まばゆい光が少しずつ弱くなってきた。
どうやら転移が終了したようだ、、、、、、
気がつくとボディーソープの生暖かい匂いがした。
少年が目を開けるとそこには、アスカのお尻が口の上に、、、、、、
戸惑ってお尻を掴んだ時、カプセルが蒸気を吹き出すような音をたてて開らいた。
白い煙が床を覆って、見慣れない服を着た2人が宙の机に肘をついて見下ろしている姿が見え、一瞬動きを止める。
そこへユウナが薄笑いをしながら近いて来て、少年をからかった。
「アスカに殺されても、知らへんよ~」
少年は慌てアスカの身体を横にズラして、カプセルから飛び出し恐る恐る振り向いてみると、アスカは頭をぶつけたのか、血を流して気を失っているのを見てホッとする。
「あっ、、、、、、良かった~起きてたら絶対殺されてるよ今の、、、、、、」
微かに残る唇の感触とボディーソープの匂いのせいか?少年の鼓動は普段の倍で打っているのが分かる。
白い煙が消え始め、周りを見渡すと、体育館のような広い空間に空き缶のような物が無数に浮いて、ナイトクラブみたいな青白いLEDが線を描くように、壁一面敷き詰められていた。
宙に浮かぶ2人組は、少年よりアスカの方を見て、心配そうにしていた。
「失敗したのか?生きてる?」
ユウナが右手をかざすと電子画面が開き、アスカの身体は宙に浮かび上がった。そして彼女の身体が一瞬で光に包まれ、光が消えて数秒後、傷が塞がり始めて腕を伸ばし、意識を取り戻した。
「うーん、あれ?もう着いたの?」
ユウナは明るい声で少年を歓迎し、宙の2人は立ち上がって拍手をした。
「平行世界へようこそ~。パチパチ。此処には、アナザーワールドと同じ人々や建物が存在します。ただし、あちらの世界では何もない月や火星には国があります。月には天使の国、火星には悪魔の国があり、その間に暗黒に包まれた謎の惑星ムーが存在して、5メートル近い3つの門で
繋がっています」
異様な姿の2人を観察しながら少年はユウナに問いかけた。
「じゃあコッチの俺はどうしてる?」
片方の青年はパッと見、戦士に見えるが天使のようだ、、銀の鎧に身を包み、鎧の隙間から8つの翼が生えている。青白い光のせいで青白翼に見えた。
もう片方は口から小さく八重歯が出ていて、金髪セミロングの髪型をしている幼女だ。袖に赤いラインの入った上着を羽織り、黒いチャイナドレスの様な服を着ていた。
少年は悪魔なのか判断がつかなかった。
ユウナは暗い顔になり、右斜めに目線を落として少年の問いに応えた。
「崩壊に巻き込まれ、お亡くなりになりました」
少年の予想していた通りだったのか、宙に浮かぶ空き缶の様な物を手に取り、素っ気なく応えた。
「そっか。これは何だ?」
触り心地は少し生暖かい。
正面から見ると、理科室等でよく見る棚の絵に見える。
ユウナは少年が素っ気なく応えた事が少し気がかりだったが、近くの空き缶の様な物を手に取り少年の問いに応えた。
「これは魔法で小さくした冷蔵庫や、薬品の入った棚などの家具類で、この状態の缶をボペットと呼びます。本当は袋にまとめてあるのですが、お恥ずかしい話、バタバタしているうちに散乱した状態になっています。電力の必要な家具はあちらの世界と違って自動で転送されているのでコンセント等は存在しません」
ボペットを宙に放し、金髪幼女と鎧を着た青年が宙に浮いて、椅子に腰掛けテーブルを囲んでいる2人を見上げた。
忘れさられ、宙に浮いたままのアスカはユウナに下ろすよう訴えた、しかし、ユウナは操作を間違えたらしく、2メートルの高さから落とされた。
「下ろして~キャッ、痛っ」
ユウナはアスカに駆け寄った。
「ごめ~ん、だ、大丈夫?」
アスカは尻餅をついたらしく、お尻を摩りながら応えた。
「絶対わざとでしょ?」
ユウナは合掌しながらアスカに謝ってい時、金髪幼女と目が合い、首を傾げながらユウナに問いかけた。
「食べても、、、、、、いい?」
金髪幼女は今にも襲いかかる体制で、少年を見つめている。
許してもらえた様子で、ユウナはアスカの胸に顔を埋めながらむにゃむにゃと応える。
「ダメよ。アークの子孫なのよ」
鎧を着た青年が少年を見ながら名前を聞いた。
「君、名前は?」
包容しているユウナとアスカは名前を聞くのを忘れてた事に驚いた。
「しっしまった!名前聞くの忘れていた」
少年は初めて名前を聞かれて、涙を浮かべ嬉しいそうに答えた。
「水月、水月といいます」
2人は驚きを誤魔化すように、冷蔵庫のボペットを元の大きさに戻し、青いペットボトルを手に取って飲み始めた。
「ゴク、ゴク、ゴク、あーっ仕事の後はやっぱこれだねー、ロックのノッポ」
ユウナは便乗して同じノッポを飲んだ。
「ゴク、ゴク、っぱー、止められない止まらないーこれがロックのノッポだよねーあは、あはは~」
2人とも絶対笑って誤魔化してると思う水月だった。
ユウナは真剣なら顔をに戻り、電子画面を宙に展開して状況を説明を始めた。
「それでは状況を説明する。此処は崩壊の始まった平行世界、4つの惑星からなるこの世界は、天界アルカディアスと魔界バロン、我々が住む下界アース、そして謎の惑星ムーがゲートにより繋がり、互いに行き来しながら平和に暮らしていました。
そして大賢者アーク様は人類の科学と魔法を数世紀先まで進展させた天才です。 老衰によりこの世をさられた事がきっかけに、この宙域が崩壊を始めました。しかし、遺伝子が同じならあなたなら、大賢者様の魂をあなたの身体に憑依させる事で、この世を救えるかもしれないのです」
説明を終えて振り返ると、金髪幼女に首を噛まれそうになっていた水月がいた。
「話は分かった、分かったから~こいつをなんとかしてくれ~」
水月はユウナに助けを求めたが、ユウナは見なかった事にして話を続けた。
「崩壊の始まりを察知した各国の首相はこれを食い止める為、対策本部エターナルを結成した。此処にいるのがそれぞれの惑星のトップ。アルカディアス代表、そちらにいらっしゃる青年ルキア。バロン代表、あなた側にいられるアンナ。そしてアース代表、ここにいるアスカです」
電子画面から水月の方を向くと、水月は変わり果てた姿になって床に倒れている。
ユウナが唖然としていると、ルキアがゆっくりと舞い降りて来て蘇生術を始めた。8枚羽が輝き、少年の身体に脈が戻り始めた。
ユウナは残りの説明を後日、アスカにお願いすると、煙のように消えていった。
「目を覚ましましたら、説明お願いします」
「了解です」
蘇生が終わり気を失っている水月をルキアが部屋へと運び、その日は解散した。
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