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序章
序章
しおりを挟むいつもと変わらない少し肌寒い、1人暮らしの休日。
視線を感じ目を開けてみると、宙に浮かぶ夕焼けのようなオレンジ色の髪をしたワンピース姿の少女が浮かんでいた。
寝ぼけていた少年は、まどろみにみた夢と現実がごっちゃになる。
「テリマヨピザとコーラを一つ以上で」
むにゃむにゃ言うと睡魔に誘われるように目を閉じた時、朝日が差し込み始めた。
ピザの店員と間違えられたオレンジ髪の少女は、眉間にシワを寄せながら耳元で叫んだ。
「1億円になりまーす!」
耳元で大きな声を出されて、目を見開き、叫びをあげながら飛び起きた。
「高いわああああ!」
朝日を避けるように床に敷かれた布団と本棚の間に立っている見慣れない少女を見て、少年は首を傾げた。
「誰?」
少女は少年の問いに答え、笑みを浮かべながら自己紹介を始める。
「初めまして、私の名前はユウナと申します。折り入ってお願いがあり、参りました」
先ほどとは違うお嬢様風に自己紹介を終えて少年を見が、少年は胸元に目を奪われ、目を輝かせて言った。
「本物?」
少年の目には自己紹介をするユウナの姿より、豊満な胸に心を奪われていのだ。
ユウナは顔を真っ赤にし、胸を手で隠しながら、少年の顔を見て叫んだ。
「人の話聞けや~」
途端に、食べ終わったインスタントラーメンやペットボトルの散乱する部屋で突風が起き、散乱していたゴミが少年に襲いかかるが、夢だと思っているのか、全く動じずに少年はいやらしい顔をしながら平謝りをし、胸に手を伸ばして触ろうとする。
「痛っ、悪かった悪かった、、、、、、?」
触れなかった少年は、そこで半透明な事に気づき視線を顔に向ける。ユウナははんにゃの様な形相で頭突き、少年は意識を失った。
時計の針が12時を過ぎた頃、床に敷いてある布団の上で頭を抱えながら目が覚め、身体を起こした。本やパソコンの置いてある三畳程度の部屋で、消したはずのテレビの音が聞こえ、その方向へ視線を向けると、オッサンの様に肘をついて横になり、チョメチョメっていいともを見ている少女の姿があった。
少年はそーっと後ろから逃げようとするも、辺りに散らばった食べ終わったラーメンの容器を踏んでしまい、気づかれる。
「やっと起きましたか、少年」
寝そべりながら振り返るユウナの顔がはんにゃの形相と重なって見えた。
少年はたじろぎ、飲みかけのペットボトルにつまずいて布団に倒れ、震えながら要件を聞く。
「な、何の御用ですか?」
少年の問いに応えるように立ち上がり、ワンピースの裾を少し上げ、お嬢様風に説明を始める。
「先ほどは失礼しました」
少年は相変わらず胸を見ているが、気にせずに説明を続ける。
「少年よあなたの世界は、人類が滅ばないよう、バックアップ用に作られたアナザーワールドです。
そして貴方は、人類最後の大賢者の子孫にあたります。崩壊を始めた平行世界を救う為に、貴方の遺伝子が必要です。これよりこのアナザーワールドから平行世界へと転移します」
説明を終え、目を開けるとそこには、パンツ一丁でニヤニヤしながら近づいて来る少年の姿が。
「つまり子作りを、、、、、、」
言い終わる前に、ユウナは赤面しながら、蹴りが股間に炸裂。
「クソガキがーボフッ」
少年は目が飛び出そうな顔をして、股間を抑えて疼くまった。
「うっギャー、、、、、、」
そんな姿をよそに、おもむろに胸元あたりで片手をタッチ画面に触るようなアクションを取ると、電子画面が展開され、立体に表示されているマネキンの服を選択した。
すると、股間を抑え激痛で白目を向いたまま気を失っていた少年の身体は宙に浮き、光に包まれて、メイドの服装へと見る見るうちに変わる。
少女はそんな少年を宙に浮かせ、気を失ったまま連れて、靴の散乱する玄関へ向かい風鈴の音が鳴る。
「とりあえず行くぞクソガキ」
しかし少年は女座りで意気消沈し、ユウナの声も届いていない。
こうして少年の奇妙な物語が始まった。
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