私が遊んだファミコンソフト

矢木羽研

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ドラえもん ギガゾンビの逆襲(エポック社・1990年)

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 プレイ時期:1990年ごろ
 ソフト入手:誕生日に買ってもらう
 クリア状況:エンディングまで
 おすすめ度:★★★★

 *

 ファミコンソフトを買う(買ってもらう)時は、新品にしても中古にしても発売から年数が経って安くなったものが多かったのだが、本作は発売直後に、なおかつ自発的にプレイした数少ないソフトである。ドラクエなどのRPGに興味があり、なおかつ当時大好きだったドラえもんのゲームということで、発売前から注目していたのだ。

 戦闘システムはオーソドックスなドラクエ式だが、「秘密道具」の存在がポイントである。何度でも使用できるが、使うたびに通貨(どらやき)を消耗する。同じ秘密道具は1つしか存在しない。つまり、パーティ全体で魔法を誰に装備させるかというシステムとなっている。なお、秘密道具とは別に普通の消耗品アイテムも存在するが効果は低め。

 敵は単体物理攻撃と眠りの魔法くらいしか使ってこないので、戦闘は単調。エンカウント率は高めだった気がするが、リソースは十分にある(アイテムの燃料であるどら焼きは大量に蓄えられる)ので、当時まだまだRPGが苦手だった私でも少しずつ進められた。おそらく、攻略本に頼らずにクリアできた初めてのRPGだったと思う。

 子供がメインターゲットということで全体的に親切な作りになっており、例えば「相談」コマンドで次の目的地やヒントを確認したり(この会話自体も面白い)、ドラえもんの「ポケット」には無限ではないものの大量のアイテムを備蓄できる。武器や防具は店で売っておらず拾い物・貰い物限定だが、だからこそ回復アイテムにつぎ込むことができるといった具合だ。

 物語はドラえもんの映画版(大長編)がベースで、そのアフターストーリーとなっている。タイトルにもなっているギガゾンビ(『のび太の日本誕生』のボス)が復活して、歴代のボスキャラを復活させて世界を荒らすのを止めに行くという筋書きである。当時、レンタルビデオでよくドラえもんの映画を見ていたので馴染みがあった。

 難易度の緩急も面白く、特に第2章である海底編では、レベル1で加入するのび太を守りながら育てていかなければならない。惜しいのは射撃名人という設定が生かされていないこと(銃モチーフの武器や秘密道具はあるが、のび太が使ってもボーナスはない)であるが……。

 「のび太たちの住む町」を拠点として、魔界・海底・地底・古代の4エリアがあるが、クリアしたエリアには戻れないというのはちょっと残念。移動手段がなくなるわけではないので、ストーリー上も戻れない理由はないと思うのだが(まあ進行度に応じたセリフを入れるだけの容量がなかったのかも知れない)。主に、秘密道具を取り逃した場合は取り返しがつかなくなる。とはいえ本作はレベルさえ上げればどうにでもなるように作られているので、致命的にはならないという判断なのだろう。

 ともかく、ドラえもんというキャラクターに甘えずに、非常に丁寧に、それでいて新しい要素も盛り込んで作られた良作のRPGだといえる。復刻もされていないので、現在ではプレイが困難なのが惜しいところである。
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