私が遊んだファミコンソフト

矢木羽研

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ファイナルファンタジー3(スクウェア・1990年)

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 プレイ時期:1998年ごろ
 ソフト入手:友人に借りる
 クリア状況:エンディングまで
 おすすめ度:★★

 *

 おそらくこのページを開いた人の多数は高評価を期待したのではなかろうか。世間の評価と私個人の評価が噛み合っていないことは承知している。プレイしたことのあるFFシリーズのなかで、2回以上クリアしていないのは本作のみである。本当に、合わなかった。

 まず印象が悪いのは「逃げる」コマンドが事実上封印されていることである。私はRPGをプレイするときは最低限の戦闘以外はなるべく逃げるタイプなのだが、本作ではそれが通じない。逃げ腰状態では防御力が激減してあっという間に全滅してしまう。まともに逃げるには、幻術師でチョコボを召喚した上で白を引くしかなく、使用できる場面が極めて限定される。

 本作の目玉であるジョブシステムについても、場面ごとに切り替えを強制されているような感じが嫌だった。小人になったら物理が無意味なので魔道士とか、バリアチェンジ対策に学者で弱点を見破るとか、竜騎士で全員ジャンプとか、魔剣士でないとまともに戦えないとか。挙句の果てには上位互換への乗り換えが前提となる。なまじ『FF5』を先にプレイしていたので、ジョブシステムが窮屈なだけで面白さに全く繋がらなかったのだ。

 ストーリーも主人公たちが無個性な上に、お涙頂戴の茶番劇(実は生きてたパターン乱発で本当に茶番)に巻き込まれるだけ。同じ無個性なら『FF1』くらい淡々としていればまだよかったのだが。浮遊大陸から出た時の海の広さには感動したものの、大陸が復活するとそのスカスカっぷりに幻滅させられることになる。

 事情は理解できる。ノウハウや容量の不足もあったのだろう。実際、ジョブシステムにしてもメインキャラにしても世界の見せ方にしても、『FF5』において大いに発展することになる。本作は「たたき台」として必要だったのは間違いない。

 ラストダンジョンも許していない。前述の「逃げられない」仕様の上で長大なダンジョンを走らされる。フェニックスの尾もエリクサーも超貴重品で思うように使えない。挙句の果てには初見殺しのようなトラップまで仕込まれていて、本当にうんざり。

 本作にまつわる出来事で印象的なのは、DSでのリメイクに際して「ラストダンジョンはそのまま」と公言した開発者と、それを好意的に受け止めたファンである。もうついていけない、無理だと思った。自分はFF3には完全に合わないんだと思った。

 グラフィックを始めとする演出面はファミコンとしては非常に高水準であり、リアルタイムでプレイしていたら感動したかも知れない。あくまでも「今遊ぶゲーム」として見るのならば、低めの評価にならざるを得ないのである。

 手元にはファミコンカセットは無いのだが、3DSにはバーチャルコンソール版が入っている。浮遊大陸で止まったままで、今後続きをプレイする機会があるかどうかは不明である。
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