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ドラゴンクエスト4 導かれし者たち(エニックス・1990年)
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プレイ時期:1990年ごろ
ソフト入手:親戚に買ってもらう
クリア状況:エンディングまで
おすすめ度:★★★★★
*
ドラゴンクエストシリーズの一つの完成形と言ってしまっても良いだろう。本作について一言で表わせば、ゲームとストーリーの完全な融合である。パラメータ設定に始まるゲームバランスが、セリフよりも雄弁に物語る。これはシリーズ共通の特徴であるが、それが最も高い完成度でまとまったのが、このファミコン版(重要!)の4であると考える。シリーズファンであれば、たとえリメイク版を経験済みであっても、なんとしてでもファミコン版をプレイすべきである。
本作の特徴は、まずは全5章の章立てシナリオ。といってもメインは最後の第5章であり、それまでの章はキャラ紹介用の短編のようなものではあるが、これがよくできていた。
第1章では王宮戦士が主人公なので、そこらへんの雑魚は最初から一撃。ただし魔法は使えないので継戦能力は弱い。それで登場するのが初の仲間キャラのホイミンである。シリーズ常連のモンスターが本作では味方になる(敵でも出てくるが)。ライアンと対象的に戦闘には不向きだが、絶妙のタイミングで体力を回復してくれる。
第3章のトルネコは商人で、戦いより商売が得意。そこで登場するのが日雇いの傭兵だ。か弱い姉妹を操作する第4章では、父の弟子であるオーリンという青年が仲間になり、これがめちゃくちゃ強い。セリフなどろくになくグラフィックも汎用デザインだが、オーリンの大きな背中に守られる頼もしさというものを強く実感できるのだ。
さて、本作ではその章の主人公以外はコマンド操作できず、AIにより自動行動する。第5章では作戦により細かい制御も可能。戦っているうちに敵の弱点を把握して、より適切な行動をとるようになる。逆に言えば、それまでは無駄撃ちが多いということでもあるが、物理攻撃主体の編成をすれば困らない。学習データはパーティで共有されるので、物理で学習して魔法で蹴散らすというのが基本スタイルである。
個人的にAIに関する唯一の不満は、スクルト(守備力強化)やバイキルト(攻撃力強化)といった強力な補助呪文をろくに使ってくれないことである。使わなくてもなんとかなるのだが、前作のプレイヤーであれば「ボス戦では真っ先に強化」という常識が染み付いているので不満感は強い。まあ、積極的に使ってきたならそれはそれで、凍てつく波動(ステータス初期化)のたびにスクルト連発してうんざりしたかも知れないが。
本作は何も考えずにプレイしても面白かったのだが「5章での再加入時に備えて換金アイテムを持ち込む(現金は持ち込めないので)」「一時加入のNPCを限界まで連れ回す」「敢えて敵にマホステ(呪文完全無効化のバリアを貼る)をかけて、味方から敵への攻撃呪文を抑制する」といったテクニックを使いこなすことで、ゲームの印象ががらりと変わる。DQシリーズではここまで必勝法じみた攻略法が存在するのは珍しい。
ストーリーは地獄の帝王エスタークを倒したあたりが山場で、ゲームとしての難易度もそこがピークとなる。あとは物量に任せた消化試合のようになり、特に魔界へのダンジョンは長いだけで苦戦もせずにひたすらダレるし、そのダンジョンで無駄にレベルが上がりまくることもあって、終盤のボス戦はセリフも相まって「残党狩り」そのものである。とはいえ、このあたりの緩急のかけかたもおそらく意図的なものであろう。
力がなかったばかりに一人の友人(恋人?)すら守れなかった勇者と、最強の力を手に入れたにも関わらず目を離したばかりに最愛の人を失った魔王による、切ない幕引きである。エンディングは一応ハッピーエンドだと解釈はしているのだが。
なお、私はリメイクの追加ストーリーについては基本的に肯定派である(黒幕の動きについてはもう少しどうにかできなかったのかと思うが)。リメイクで気に入らないのはあくまでもゲームバランス面や、歪められたAIシステムなので。
ソフト入手:親戚に買ってもらう
クリア状況:エンディングまで
おすすめ度:★★★★★
*
ドラゴンクエストシリーズの一つの完成形と言ってしまっても良いだろう。本作について一言で表わせば、ゲームとストーリーの完全な融合である。パラメータ設定に始まるゲームバランスが、セリフよりも雄弁に物語る。これはシリーズ共通の特徴であるが、それが最も高い完成度でまとまったのが、このファミコン版(重要!)の4であると考える。シリーズファンであれば、たとえリメイク版を経験済みであっても、なんとしてでもファミコン版をプレイすべきである。
本作の特徴は、まずは全5章の章立てシナリオ。といってもメインは最後の第5章であり、それまでの章はキャラ紹介用の短編のようなものではあるが、これがよくできていた。
第1章では王宮戦士が主人公なので、そこらへんの雑魚は最初から一撃。ただし魔法は使えないので継戦能力は弱い。それで登場するのが初の仲間キャラのホイミンである。シリーズ常連のモンスターが本作では味方になる(敵でも出てくるが)。ライアンと対象的に戦闘には不向きだが、絶妙のタイミングで体力を回復してくれる。
第3章のトルネコは商人で、戦いより商売が得意。そこで登場するのが日雇いの傭兵だ。か弱い姉妹を操作する第4章では、父の弟子であるオーリンという青年が仲間になり、これがめちゃくちゃ強い。セリフなどろくになくグラフィックも汎用デザインだが、オーリンの大きな背中に守られる頼もしさというものを強く実感できるのだ。
さて、本作ではその章の主人公以外はコマンド操作できず、AIにより自動行動する。第5章では作戦により細かい制御も可能。戦っているうちに敵の弱点を把握して、より適切な行動をとるようになる。逆に言えば、それまでは無駄撃ちが多いということでもあるが、物理攻撃主体の編成をすれば困らない。学習データはパーティで共有されるので、物理で学習して魔法で蹴散らすというのが基本スタイルである。
個人的にAIに関する唯一の不満は、スクルト(守備力強化)やバイキルト(攻撃力強化)といった強力な補助呪文をろくに使ってくれないことである。使わなくてもなんとかなるのだが、前作のプレイヤーであれば「ボス戦では真っ先に強化」という常識が染み付いているので不満感は強い。まあ、積極的に使ってきたならそれはそれで、凍てつく波動(ステータス初期化)のたびにスクルト連発してうんざりしたかも知れないが。
本作は何も考えずにプレイしても面白かったのだが「5章での再加入時に備えて換金アイテムを持ち込む(現金は持ち込めないので)」「一時加入のNPCを限界まで連れ回す」「敢えて敵にマホステ(呪文完全無効化のバリアを貼る)をかけて、味方から敵への攻撃呪文を抑制する」といったテクニックを使いこなすことで、ゲームの印象ががらりと変わる。DQシリーズではここまで必勝法じみた攻略法が存在するのは珍しい。
ストーリーは地獄の帝王エスタークを倒したあたりが山場で、ゲームとしての難易度もそこがピークとなる。あとは物量に任せた消化試合のようになり、特に魔界へのダンジョンは長いだけで苦戦もせずにひたすらダレるし、そのダンジョンで無駄にレベルが上がりまくることもあって、終盤のボス戦はセリフも相まって「残党狩り」そのものである。とはいえ、このあたりの緩急のかけかたもおそらく意図的なものであろう。
力がなかったばかりに一人の友人(恋人?)すら守れなかった勇者と、最強の力を手に入れたにも関わらず目を離したばかりに最愛の人を失った魔王による、切ない幕引きである。エンディングは一応ハッピーエンドだと解釈はしているのだが。
なお、私はリメイクの追加ストーリーについては基本的に肯定派である(黒幕の動きについてはもう少しどうにかできなかったのかと思うが)。リメイクで気に入らないのはあくまでもゲームバランス面や、歪められたAIシステムなので。
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