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ケルナグール(ナムコ・1989年)
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プレイ時期:2000年ごろ
ソフト入手:中古で数百円で買う
クリア状況:完全育成&タオタイラーに勝利
おすすめ度:★★★★★
*
対戦格闘ゲームというジャンルが定着する以前に生まれた対戦格闘もの。タイトルからはわかりにくいが、中国拳法がモチーフである。
ファミコンでは容量などの都合でいろいろ無理があるのだが、本作は「すべてのキャラを同一デザインの色違い」にすることで解決している。あらかじめ能力と使える技(コマンドではなく、相手との位置関係によって出る技が決まる)が決められた15人に加えて、ストーリーモードでプレイヤーが自由に育てたキャラを使用できる。
格闘ゲームとしての評価は私にはできないので保留するのだが、本作のメインはこのストーリーモードである。最初は、おまけ程度にRPG風のモードがついているだけかと思っていた。しかしその実態は、極限まで単純化して洗練した、ある種の究極のRPGであった。
移動画面は見下ろし型、戦闘は横視点の格闘アクションで行われる(これをもって、同じナムコの『テイルズ』シリーズの源流と言えなくもない)。主人公は最初は前後への移動とパンチしか出来ない(ジャンプやしゃがみすら不可!)が、寺や仙人の修行を受けることで使える技(行動)が徐々に増えていく。リーチの長いキックや、ジャンプやしゃがみ、そこからのジャンプ攻撃や下段攻撃といった具合である。
今でいうオープンワールド型で、最初から世界の隅から隅まで移動できる。街道の上ではエンカウントも一切ない。寺での修行は必須(基本行動をすべて覚えないと仙人が相手をしてくれない)だが、基本的に好きなようにプレイできる。馬を利用したファストトラベルで一度行った町には瞬時に移動できるのも嬉しい。
一部のボスは固定パラメータ、ランダムエンカウント雑魚は主人公と同じ能力で、勝つと最大HPが上がる。HPは戦闘ごとに完全回復し、宿屋や回復アイテムといった概念はない。そもそもアイテムを一つしか持てず、お金の概念もない(アイテムとしての「お金」はあるが金額で管理しているわけでもない)のに、RPGのイベントが成り立つのである。
ストーリーらしきものは特になく、各地を巡ってパワーアップを繰り返す。寺での修行のほかは、攻撃力や移動速度といった基本能力が段階的にパワーアップしていく。怪しい地形には大抵はなにかがあり(調べると特別なメッセージがある)、以降の何らかのイベントでほぼ必ず出番がある。そのため、「こまめにチェックしてメモする」というRPGの基礎を徹底的に叩き込まれる。
イベントは中国古典からギャグ、業界内の楽屋ネタ(なんと「ちいさなメダル」がドラクエシリーズに先んじて登場する!)まで幅広く、最低限のセリフで楽しませる工夫がある。パスワード式だが、ゲーム自体のシンプルさが幸いしてかわずか12文字で全く負担にならない。非常にユーザーフレンドリーである。
アクション面は割と大味。特に飛び蹴り(寺で覚える基本技に加え、仙人から習得する「飛燕脚」がある)が非常に強力で、バッタ戦法で簡単に勝てるようになっている。逆に言えば、アクションが苦手でもそれほど苦労せずにクリアできるようになっている。対人戦はまともにやったことがないのだがどういうバランスなのだろうか。
ともあれRPG部分だけでも十分評価に値する。日本式のRPGというものが定着してきたこの時代に、敢えて極限までシンプルにしたものを出す潔さは、現代でも色あせないだろう。私はノーヒントで完全クリアしたのだが、謎解きのさじ加減は今までプレイしたどんなRPGよりも絶妙だったと感じている。
ソフト入手:中古で数百円で買う
クリア状況:完全育成&タオタイラーに勝利
おすすめ度:★★★★★
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対戦格闘ゲームというジャンルが定着する以前に生まれた対戦格闘もの。タイトルからはわかりにくいが、中国拳法がモチーフである。
ファミコンでは容量などの都合でいろいろ無理があるのだが、本作は「すべてのキャラを同一デザインの色違い」にすることで解決している。あらかじめ能力と使える技(コマンドではなく、相手との位置関係によって出る技が決まる)が決められた15人に加えて、ストーリーモードでプレイヤーが自由に育てたキャラを使用できる。
格闘ゲームとしての評価は私にはできないので保留するのだが、本作のメインはこのストーリーモードである。最初は、おまけ程度にRPG風のモードがついているだけかと思っていた。しかしその実態は、極限まで単純化して洗練した、ある種の究極のRPGであった。
移動画面は見下ろし型、戦闘は横視点の格闘アクションで行われる(これをもって、同じナムコの『テイルズ』シリーズの源流と言えなくもない)。主人公は最初は前後への移動とパンチしか出来ない(ジャンプやしゃがみすら不可!)が、寺や仙人の修行を受けることで使える技(行動)が徐々に増えていく。リーチの長いキックや、ジャンプやしゃがみ、そこからのジャンプ攻撃や下段攻撃といった具合である。
今でいうオープンワールド型で、最初から世界の隅から隅まで移動できる。街道の上ではエンカウントも一切ない。寺での修行は必須(基本行動をすべて覚えないと仙人が相手をしてくれない)だが、基本的に好きなようにプレイできる。馬を利用したファストトラベルで一度行った町には瞬時に移動できるのも嬉しい。
一部のボスは固定パラメータ、ランダムエンカウント雑魚は主人公と同じ能力で、勝つと最大HPが上がる。HPは戦闘ごとに完全回復し、宿屋や回復アイテムといった概念はない。そもそもアイテムを一つしか持てず、お金の概念もない(アイテムとしての「お金」はあるが金額で管理しているわけでもない)のに、RPGのイベントが成り立つのである。
ストーリーらしきものは特になく、各地を巡ってパワーアップを繰り返す。寺での修行のほかは、攻撃力や移動速度といった基本能力が段階的にパワーアップしていく。怪しい地形には大抵はなにかがあり(調べると特別なメッセージがある)、以降の何らかのイベントでほぼ必ず出番がある。そのため、「こまめにチェックしてメモする」というRPGの基礎を徹底的に叩き込まれる。
イベントは中国古典からギャグ、業界内の楽屋ネタ(なんと「ちいさなメダル」がドラクエシリーズに先んじて登場する!)まで幅広く、最低限のセリフで楽しませる工夫がある。パスワード式だが、ゲーム自体のシンプルさが幸いしてかわずか12文字で全く負担にならない。非常にユーザーフレンドリーである。
アクション面は割と大味。特に飛び蹴り(寺で覚える基本技に加え、仙人から習得する「飛燕脚」がある)が非常に強力で、バッタ戦法で簡単に勝てるようになっている。逆に言えば、アクションが苦手でもそれほど苦労せずにクリアできるようになっている。対人戦はまともにやったことがないのだがどういうバランスなのだろうか。
ともあれRPG部分だけでも十分評価に値する。日本式のRPGというものが定着してきたこの時代に、敢えて極限までシンプルにしたものを出す潔さは、現代でも色あせないだろう。私はノーヒントで完全クリアしたのだが、謎解きのさじ加減は今までプレイしたどんなRPGよりも絶妙だったと感じている。
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