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先輩女子はパンツが見えても気にしない

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「……先輩、見えてますよ」
「何が?」

僕は、一年年上の先輩の女子になぜか気に入られている。今日も学校帰りに僕の部屋に上がり込んで小説を読んでいる。壁に背中を預けて体育座りのような格好で読書に勤しんでおられるのだが、ちょうど僕の目線からはスカートの中が丸見えなのである。

「その、スカートの中が」
「いつものことだろう」

そう、先輩はいつもこの場所で、この格好で本を読んでいる。ただ、今日は違う。いつも穿いているスパッツがない。つまり、下着のパンツが丸見えなのである。

「……今日はスパッツ穿いてないんですよ」
「ああ、微妙に暑かったからな。穿いてこなかった」

てっきりスパッツ忘れに気づかないものかと思ったが、そういうわけでもないらしい。つまり、先輩は僕にパンツを見られても平然としているというわけだ。

「……いいんですか。その、下着。見えちゃってますけど」
「ただの布切れが見えたからといってなんだというのだね」

違った。先輩はわかった上で見せつけている。いや、そう思うのは僕の自意識過剰で、本当になんとも思っていないのかも知れない。

「あの、先輩。僕だって年頃の男子なんですけど」
「だから?別に劣情をもよおすほど過激な下着ではないと思うがね」

確かに先輩の言う通り。濃いグレーで面積の大きいボクサーパンツは色気とは程遠い。だが、この布を一枚隔てた先に、先輩の秘部があるのだ。

「先輩、下着見られて平気なんですか?」
「そりゃ、汚かったりするのは見せたくはないが、これなら気にならないね」

先輩は動じない。悔しいので、僕は黙ってガン見してやることにした。

*

「……そんなに私の下着を見るのが楽しいかい?後輩くんよ」
「え?……まあ、はい……」
「正直でよろしい」

唐突に、先輩がにやにやした顔で尋ねてきたので、ここは正直に答えることにする。しかし先輩は全く怯む様子はない。

「先輩、下着見られても平気っていいましたよね?」
「ああ」
「じゃあ、上も脱いで見せてくれますか?」
「私は本を読んでいるだけなんだ。なんで脱ぐ必要があるんだい?」

正論だ。下心全開の僕に対して極めてまっとうな返事である。だが、ここで引き下がる奴は男じゃない。

「僕が見たいからです。先輩が悪いんですよ、見せつけてくるから」
「別に、私はいつものように座っているだけだ。勝手に見ているのは君のほうだろう」
「いいから、見せてください!」

思わず叫んでしまった。口に出してから後悔したが、先輩は動じない。

「ふーん。……君は私に、そんなに脱いでほしいのかね?」
「は、はい!」
「素直でよろしい。でも、さすがにタダで見せるというのは気が引けてねぇ」

先輩は僕にお金を要求しようとしている?これはある意味、パパ活というやつなのか?

「私だけ脱ぐのも不公平だろう。君も上着くらい脱いでみせるべきじゃないかな」
「わ、わかりました!」

さっそく僕は立ち上がり、ブレザーを脱いだ。先輩も立ち上がり、鏡のような動作でブレザーを脱いでいく。それを床に落とし、ワイシャツのボタンに指をかけると、やはり先輩も同じようにボタンを外そうとする。

「どうする?もうやめにするかい?」

先輩は挑発的な目でこちらを試そうとする。僕は無言でボタンを外していった。同じように、先輩の胸元が露わになっていく。インナーシャツなどは着ていないようだ。ワイシャツの下は、ショーツと同じグレーのスポーツブラだった。

「どうだい?色気のない下着で申し訳ないねぇ」
「い、いえ!そんなことないです!」
「そんなことより君、こっそり鍛えてるんだねぇ」

先輩は僕の上半身を舐めるように見ている。中学からずっと文化部のインドア派だが、高校に入ってから筋トレを初めて、ようやく腹筋が少し割れてきたころだ。

「べ、別に隠してるわけじゃないですよ」
「男の子は運動部でなくても筋トレするとは聞いていたが、君もだとはねぇ」

相変わらず先輩の視線がねっとりしている。筋肉フェチなのかも知れない。

「後輩くんよ、頼みがあるんだが」
「な、なんでしょうか?」
「触ってもいいかね?」

わざわざ聞かなくても勝手に触ればいいのに、変なところで律儀な先輩だ。しかし、聞いてきたからには交換条件を付けることもできると気づいてしまった。

「別にいいですけど、さすがにタダで触らせるのはちょっと」
「……ほう?」

僕は服を脱ぐときの先輩の言葉をそっくり返してやることにした。

「それに、先輩が僕に直接触るのなら、僕も直接触らせてもらいますよ」
「直接、とな?」
「ええ。下着越しではなく、直接肌に触れるという意味です」
「……!」

先輩は明らかに動揺した。いいぞ、こちらのペースに持っていける。

「というわけで、触るならブラも脱いでいただきますよ、先輩」
「ほう……ほうほうほう」

先輩は顔を赤く染めながら挙動不審に首を動かしたりしている。さすがの先輩も、この頼みは無理だろうか。そう思った矢先であった。

「構わないよ。ええ、別に見られるくらい、触られるくらい。へっ、減るものでもないし」
「あの、先輩……?」

先輩は戸惑いながらも覚悟を決めるように、一気にブラを脱いでしまった。小さな膨らみがぷるんと弾ける。

「その……大きくもないし、きれいなわけでもないし……幻滅しただろう?」
「いえ、そんなことないですよ!」

憧れの……というほどでもないが、まあ嫌いではない先輩のおっぱい。そもそも生のおっぱいを見ること自体が初めてだ。まさか見られるなんて。言ってみるものだなぁ!

「ほ、ほら。色だって黒ずんでるし……」
「あ、あの先輩。この前何かで読んだんですけど、むしろ若いうちは黒くて当たり前みたいですよ!」
「……へ?」
「ほら、メラニン色素っていうのが、年を取るほど抜けてくるとか、そういう話で!……いや、そういうのはどうでもいいんですよ。僕は全然気にしないってだけの話です!」

遊んでいるほど乳首が黒くなる、という悪しき都市伝説が、僕より上の世代では蔓延してしまっている。これで傷ついた女性はどれほどいることだろう。僕は自分の代でこの流れを断ち切りたいと、例の情報を読んだときに本当に思ったものだ。

「……ありがと」
「ところで先輩、触らなくていいんですか?」

顔を横に向けて小さく感謝の言葉を伝える先輩に、僕は本題をぶつける。そもそも触りたいと言ったのは彼女の方からなのに、それどころではなくなっていったらしい。

「それじゃ、触るからね」

彼女は遠慮がちに、腹筋のあたりに指を添える。僕もそれを真似て、彼女のお腹に指を這わせる。

「ひゃんっ!」
「先輩、女の子みたいな声出せるんですね」
「う、うるさい!」

僕は調子に乗ってエロ漫画の竿役のようなセリフを口にしてしまったが、先輩は嫌がる様子はない。先輩の手は少しずつ上の方へ進んでいくので、僕もそれに合わせる。しかし、いよいよ胸に触ろうかというところで手が止まってしまった。

「……そろそろ、やめにしますか?」
「……そうだな」

お互いの体に触れていた指を離す。そしてどちらかともなく着替え始めて、もとの制服姿に戻った。

*

「なんだかすいません。僕、すごくセクハラみたいなことしちゃいましたよね」
「気にしなくていい。最初に誘ったのは私だからな」
「……え?」
「下着を見られて平気な女子なんているわけがないだろう」

先輩はそれだけ言うと、僕にデコピンを食らわせて部屋を後にした。

*

「それじゃ、また来週な」
「はい。お気をつけて」

いつものように玄関先で先輩を見送る。まるで、さっきまで体を見せ合ったり触り合っていたのが嘘であるかのように。

「あ、それと一つ」
「なんです?」
「これからも……色素が抜けるまで、今日みたいな遊びに付き合ってくれると嬉しいぞ」

それだけ言うと、先輩は僕に背を向けて早足で去っていった。
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