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ある一族
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「あ……死」
リルナの首元に、鎌が襲い掛かる。冷たい鎌と、避ける皮膚。そして、鮮血による熱い首。
首が、飛ぶ直前。
「……!!」
死を覚悟し、走馬灯とやらが脳内を駆け巡る。
その瞬間、リルナの中で、異様に時がゆっくりと流れている。
鎌が首の肉を裂く直前、爆発音と共に、デスのマントを炎の柱が包んだ。彼女の走馬灯の風景にも、燃え上がる炎が乱入してきた。
デスはその柱に呑まれ、のけぞる。鎌が首から離れ、リルナは龍圧で飛ばされる。
「きゃ……!!」
炎が燃え上がる音に紛れ、デスの悲鳴のような甲高い音が聞こえる。
「オォォォォォオオオ・・・・・・・!!」
遺跡周りの松明とは比にならない巨内だ炎の柱。
それは「うねり」を伴い渦となり、龍のように天を舞う。炎龍が飛び立ったかのような炎だ。
やがて、その龍は消えていき、再び暗闇が世界を支配する。光源は、遺跡周囲の松明だけとなる。
今の炎を耐えたデス。それでも、脅威を感じさせるには十分であった。
高威力の攻撃に怯み、静かに距離を取っていく。
(何が……!?)
鎌に割かれた傷を押さえ、リルナは周囲を見渡す。
走馬灯に乱入するように炎が見えたのは、現実に見えた『それ』だ。
「ぁ……!!」
レイズが倒れていた方向を見ると、剣を支えにしながら立ち、片手を出しているところだった。
「……炎龍天翔……ざまぁみやがれ……!!」
「レイズ!!」
リルナの表情が、一気に明るくなる。頬がやや赤いが、炎の熱のせいだろうか。
彼女の命をギリギリで救ったレイズ。だが、全てを克服したわけではない。だから、強く気合いを込め、地面を踏みつける。
自分の足で立つ、意思の証明のように。
「ありがとな、リルナ。お前の声、届いたぜ」
「……うん!」
アルナは嬉しそうに微笑み、大袈裟に頷いた。ツンツンしていた時とは考えられない、満面の笑み。
首の痛みも、前腕を走る血液も、全く感じない。
「お前らも、そうだろ!?」
視線はデスに向けたまま、レイズは呼びかけるように言う。
「あぁ……もちろんだ」
「当然です……!!」
リルナが振り返ると、バージルもレイラも起き上がっているところだった。
そして、彼らを包んでいる龍力が、道中のそれとは段違いに大きい。
(どういうこと……!?なんて大きな力!!)
戦わなくても、見ただけで分かる。彼らの力は、リルナの全力を軽く超えていた。
特に、レイラとレイズから感じる龍力は群を抜いている。バージルも凄いのだが、彼らが凄すぎた。
同じ龍魂(厳密には、リルナの思うドラゴン・ソウルとは別だが)なのに、深みと言うか、高みと言うか、上手く言い表せない、力の領域的な何か。
それが、桁違いに強い。
「……ありがとな、リルナ。俺たちのために戦ってくれて」
力強い風を生みながら、笑いかけるバージル。
彼のすぐ後に、レイラが口を開く。
「ありがとうございます。貴女は、命の恩人です。あと……」
微笑みと同時に、ふいに手をかざすレイラ。その直後、光龍の紋章が描かれ、リルナの首元が光る。
これは光龍の治癒術だ。当然知っているが、実際に受けるのは初めてだ。
温かく、穏やかな光。
ぱっくり開いていた傷が、瞬く間に塞がっていく。
「これで大丈夫です。後は、任せてください」
「え……あ……」
礼を言うのは自分の方なのに、言葉が出てこない。
思考がそこで停止している間に、首の治療が終わり、レイラはデスに向き合っていた。
三人の龍力の大きさに、リルナは威張り散らしていた自分が恥ずかしくなっている。
(リルナは……!!)
月龍以外は雑魚?とんでもない。龍の強さに、属性は関係ないのだ。
リルナの首元に、鎌が襲い掛かる。冷たい鎌と、避ける皮膚。そして、鮮血による熱い首。
首が、飛ぶ直前。
「……!!」
死を覚悟し、走馬灯とやらが脳内を駆け巡る。
その瞬間、リルナの中で、異様に時がゆっくりと流れている。
鎌が首の肉を裂く直前、爆発音と共に、デスのマントを炎の柱が包んだ。彼女の走馬灯の風景にも、燃え上がる炎が乱入してきた。
デスはその柱に呑まれ、のけぞる。鎌が首から離れ、リルナは龍圧で飛ばされる。
「きゃ……!!」
炎が燃え上がる音に紛れ、デスの悲鳴のような甲高い音が聞こえる。
「オォォォォォオオオ・・・・・・・!!」
遺跡周りの松明とは比にならない巨内だ炎の柱。
それは「うねり」を伴い渦となり、龍のように天を舞う。炎龍が飛び立ったかのような炎だ。
やがて、その龍は消えていき、再び暗闇が世界を支配する。光源は、遺跡周囲の松明だけとなる。
今の炎を耐えたデス。それでも、脅威を感じさせるには十分であった。
高威力の攻撃に怯み、静かに距離を取っていく。
(何が……!?)
鎌に割かれた傷を押さえ、リルナは周囲を見渡す。
走馬灯に乱入するように炎が見えたのは、現実に見えた『それ』だ。
「ぁ……!!」
レイズが倒れていた方向を見ると、剣を支えにしながら立ち、片手を出しているところだった。
「……炎龍天翔……ざまぁみやがれ……!!」
「レイズ!!」
リルナの表情が、一気に明るくなる。頬がやや赤いが、炎の熱のせいだろうか。
彼女の命をギリギリで救ったレイズ。だが、全てを克服したわけではない。だから、強く気合いを込め、地面を踏みつける。
自分の足で立つ、意思の証明のように。
「ありがとな、リルナ。お前の声、届いたぜ」
「……うん!」
アルナは嬉しそうに微笑み、大袈裟に頷いた。ツンツンしていた時とは考えられない、満面の笑み。
首の痛みも、前腕を走る血液も、全く感じない。
「お前らも、そうだろ!?」
視線はデスに向けたまま、レイズは呼びかけるように言う。
「あぁ……もちろんだ」
「当然です……!!」
リルナが振り返ると、バージルもレイラも起き上がっているところだった。
そして、彼らを包んでいる龍力が、道中のそれとは段違いに大きい。
(どういうこと……!?なんて大きな力!!)
戦わなくても、見ただけで分かる。彼らの力は、リルナの全力を軽く超えていた。
特に、レイラとレイズから感じる龍力は群を抜いている。バージルも凄いのだが、彼らが凄すぎた。
同じ龍魂(厳密には、リルナの思うドラゴン・ソウルとは別だが)なのに、深みと言うか、高みと言うか、上手く言い表せない、力の領域的な何か。
それが、桁違いに強い。
「……ありがとな、リルナ。俺たちのために戦ってくれて」
力強い風を生みながら、笑いかけるバージル。
彼のすぐ後に、レイラが口を開く。
「ありがとうございます。貴女は、命の恩人です。あと……」
微笑みと同時に、ふいに手をかざすレイラ。その直後、光龍の紋章が描かれ、リルナの首元が光る。
これは光龍の治癒術だ。当然知っているが、実際に受けるのは初めてだ。
温かく、穏やかな光。
ぱっくり開いていた傷が、瞬く間に塞がっていく。
「これで大丈夫です。後は、任せてください」
「え……あ……」
礼を言うのは自分の方なのに、言葉が出てこない。
思考がそこで停止している間に、首の治療が終わり、レイラはデスに向き合っていた。
三人の龍力の大きさに、リルナは威張り散らしていた自分が恥ずかしくなっている。
(リルナは……!!)
月龍以外は雑魚?とんでもない。龍の強さに、属性は関係ないのだ。
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