龍魂

ぐらんじーた

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四聖龍

ケイムス

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二人は火を起こし、飲み物片手に座り込んだ。

「自分は、ケイムスと言います。ここでは……」

彼の名前は、ケイムス。その師匠とやらには、ケイと呼ばれていたらしい。
たった一人の自警団で、村を守ってきたのだという。

基本的に一人で、それも我流で鍛錬を積んでいた。しかし、彼はその鍛錬も限界を感じていたらしい。
そんな時、完全に偶然にも、その師匠の力を見てしまったらしい。

小さい村だ。当然、普段の顔も知っている。
龍魂の有無こそ知られていたが、いつもは力のないフリをしていた。
ケイムスが「公表すれば、もっと認められる」と力説しても、首を縦には振らなかったという。

訳あって、絶大な力を持っていることは秘密にしているのだと。

納得できず、「もったいない」と、ケイムスはその力を公にすることを勧めた。そうすれば、自警団としての地位も、村の長としての地位も間違いないと訴えた。しかし、彼の返事は変わらなかった。
ならば、と秘密にする代わりに、龍魂を教えてもらっていたのだという。

「そう、か……」

黙って話を聞いていたウィーン。
確かにその師匠とは師弟関係にあるが、『認められたから』ではなく、『なりゆき』である。
その師匠とケイムスに、正式な師弟関係はない。

師匠の特訓に、ケイムスが引っ付いて特訓していると言った印象だ。
アドバイスや方針などは聞くだろうが、シャンバーレの師範が個別で行うようなケースや、ウィーン自身が受けた濃密さはないだろう。

「その師匠は……」
「えぇ、しばらく前から、自分の前からいなくなったんです」

招集がかかった時期だろうか。タイミングは、合う。

「……その師匠の名は?」
「ハーゼイさんです」
「!」

予感的中。
彼は、ハーゼイが面倒を見ていた弟子っぽい位置づけにいる。
ただ、後継者と呼べるほどの力は持っていない。彼を四聖龍に推すことは、できない。

「……他に弟子は?」
「いませんよ。自分だけです」

魔物に一人で挑んでいたのも、そのためか。

「そうか……いなくなる前、何も言ってなかったか?」
「えぇ。なので、心配です。師匠は強いですし、大丈夫だとは思うのですが……」

身辺整理を済ませている彼だが、ケイムスには話していないらしい。

(いや、話せない、か……)

それも当然か。四聖龍であることは秘密事項でもあるし、作戦のことなど、話すことは絶対にできない。
彼にしてみれば、煙のように消えてしまったと感じているだろう。

ケイムスは若いし、まっすぐな目をしている。
会ってから短いが、心も澄んでいるように見えるし、悪い奴ではない。『なりゆき』とはいえ、ハーゼイが面倒を見るワケだ。
ただ、力が足りていない。そこは、紛れもない事実である。

(まぁ、無駄足ではなかったようだ……が)

他に弟子もいない様子だし、彼と会えただけでも成果として持ち帰るか。

(成果もなし、か……)

ウィーンは彼に感付かれないよう、ため息をつく。
彼の後継者もハズレ。もう、当てがない。
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