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四聖龍
纏わりついている気配
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シャレムは一人外に残り、海風に吹かれていた。
彼女のバックには、青い空と、同じく青い海。風に乗り、雲が、彼女の金髪が流れる。
それは、映画のワンシーンのように、それは雰囲気があり、美しかった。監獄がシーンに入り込んでいるのが、残念でならない。
(……イヤになるわ。ホントに)
彼女は、小さくため息をつく。
光龍の宿命なのか、それとも自分が敏感だからなのか。
龍魂を極めれば極めるほど、人の気配が強く感じられるようになった。
彼女が感じている気配は、人がそこに存在するものだけではない。
悪い人間と、良い人間だ。これは、本質的に彼女が感じるもの。
心の中で良いことを考えている、外見の悪い人間。心の中で悪いことを考えている、外見の良い人間。
また、個々の人間の感情の起伏。
普段生活している分には気にならない。ただ、今回のケースのように、シンプルに相手が犯罪者が相手だったり、味方である騎士団サイドでも、この地位の関係で疎まれていたりすると、本当に気疲れする。
様々な負の感情が、ピリピリと肌に伝わる。
気疲れするしんどさだ。
こちらも多少気を張っているため、余計に辛い。
そして、問題なのは『質の違う嫌な気配』がずっと纏わりついていることだ。
王都で少し話したが、レイラ王のように『憧れ』が強い感情ではない。
こちらを狩ろうとする気配。敵の気配。
(なるほどね。アタシたちに頼むのも分かるわ)
気配だけで分かる。
(……強い)
護送中であれば、こちらの戦力も分散され、敵としては戦いやすかっただろう。しかし、敵はそれをせず、今まで何もしてこなかった。
今から襲う確証はないのだが、それならば、この嫌な気配の説明がつかない。
敵は、戦力が整っているこの状況でも強気に出てくるだろう。
(これだけ強い気配なのに、場所が掴めない……)
色々探ろうと彼女も努力しているが、掴めないでいた。
これが知りたくて、ここに残っていたのだが。
騎士団が島周囲を警戒しているが、彼らが戦闘で勝てる見込みはない。
自分たちに繋ぐため、せいぜい場所を知らせるくらいだ。
「!」
と、別の気配が近づいてきた。
嫌な気配はしない。こちらへの憧れが混じる気配。
視線を向けると、そこにはレイラが立っていた。
「あら、王様」
「止めてください。私には、まだ……」
「冗談よ」
「……あの」
「ん?」
もじもじしているレイラ。
「尊敬、します。お仕事も忙しいはずなのに、四聖龍の仕事まで……四聖龍になるのも簡単ではないはずですし……」
「ふふ、ありがとう」
シャレムから見れば、可愛らしい十代のファンの女の子だ。だが、彼女には王としても立場がある。
騎士団全体としてへの態度は明るくする気になれないが、個々の対応、しかも『憧れ』の感情を持つ少女への対応は話が別だ。
多少気が張っていても、笑顔は忘れない。
「でも、今はアタシより、仲間の所にいなさい……多分、『来る』わよ」
『来る』のタイミングで声のトーンを落としたシャレム。
多分、と付いていたが、それは予想ではない。確実な未来だ。
「!!」
レイラはキョロキョロと辺りを見回す。が、当然いない。
気配ダダ洩れなのに、場所を掴まさせない、相当の実力者だ。
「後でゆっくり話しましょう」
「皆にも伝えます!」
「えぇ。でも、戦闘はしない方が良いわ。四聖龍を呼びなさい」
「はい!」
レイラは慌てて中に入って行く。
嫌な気配はどんどん強くなる。
(さて……)
彼女は剣を抜き、戦闘に備える。
剣を持つ手が、微かに震えている。これは、怯えではない。武者震い。
と、海を監視していた騎士団の動きが慌ただしくなった。
次の瞬間。
「!」
霧の間から出てきたかのように、『それ』は彼女の背後に姿を現した。
遂に、『敵』が来た。
彼女のバックには、青い空と、同じく青い海。風に乗り、雲が、彼女の金髪が流れる。
それは、映画のワンシーンのように、それは雰囲気があり、美しかった。監獄がシーンに入り込んでいるのが、残念でならない。
(……イヤになるわ。ホントに)
彼女は、小さくため息をつく。
光龍の宿命なのか、それとも自分が敏感だからなのか。
龍魂を極めれば極めるほど、人の気配が強く感じられるようになった。
彼女が感じている気配は、人がそこに存在するものだけではない。
悪い人間と、良い人間だ。これは、本質的に彼女が感じるもの。
心の中で良いことを考えている、外見の悪い人間。心の中で悪いことを考えている、外見の良い人間。
また、個々の人間の感情の起伏。
普段生活している分には気にならない。ただ、今回のケースのように、シンプルに相手が犯罪者が相手だったり、味方である騎士団サイドでも、この地位の関係で疎まれていたりすると、本当に気疲れする。
様々な負の感情が、ピリピリと肌に伝わる。
気疲れするしんどさだ。
こちらも多少気を張っているため、余計に辛い。
そして、問題なのは『質の違う嫌な気配』がずっと纏わりついていることだ。
王都で少し話したが、レイラ王のように『憧れ』が強い感情ではない。
こちらを狩ろうとする気配。敵の気配。
(なるほどね。アタシたちに頼むのも分かるわ)
気配だけで分かる。
(……強い)
護送中であれば、こちらの戦力も分散され、敵としては戦いやすかっただろう。しかし、敵はそれをせず、今まで何もしてこなかった。
今から襲う確証はないのだが、それならば、この嫌な気配の説明がつかない。
敵は、戦力が整っているこの状況でも強気に出てくるだろう。
(これだけ強い気配なのに、場所が掴めない……)
色々探ろうと彼女も努力しているが、掴めないでいた。
これが知りたくて、ここに残っていたのだが。
騎士団が島周囲を警戒しているが、彼らが戦闘で勝てる見込みはない。
自分たちに繋ぐため、せいぜい場所を知らせるくらいだ。
「!」
と、別の気配が近づいてきた。
嫌な気配はしない。こちらへの憧れが混じる気配。
視線を向けると、そこにはレイラが立っていた。
「あら、王様」
「止めてください。私には、まだ……」
「冗談よ」
「……あの」
「ん?」
もじもじしているレイラ。
「尊敬、します。お仕事も忙しいはずなのに、四聖龍の仕事まで……四聖龍になるのも簡単ではないはずですし……」
「ふふ、ありがとう」
シャレムから見れば、可愛らしい十代のファンの女の子だ。だが、彼女には王としても立場がある。
騎士団全体としてへの態度は明るくする気になれないが、個々の対応、しかも『憧れ』の感情を持つ少女への対応は話が別だ。
多少気が張っていても、笑顔は忘れない。
「でも、今はアタシより、仲間の所にいなさい……多分、『来る』わよ」
『来る』のタイミングで声のトーンを落としたシャレム。
多分、と付いていたが、それは予想ではない。確実な未来だ。
「!!」
レイラはキョロキョロと辺りを見回す。が、当然いない。
気配ダダ洩れなのに、場所を掴まさせない、相当の実力者だ。
「後でゆっくり話しましょう」
「皆にも伝えます!」
「えぇ。でも、戦闘はしない方が良いわ。四聖龍を呼びなさい」
「はい!」
レイラは慌てて中に入って行く。
嫌な気配はどんどん強くなる。
(さて……)
彼女は剣を抜き、戦闘に備える。
剣を持つ手が、微かに震えている。これは、怯えではない。武者震い。
と、海を監視していた騎士団の動きが慌ただしくなった。
次の瞬間。
「!」
霧の間から出てきたかのように、『それ』は彼女の背後に姿を現した。
遂に、『敵』が来た。
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