龍魂

ぐらんじーた

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龍魂の壁

決意を新たに

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正式に特別部隊の一員となったマリナ。
彼らは歓迎し、グレゴリー戦でのお礼を言う。クラッツには報告済みだ。

「むずがゆいわ……倒せなかったのに」
「……それは気にするな。命があれば十分だ」
「そうですよ!気がかりではありますが、団長方の仕事です」

マナラドとの龍魂研究。そっちは、騎士団長が中心に行う。
龍魂の新たな可能性と、龍力の底上げを図る。効率の良い龍力引き出し方でも構わない。
とにかく、限界値を超えたい。

そして、自分たち。
武道の町シャンバーレに赴き、龍魂の可能性探る。
シャンバーレの住人の強さを調査、できれば、その秘密も知っておきたい。

「以前も話したが、騎士団としてではなく、旅人として行く。騎士団に繋がるものは全て置いていく」
「ってことは、飛行艇もなしか?」
「当然だ。交通機関を使いながら、リハビリも兼ねて歩くこともある」

騎士団の設備が使えないとは。
不便だし、時間が掛かる。が、こればかりは文句を言っても仕方ない。

「ま、仕方ないか」
「実際リハビリは必要だろ」

レイズとバーバルは、それなりに納得した様子だ。
レイラは事前に聞いていたため、異議はない。
問題はマリナとミーネだが。

「それでいいわ。服も自前だし」
「……あたしにアレコレ言う資格もないし」

時間が掛かっても良いのか疑問ではあったが、ここは従う。
いきなり武道の町の人間や、周囲の魔物を相手にするのは正直怖い。
しかし、グレゴリー戦で力不足は痛感している。
リハビリや基礎体力の向上は必要だと理解できる。

「シャンバーレの手前に小さな村がある。そこまで馬車を使う。その後は、歩きの予定だ」
「……けっこうかかるか?」
「マナラドよりも遠い。が、そんなにはかからないはずだ」

地図が頭に入っていないから何とも言えない、とリゼルは括る。

「帰って荷物でもまとめるか?」
「そうだな。団で貰ったやつはのけとくか」
「団長から、(多くはありませんが)購入資金が出ています。身につけるものは特に気をつけてください。一式買っていただいて構いません」
「お、良いな。寄って帰るか」
「そうだな。じゃあ、マリナ。俺たちはこれで」
「うん、また明日」

手を振り、レイズとバーバルは先に病室から出ていく。

「僕とレイラは準備ができている。ミーネもいるものはあるか?」

リゼルに聞かれ、ミーネはもごもごする。
こっちに来てから、普段着まで騎士団に支給されたものを使っている。
それが使えないとなると、持っていける服がない。

自分は特例で、良くしてもらっている。これ以上こちらから何かを要求するのは物凄く気が引ける。

「遠慮はするなよ。金は出ているんだ」
「……あたしも服がないかも」

ミーネの口から「服」と出た。レイラは思わず反応する。

「あ、なら、私と行きます?」

同年代の同性と服を買うなど、こんな機会でもなければできないところだ。
フリアがまだ潜伏している可能性は捨てきれなかったが、あれ以来一人になっても現れていない。
よって、潜伏している可能性は限りなくゼロに近い。

「良いの?」
「はい!行きましょう!最近はモデルのシャレムさんのが人気ですよ!」
「モデルって……あたしには似合わないわ」
「とにかく、行きましょう!リゼル?」
「あぁ。行ってこい」

止める理由がない。目を合わせ、軽く頷く。

「マリナ、また明日!」

二人は彼女に手を振り、病室から出ていった。

「退院と出発日が重なって悪いが……」
「そんなことない。わたしだって、じっとしていられないわ」
「そうか。だが、焦るなよ。まぁ、敵がいつ来るか分からない不安はあるが」
「そうね。分かってる」

リゼルの顔に夕日が当たり、オレンジ色に染まる。
もう、夕方だ。

「……僕らはまだまだ強くなれる」
「えぇ。やってやるわ」

決意を新たに、二人は拳を握りしめる。
絶対に、超えてやる。そして、追いつくのだ。国を堕とさんとする、巨大な闇に。
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