龍魂

ぐらんじーた

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格の違い

目覚め

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闇の世界に白い光が混じる。

「ッ……」

リゼルが目を覚ました時、そこは外ではなかった。

ゆっくりと起き上がる。
白い壁に、明るい色のカーテン。白いベッドに、病院衣。悲しいが、見慣れた光景だ。
雨粒が窓を打つ音がする。天気は良くないようだ。
ふと、視線を上に向ける。闇に浮かんだ白い光の正体は、明かりだった。

(……病院、か)

リゼルは傷口を触る。
包帯が巻かれていたが、触ったときの痛みは感じなかった。


グレゴリーとの戦いでは色々と衝撃がありすぎた。
自分の無力さ、無知さ。自分たちは龍魂を知っているようで、知っていない。
ほんの一部にしか過ぎないのだ。

そうだ、マリナには助けられた。

あれから、どのくらい時間がたったのだろうか。
他の仲間は無事なのだろうか。

リゼルは起き上がりってみる。
くら、と眩暈がしたが、すぐに治まる。

スリッパを履き、カーテンを開ける。

「……帰ってきたのか」

そこには、レイグランズの光景が広がっていた。
あの場から運んでくれたのは、王都の騎士団だろうか。
マナラドの騎士団は、ほぼ全滅していた。彼らも無事だと良いが。

「……クソが」

またしても、レイラを危険にさらしてしまった。
前線に出るのはレイラの望みであり、そこを説得しても変わらないだろう。なら、彼女を守る盾となり、剣であるためには、力が欲しい。
無意識に拳を握りしめる。
そして、思い出すのはマナラドでの話。

「…………」

外をぼんやりと眺めていると、お腹がぐるぐると鳴った。

(……しばらく食べてないな)

状況確認のために、リゼルは病室を出ようとする。が、開かない。鍵が掛けられている。

「……?」

鍵を探すも、鍵穴しか見つからない。
内側から出られないタイプの病室。

「ち……」

仕方なくベッドに戻る。
ギシ、と横になると、ふと呼び出しのボタンがあることを思い出した。
いつも勝手に移動していたため、失念していた。この手の病室に詰め込まれたのは、このせいだろうか。
とにかく、すぐにそれを押す。
廊下で音がし、赤いランプが光る。

しばらくして、足音が近づいてきた。
カチャカチャと鍵が射しこまれている音が聞こえる。
鍵が開く音がし、白い衣服のナースが入ってくる。

「リゼルさん!?起きましたか!?」
「……あぁ、目が覚めた。食事を「良かった!!クラッツさんを呼んできます!!」
「クラッツだと?」

騎士団長ではないか。
リゼルの返答を待つことなく、ナースは出ていった。
食事が欲しかったのだが、仕方ない。

(……クラッツがいるのか)

確かに、四聖龍の次に大きな事件かもしれない。
凶悪な殺人犯を取り逃がした。しかも、その龍力者は、騎士団員の実力以上なのだ。
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