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何か
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そう言って有紀が笑うと、部屋の中がしんとして、冷たい空気が流れた。
有紀は、ここで何かを研究していた。たぶん、そういう事なのだろう。
しかし、それが何であるのかは、まだはっきりとは分からなかった。
深い時の刻が打って、そこから暖かい何かが流れている。
時の手前。そうに違いなかった。
「新見高校は?」と僕が有紀に聞いた。
「分かっているわ。心配なのね」と有紀が言った。
「ここは同じ世界?」と僕が有紀に聞いた。
「そうだと思って」と有紀が分からないことを言った。
有紀はスッと本棚の前に立つと、ファイリングしてある束のレポート用紙を取り出した。
そして細い息を吐きながら、それらをパラパラとめくり始めた。
「色々と難しいことが、書いてあるみたいだ」と僕が言った。
「ええ、そう――。高梨君にも分かるわ。いつか」と有紀が言った。
僕はしんとした部屋の中にいた。そして言った。
「森島明っていう人は、家賃を払っていないみたいだ。場所を終えて欲しい。封筒が入っていた」
「大丈夫よ。面倒はみるわ」と有紀が言った。
「そうしたら、夏の新見高校に戻して欲しい」と僕が言った。
「それも大丈夫よ。でも、そのためには、また私が動かさなければ」と有紀が言った。
有紀は、ここで何かを研究していた。たぶん、そういう事なのだろう。
しかし、それが何であるのかは、まだはっきりとは分からなかった。
深い時の刻が打って、そこから暖かい何かが流れている。
時の手前。そうに違いなかった。
「新見高校は?」と僕が有紀に聞いた。
「分かっているわ。心配なのね」と有紀が言った。
「ここは同じ世界?」と僕が有紀に聞いた。
「そうだと思って」と有紀が分からないことを言った。
有紀はスッと本棚の前に立つと、ファイリングしてある束のレポート用紙を取り出した。
そして細い息を吐きながら、それらをパラパラとめくり始めた。
「色々と難しいことが、書いてあるみたいだ」と僕が言った。
「ええ、そう――。高梨君にも分かるわ。いつか」と有紀が言った。
僕はしんとした部屋の中にいた。そして言った。
「森島明っていう人は、家賃を払っていないみたいだ。場所を終えて欲しい。封筒が入っていた」
「大丈夫よ。面倒はみるわ」と有紀が言った。
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