鬼に成る者

なぁ恋

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餓鬼

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「まほろばって童貞!?」
    
驚いた。経験してると思ってた。

「子どもを作るつもりも無く。ライを待つ間は昏睡状態だった」

まほろばの言い分は至極当たり前? 否!

「エッチは子ども作るだけが目的じゃないぞ!!」

あおりたい訳じゃないけどさ。
 
「……好きでもない相手とするつもりは無い」

言葉のギャップはココロの読めるまほろばには無い筈だから、俺の話しは理解出来てるよな。

「なら、ライとは?」
      
「その類いのが無いとは言えない」

えらく素直なまほろばに何だか親近感を持つ。

「ライもお前が好きだろう?」

どうしたら良いか解らないって事か
      
「まほろばの十分それっぽく見えたけど……」

スゴくびっくりしたもんな。

「その内、なる様になるんじゃね?
それにまほろばには、よ」


意識せずに出た言葉。
言って驚いて口を塞ぐ。

「何でもない」

何故? そう思った?
       
「……お前とはが或いは前世が関係あるのだろう」

何事も冷静なまほろば。



「“千里眼”上手く行った?」

ひょっこりと顔を覗かせたライに変な空気が一掃された。

「あぁ。食い付いて来た。移動しなけりゃな」

そうだ。
朱色の鬼。けりをつけなきゃな。
 
  
*ライside*
 
何だろう?
二人の雰囲気が変だ。

ココロを読もうにもかたくなに閉ざしてる二人。
まほろばは兎も角、元気がそれが出来てる事が何だかムカつく。

「悪かったな」

ふてくされ頬を膨らます。

ココロは閉じてココロを読むのか。
さらにヤな感じ

「どうすりゃ良いのさ」

「お互いのココロは意識して覗かない様にすれば良い」

「まほろばの言葉に賛同!」

「判ったよ! でもコントロール出来て無くて勝手に聞こえて来るんだよ!」

ぶつくさ言いながら、足を進める先は、海沿いの倉庫。
夜更けのそこは、誰も居ない格好の場所。

「よくこんな場所知ってたね」

「うん。ここ伯母の持ち物なんだ」

元気がさらりと言う。

目の前に在るその倉庫は結構大きい。
出入口は、大きなシャッターと横にある鉄扉。

中に入ると積み上げられた大小の段ボール箱。
天井には数個の小さい窓があり、月光が差し込んでいる。

「ここなら良い」

まほろばが一通り見渡すと頷いた。

「荷物よけておくか」

元気が積み重なった段ボールをそのまま壁に押しやって行く。

「中身は服だからそんな重くないしな。いや、重いかもしんないけど、重さ感じねぇしな」

真ん中に大きな空間が出来た。

感じる。
重苦しい気配。

「「来た!」」

まほろばと元気が声を合わせて言った。

気配は出入り口の鉄扉の外に在り、
静かにノブが回る。
 
 
  
*鬼side*


感じる、
近しい感覚。

ココロの奥、深い場所から沸き上がるのは懐かしさ───……

お腹が空いてる

───……助けて

食べたい
食ベタイ

───……助ケテ


目の前に見えるのは、鉄の扉。
この中に居るものは、俺を満たすもの。


食べたい
食ベタイいぃ


重い音をたてて鉄扉が開く。

仄かに月明りが射し込んだそこに見えるのは三体の影。

赤い、青い、オレンジ色の?

「「ダレ?」」

「俺達は、鬼」

赤い髪から覗く二本の白い角。
金の瞳。

鬼?

自分の手の平を見る。
赤く染まった爪。
その赤は血の色。

鬼?

こうなった自分の姿を見て、どうしてなのか判らなかった。

鬼。

この呼び名に納得すると、気持ちが落ち着いた。

昔話にある鬼は、人を喰っていたではないか

「お前は“朱色の鬼”狂った鬼の成れの果て」

赤い髪の鬼が言う。

“朱色の鬼”

同じ鬼じゃないのか?
なら、お前達は何なのだ?

鬼。

理解出来ない。
         
そう、今は考えるより

助けて
タスケテ

食べれば落ち着く。

背にした鉄の扉がカチリと音をたてて閉まる。

後ろに青い髪。

ニオイがする。

のニオイと混じる様に香る甘い……
甘い旨そうなニオイ





「「お腹が空いて、辛いんだ」」
 
 
 
 
 
俺を
満たすのは
        肉
 
 
 ニク
             にぐ
 
人間の
             肉うぅ
 

 
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