河童様

なぁ恋

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龍牙咆哮

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*朗side*


私は優月を手に入れた。
何度も想いを交わして、長く渇いた心が満たされる。
   ....
渇いた河童の皿が潤う様な感覚。

「想いは成就した。
私はもう……何も怖くはない」

思わず出た言葉に嘘はない。

優月がしようとしている事に異存もない。

だが、これは戦いの序奏。
龍の先に在る“地獄”の、黄泉のイザナギの存在。


視える目を持ってなくとも予測は出来る。

黄泉のイザナギは今もイザナミを手に入れたいと思って居るだろう。

想う心がどんなものか、焦がれる気持ちがどんなものか、私は知っている。

それは狂喜。
求める心は枯れない水源。


それがただの男なら問題はないだろうが、優良の記憶に触れたあの“黄泉のイザナギ”ならば、絶たなければ終わらない。
 
 
 
「そうだな。隠れてばかりじゃ居られない」

優良が強い表情で宣言した。
そうだ。隠れていてもいずれは見付かる。
イザナミ、優良だけの問題ではない。
妖怪、人間、そう言った者達が影響を受けている。

何よりも、優月に危険が及ぶのは嫌だ。

重い空気が漂う。
皆、各々がこれから起こるであろう事に恐怖を感じ、最悪の事を予測して居るから。

そんな中、母が白い着物を優良の肩に掛けた。
にこやかに、素早く着せて赤い腰紐で縛る。

合間の会話は、まるで止まった時間を流れさせる様にその場を和ませ、現実に戻る切っ掛けとなった。

腕の中の優月が、一瞬不思議な表情を浮かべ頭を振った。
「救けに行くよ!」
言葉に顔に、強い意志を現し、煌めく星の瞳が輝いた。
 
 
 
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