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<やまねこのふえ>のお話
12 知らせ
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北の森は、
穀物もフルーツも豊富なので、
それらを使った料理やお酒をつくることが、盛んです。
そんなわけで、レストランやお酒の飲めるお店がたくさんあり、
露店もたくさん出ます。
また、食が盛んなところには、
たくさんの動物たちが集まってきますから、
食べ物以外のあらゆるお店も、
開かれているのです。
うさぎの楽器やさんは、ヤギの雑貨やさんで、いくつか必要なものと、
長老から受け取った枝が、しっかり入るショルダーバッグを調達して、
それから、
北の森のカラスがおすすめする、りんごのお酒が美味しいレストランに行きました。
やや暗い店内には、ランプが、たくさん配置されていて、
運ばれてきたりんごのお酒を、美しく照らします。
細長いフルートグラスの底から、きめ細かい泡がたちのぼり、
はじけるごとに、りんごの香りを振りまいています。
うさぎの楽器やさんは、料理を待たずに、ひと口。
…いかん、いかん。
半分も飲んでしまった。
しかし、なんと、おいしいことか。
グラスを置いて、周りに目を向けると、
カウンター席に、見たことのあるやまねこがいます。
「あれ?ニノくん?
え?」
「お待たせしました。
根菜のオーブン焼きです。」
かわうその店員さんが、
注文した料理を運んできました。
蜂蜜とマスタードとチーズがぐつぐつしています。
「ああ、おいしそう。」
運ばれてきた料理ごしに、もう一度向こうを見ると、
やまねこの姿は、もうありません。
うさぎの楽器やさんは、すぐに席をたって、
カウンターの方を見に行ってから、
店の外も見ましたが、
やまねこはもういませんでした。
食事を終えて、お店を出たところに、
北の森のカラスが飛んできました。
もう一羽、連れがいます。
「出たぞ。古の森だ。」
北の森のカラスが、うさぎの楽器やさんにいいました。
「え?」
「やまねこだよ。古の森に、現れた。」
「そんな。
今、ここにいたんだよ!」
うさぎの楽器やさんが、言うと、
北の森のカラスは、酔っぱらいを見る目で、
「なに言ってんだよ。
知らせが来たんだぞ。」
と、あきれました。
すると、もう一羽の若いカラスが、
うさぎの楽器やさんにいいました。
「本当です。
ぼくも、古の森で一緒に確認しました。
すぐに、来てください。」
若いカラスは、青い湖のある森のカラスから、
うさぎの楽器やさんに伝えるように、頼まれて飛んできたのです。
じゃあ、
もしかしたら、
ウワサのやまねこは、ニノくんじゃないのでは?
うさぎの楽器やさんは、いちるの望みをいだきました。
「よし、行こう!」
穀物もフルーツも豊富なので、
それらを使った料理やお酒をつくることが、盛んです。
そんなわけで、レストランやお酒の飲めるお店がたくさんあり、
露店もたくさん出ます。
また、食が盛んなところには、
たくさんの動物たちが集まってきますから、
食べ物以外のあらゆるお店も、
開かれているのです。
うさぎの楽器やさんは、ヤギの雑貨やさんで、いくつか必要なものと、
長老から受け取った枝が、しっかり入るショルダーバッグを調達して、
それから、
北の森のカラスがおすすめする、りんごのお酒が美味しいレストランに行きました。
やや暗い店内には、ランプが、たくさん配置されていて、
運ばれてきたりんごのお酒を、美しく照らします。
細長いフルートグラスの底から、きめ細かい泡がたちのぼり、
はじけるごとに、りんごの香りを振りまいています。
うさぎの楽器やさんは、料理を待たずに、ひと口。
…いかん、いかん。
半分も飲んでしまった。
しかし、なんと、おいしいことか。
グラスを置いて、周りに目を向けると、
カウンター席に、見たことのあるやまねこがいます。
「あれ?ニノくん?
え?」
「お待たせしました。
根菜のオーブン焼きです。」
かわうその店員さんが、
注文した料理を運んできました。
蜂蜜とマスタードとチーズがぐつぐつしています。
「ああ、おいしそう。」
運ばれてきた料理ごしに、もう一度向こうを見ると、
やまねこの姿は、もうありません。
うさぎの楽器やさんは、すぐに席をたって、
カウンターの方を見に行ってから、
店の外も見ましたが、
やまねこはもういませんでした。
食事を終えて、お店を出たところに、
北の森のカラスが飛んできました。
もう一羽、連れがいます。
「出たぞ。古の森だ。」
北の森のカラスが、うさぎの楽器やさんにいいました。
「え?」
「やまねこだよ。古の森に、現れた。」
「そんな。
今、ここにいたんだよ!」
うさぎの楽器やさんが、言うと、
北の森のカラスは、酔っぱらいを見る目で、
「なに言ってんだよ。
知らせが来たんだぞ。」
と、あきれました。
すると、もう一羽の若いカラスが、
うさぎの楽器やさんにいいました。
「本当です。
ぼくも、古の森で一緒に確認しました。
すぐに、来てください。」
若いカラスは、青い湖のある森のカラスから、
うさぎの楽器やさんに伝えるように、頼まれて飛んできたのです。
じゃあ、
もしかしたら、
ウワサのやまねこは、ニノくんじゃないのでは?
うさぎの楽器やさんは、いちるの望みをいだきました。
「よし、行こう!」
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