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<やまねこのふえ>のお話
9 きつねの長老
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きつねの長老は、この、きつねの子どもからみると、
ひいおじいさんです。
毛足が長く、薄くなったきつね色の毛に、
ところどころ白い毛が混じっています。
北の森で、森を治めているのは、
きつねの長老です。
ただし、現在、森を治めているのは、
きつねの子どものおじいさんです。
ですから、このきつねの長老は、ほんとうは、前長老ということになります。
もしくは、名誉長老ですね!
うさぎの楽器やさんが、若い頃、
つまり、白キツネから桜の枝をもらった頃、
この北の森で、長老をしていたのは、
この、きつねの前長老なのです。
北の森の動物たちが、この前長老を呼ぶときには、今も「長老」と言います。
前長老って、言いにくいですからね!
親しみを込めて、長老と呼んでいるのです。
ちょっと、ややこしいですが、
前長老がご長寿なのは、
うさぎの楽器やさんにとって、ありがたいことでした。
さて、
前長老には、北の森のカラスが、先に話をしていてくれましたから、
とても、助かるはずだったのですが…
「それで、おまえさんは、
どこの森からきなすったのか、のう?」
前長老が、うさぎの楽器やさんにききました。
どこか、ひょうひょうとした感じを受けます。
「はい、銀色の森でして…、」
「ぼく、知ってるよ!
銀色の森に行ったことある!」
きつねの子どもも、話に入りたがります。
「むかし、白キツネから、冬桜の枝をもらったんです。」
うさぎの楽器やさんは、会話を続けます。
「ああ、おまえさんは、
白いのう!
おまえさんのような白いうさぎは、
ここらでは、めったに見ないのう!」
「?」
前長老は、どうも、好きな方に、話が飛んでいくようです。
北の森のカラスが、「まあ、気長にやんな。」と、笑いをこらえているのが見えます。
「大じいじ、白キツネだって!
白うさぎじゃないよ。」
と、きつねの子どもが、慣れたようにアシストします。
うさぎの楽器やさんは、
こりゃあ、余計なことは言えないぞ。と、
今度は、単刀直入に聞きました。
「あのう、
冬桜の枝を、白キツネに渡しましたか?」
すると、前長老は、うれしそうに話しはじめました。
「冬桜は、この森の自慢だよ。
北の森じゃあなくて、冬桜の森にしたいくらいさぁ!
まあ~りっぱな木が、たくさんある。
毎年、みごとな花を咲かせるよ。
春に咲く桜よりも、繊細で、きれいなもんだ。おまえさん、冬に来なきゃあ…」
と、とまりません。
「大じいじ、白キツネだよ!」
きつねの子どもが怒っていいました。
「…まいったなぁ。」
うさぎの楽器やさんは、微妙な軌道修正をして、
ふたたびアタックしました。
「その冬桜の中で、問題のある木はありませんか?
森に迷惑をかけるとか、
動物たちに嫌われているとか…。」
すると、なんとなくヒットしたのです。
「ああ、天罰がくだったのよ。
あの冬桜は、悪いやつだったからな。」
前長老のことばをきいて、北の森のカラスがピクリと反応しました。
「聞いたことあるぞ。
むかし、悪い木があったって話…。」
ひいおじいさんです。
毛足が長く、薄くなったきつね色の毛に、
ところどころ白い毛が混じっています。
北の森で、森を治めているのは、
きつねの長老です。
ただし、現在、森を治めているのは、
きつねの子どものおじいさんです。
ですから、このきつねの長老は、ほんとうは、前長老ということになります。
もしくは、名誉長老ですね!
うさぎの楽器やさんが、若い頃、
つまり、白キツネから桜の枝をもらった頃、
この北の森で、長老をしていたのは、
この、きつねの前長老なのです。
北の森の動物たちが、この前長老を呼ぶときには、今も「長老」と言います。
前長老って、言いにくいですからね!
親しみを込めて、長老と呼んでいるのです。
ちょっと、ややこしいですが、
前長老がご長寿なのは、
うさぎの楽器やさんにとって、ありがたいことでした。
さて、
前長老には、北の森のカラスが、先に話をしていてくれましたから、
とても、助かるはずだったのですが…
「それで、おまえさんは、
どこの森からきなすったのか、のう?」
前長老が、うさぎの楽器やさんにききました。
どこか、ひょうひょうとした感じを受けます。
「はい、銀色の森でして…、」
「ぼく、知ってるよ!
銀色の森に行ったことある!」
きつねの子どもも、話に入りたがります。
「むかし、白キツネから、冬桜の枝をもらったんです。」
うさぎの楽器やさんは、会話を続けます。
「ああ、おまえさんは、
白いのう!
おまえさんのような白いうさぎは、
ここらでは、めったに見ないのう!」
「?」
前長老は、どうも、好きな方に、話が飛んでいくようです。
北の森のカラスが、「まあ、気長にやんな。」と、笑いをこらえているのが見えます。
「大じいじ、白キツネだって!
白うさぎじゃないよ。」
と、きつねの子どもが、慣れたようにアシストします。
うさぎの楽器やさんは、
こりゃあ、余計なことは言えないぞ。と、
今度は、単刀直入に聞きました。
「あのう、
冬桜の枝を、白キツネに渡しましたか?」
すると、前長老は、うれしそうに話しはじめました。
「冬桜は、この森の自慢だよ。
北の森じゃあなくて、冬桜の森にしたいくらいさぁ!
まあ~りっぱな木が、たくさんある。
毎年、みごとな花を咲かせるよ。
春に咲く桜よりも、繊細で、きれいなもんだ。おまえさん、冬に来なきゃあ…」
と、とまりません。
「大じいじ、白キツネだよ!」
きつねの子どもが怒っていいました。
「…まいったなぁ。」
うさぎの楽器やさんは、微妙な軌道修正をして、
ふたたびアタックしました。
「その冬桜の中で、問題のある木はありませんか?
森に迷惑をかけるとか、
動物たちに嫌われているとか…。」
すると、なんとなくヒットしたのです。
「ああ、天罰がくだったのよ。
あの冬桜は、悪いやつだったからな。」
前長老のことばをきいて、北の森のカラスがピクリと反応しました。
「聞いたことあるぞ。
むかし、悪い木があったって話…。」
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