うさぎの楽器やさん

銀色月

文字の大きさ
上 下
18 / 88
<森のオルガン>のお話

8 お披露目コンサート その1

しおりを挟む
秋の風が、気持ちよく吹いています。

いよいよ、コンサートが開催される日がきました。

うさぎの楽器やさんがつくったオルガンと、ニノくんのふえの、2つの楽器をお披露目するコンサートです。

会場は、銀色トウヒの森のオルガン広場です。
オルガンの木のまわりは、いつのまにか客席が作られて、銀色トウヒに、おおわれた、音楽堂のようになっていました。

「楽器やさんが、がんばったんだな。」と、ニノくんには、すぐにわかりました。

客席は、満席になり、コンサートは、おまちかねの、森のオルガンから、披露されます。


演奏家は、ドレスを着た、白いうさぎです。

1番前の席に、リンとランとレンがすわっています。

「だれかしら?」
と、ニノくんが思っていると、
となりに来ていたオークが、おしえてくれました。
「うさぎの楽器やさんの、奥さんだよ。
彼女、楽器やさんと結婚する前は、街で、ちょっと有名なオルガン弾きだったんだ。」

きっと、人気のあるオルガン弾きだっただろうな。と、思わせる、チャーミングなうさぎです。


ああ、うさぎの楽器やさんたら、奥さんのために、オルガンを作っていたのか!
「なんだか、ステキだなぁ…」と、ニノくんは、うさぎの楽器やさんの姿を探しましたが、見あたりません。

きっと、後ろの空気ペダルのところで、スタンバイしているのでしょう。



うさぎの奥さんは、客席におじぎをして、オルガンを弾き始めました。


あの後、うさぎの楽器やさんが、さらに調整したオルガンの音は、バランスがとれていて、まろやかに和声を響かせ、
客席の動物たちから、「ほぅ!」という、感心のためいきが、もれました。


うさぎの奥さんの演奏は、
しばらくの間、子育てをしていたブランクが、どうしても感じられますが、

懸命に、オルガンに向き合っている姿は、そのチャーミングな姿からは、考えられないほど、力強く、いさぎよいものでした。


演奏中に、うさぎの楽器やさんが、後ろでペダルを踏んでいたかどうかは、わかりません。

ただ、森の動物たちは、ときおり吹き抜ける風とともに、心地よく、
森に新しく出来た楽器の音色に、ききいりました。


そうして、森のオルガンは、銀色の森と、そこに住む動物たちの心に、しっくりと受け入れられたのです。



ひとしきりの拍手がおさまり、
次は、ニノくんのふえのお披露目です。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...