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<森のオルガン>のお話
7 オークのお店
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ニノくんは、今日から、楽器やさんの手伝いではなく、
お披露目のコンサートに向けて、ふえの練習をすることになりました。
通いなれた楽器やさんに行かないのは、ちょっと寂しいですが、
コンサートまで、それほど時間はないので、余裕もありません。
「練習に専念するように」
と、楽器やさんが決めたのです。
「どこで、練習しようかな。」
真っ先に思い浮かんだのは、銀色トウヒの森でしたが、
「そういえば、オルガンも、あそこで練習するから、音が重なっては、いけないな。」
と思って、ほかを探していました。
ニノくんが、丘を登っていくと、オープンテラスのテーブル席がある、小さなお店がありました。
「オークのおいしいお茶のお店」
と、看板に書いてあります。
ニノくんは、お茶に興味はなかったので、今まで、このお店に来たことは、ありませんでしたが、
オークのお店は、オリーブの木のお店ができるよりも、もっと前からあるお店です。
お客さんは誰もいません。
オリーブの木のお店ができる前までは、レストランも兼ねていたので、ずいぶんにぎわっていたとききますが、
いまは、お茶好きなお客さんの専門店になっています。
ニノくんの気配をかんじて、店主が出てきました。
きつねの、オークです。
「ああ、きみは、楽器やさんのニノくんだね。」
オークは、うさぎの楽器やさんから、話をきいていたようで、ニノくんは、ここで練習させてもらうことに、すんなりと決まりました。
「ぼくも、バイオリンを、ときどき弾いているんだ。」
と、オークはいいました。
オークは、森のオーケストラで、テンくんと一緒に、バイオリンを弾いていたことがあります。
練習の大切さも、大変さも、よく知っているのです。
そうして、お客さんのいない時に、
(お客さんが来ても、「練習していて、いいよ。」と言ってくれることが、多いですがね!)
オークのお店で練習するようになって、しばらくたったころのことです。
練習中に、オークが、あわててニノくんのところに走ってきたことがありました。
その後すぐ、「少し、休憩しよう。」と、オレンジの香りがするお茶をいれて、持ってきてくれたので、一緒に飲みましたが、
そのとき、オークが不思議なことを言いました。
「じゃまして、ごめん。
森が、ざわめいたような、
気がしたから。」
たった、一度のことでした。
お披露目のコンサートに向けて、ふえの練習をすることになりました。
通いなれた楽器やさんに行かないのは、ちょっと寂しいですが、
コンサートまで、それほど時間はないので、余裕もありません。
「練習に専念するように」
と、楽器やさんが決めたのです。
「どこで、練習しようかな。」
真っ先に思い浮かんだのは、銀色トウヒの森でしたが、
「そういえば、オルガンも、あそこで練習するから、音が重なっては、いけないな。」
と思って、ほかを探していました。
ニノくんが、丘を登っていくと、オープンテラスのテーブル席がある、小さなお店がありました。
「オークのおいしいお茶のお店」
と、看板に書いてあります。
ニノくんは、お茶に興味はなかったので、今まで、このお店に来たことは、ありませんでしたが、
オークのお店は、オリーブの木のお店ができるよりも、もっと前からあるお店です。
お客さんは誰もいません。
オリーブの木のお店ができる前までは、レストランも兼ねていたので、ずいぶんにぎわっていたとききますが、
いまは、お茶好きなお客さんの専門店になっています。
ニノくんの気配をかんじて、店主が出てきました。
きつねの、オークです。
「ああ、きみは、楽器やさんのニノくんだね。」
オークは、うさぎの楽器やさんから、話をきいていたようで、ニノくんは、ここで練習させてもらうことに、すんなりと決まりました。
「ぼくも、バイオリンを、ときどき弾いているんだ。」
と、オークはいいました。
オークは、森のオーケストラで、テンくんと一緒に、バイオリンを弾いていたことがあります。
練習の大切さも、大変さも、よく知っているのです。
そうして、お客さんのいない時に、
(お客さんが来ても、「練習していて、いいよ。」と言ってくれることが、多いですがね!)
オークのお店で練習するようになって、しばらくたったころのことです。
練習中に、オークが、あわててニノくんのところに走ってきたことがありました。
その後すぐ、「少し、休憩しよう。」と、オレンジの香りがするお茶をいれて、持ってきてくれたので、一緒に飲みましたが、
そのとき、オークが不思議なことを言いました。
「じゃまして、ごめん。
森が、ざわめいたような、
気がしたから。」
たった、一度のことでした。
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