15 / 88
<森のオルガン>のお話
5 リンランレン
しおりを挟む
今日は、お昼すぎから、うさぎの子どもたちが、お店に来ています。
3階のアイスやさんが、もう1段おまけのサービスをしているので、アイスを食べて、帰りに、楽器やさんに寄っているのです。
「ニノくん、あれ、取って。」
「ねえ、ここに貼ってある紙、なあに?」
「この曲、知ってる?」
この白い子うさぎたちは、うさぎの楽器やさんの、息子たちです。
なまえは、リン、ラン、レンといいます。
ニノくんは、お店番をしながら、子どもたちの相手もしなくてはなりません。
さっきから、ランが、たなの上の楽器をかたっぱしからニノくんにとってもらい、
試しに弾いてみたり、たたいてみたり、しています。
ニノくんは、ランの音をひととおり聴いていましたが、ランはバイオリンのような、弦楽器が、思いのほか上手です。
「将来、森のオーケストラのコンサートマスターになったりして、ね。」
ニノくんは、なんとなく未来が見えたような気持ちになって、ニヤニヤしました。
レンは、ずっと鼻歌を歌っています。
ニノくんも知っている、有名な曲から、聴いたことのない曲まで!
なかなか、いいメロディーです。
もしかしたら…と、思って、ニノくんは、聞いてみました。
「レン、その曲、自分でつくったの?」
レンは、「…、うん。」と、ちょっとはずかしそうに、いいました。
作曲家になった、未来のレン!
ニノくんは、森のオーケストラがレンの曲を初演する想像をふくらませました。
さて、リンは?
その時、きつねの女の子が、お店に入ってきました。
「いらっしゃいませ。」
ニノくんが、声をかけます。
すると、リンが、近くによって来て、
「ああ、オーケストラの、おねえさんだ!どうしたの?」と、いいました。
リンに言われて、ニノくんも思い出しました。
…そういえば、テンくんのとなりにすわっていたな。
きつねの女の子は、バイオリンの弦を買いにきたといいました。
「テンくんが、うさぎの楽器やさんに選んでもらってるって、きいたから、
私にも選んでもらいたくって。」
ニノくんは、「ああ、またか。」と、
うさぎの楽器やさんを呼びに行く覚悟を決めました。
ところが、リンが、
「ぼくが選んであげる。」と、弦を探し始めたのです。
ニノくんは、あわてました。
おもちゃを選ぶのと、わけが違うんですから!
でも、リンは、選びながら、言いました。
「おねえさんのバイオリンは、銀色トウヒの木で出来ているでしょう?
銀色トウヒには、今使ってる弦だと、硬すぎるよ。
だから、音が、思うように伸びないでしょ?
ええと、この弦がいいよ。」
リンが、にっこり弦を渡すと、きつねの女の子は、おどろいた顔をしてリンを見ていましたが、
はっと我に返って、
「私、4本とも、新しい弦に変えたいわ!」といいました。
なんという、商才!
ニノくんは、確信しました。
「リンは、きっと、うさぎの楽器やさんに、なる。」
3階のアイスやさんが、もう1段おまけのサービスをしているので、アイスを食べて、帰りに、楽器やさんに寄っているのです。
「ニノくん、あれ、取って。」
「ねえ、ここに貼ってある紙、なあに?」
「この曲、知ってる?」
この白い子うさぎたちは、うさぎの楽器やさんの、息子たちです。
なまえは、リン、ラン、レンといいます。
ニノくんは、お店番をしながら、子どもたちの相手もしなくてはなりません。
さっきから、ランが、たなの上の楽器をかたっぱしからニノくんにとってもらい、
試しに弾いてみたり、たたいてみたり、しています。
ニノくんは、ランの音をひととおり聴いていましたが、ランはバイオリンのような、弦楽器が、思いのほか上手です。
「将来、森のオーケストラのコンサートマスターになったりして、ね。」
ニノくんは、なんとなく未来が見えたような気持ちになって、ニヤニヤしました。
レンは、ずっと鼻歌を歌っています。
ニノくんも知っている、有名な曲から、聴いたことのない曲まで!
なかなか、いいメロディーです。
もしかしたら…と、思って、ニノくんは、聞いてみました。
「レン、その曲、自分でつくったの?」
レンは、「…、うん。」と、ちょっとはずかしそうに、いいました。
作曲家になった、未来のレン!
ニノくんは、森のオーケストラがレンの曲を初演する想像をふくらませました。
さて、リンは?
その時、きつねの女の子が、お店に入ってきました。
「いらっしゃいませ。」
ニノくんが、声をかけます。
すると、リンが、近くによって来て、
「ああ、オーケストラの、おねえさんだ!どうしたの?」と、いいました。
リンに言われて、ニノくんも思い出しました。
…そういえば、テンくんのとなりにすわっていたな。
きつねの女の子は、バイオリンの弦を買いにきたといいました。
「テンくんが、うさぎの楽器やさんに選んでもらってるって、きいたから、
私にも選んでもらいたくって。」
ニノくんは、「ああ、またか。」と、
うさぎの楽器やさんを呼びに行く覚悟を決めました。
ところが、リンが、
「ぼくが選んであげる。」と、弦を探し始めたのです。
ニノくんは、あわてました。
おもちゃを選ぶのと、わけが違うんですから!
でも、リンは、選びながら、言いました。
「おねえさんのバイオリンは、銀色トウヒの木で出来ているでしょう?
銀色トウヒには、今使ってる弦だと、硬すぎるよ。
だから、音が、思うように伸びないでしょ?
ええと、この弦がいいよ。」
リンが、にっこり弦を渡すと、きつねの女の子は、おどろいた顔をしてリンを見ていましたが、
はっと我に返って、
「私、4本とも、新しい弦に変えたいわ!」といいました。
なんという、商才!
ニノくんは、確信しました。
「リンは、きっと、うさぎの楽器やさんに、なる。」
0
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説



どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる