9 / 88
<うさぎの楽器やさん>のお話
9 うさぎの楽器やさん
しおりを挟む
コンサートを終えて、<キングダム>が帰りのしたくをしている時も、
うさぎの楽器やさんは、少し、離れたところで、頭を下げて、
お礼を言っていました。
ニノくんは、だいぶ慣れて、
衣装を運ぶのを、手伝ったりしました。
黒ひょうさんは、ニノくんに、自分のバイオリンを持たせて、
弾き方を教えてくれたりして、遊んでくれました。
そして、ニノくんが、ふえを持ってきて吹いてみせると、
まだ、たどたどしい、ふえの音に合わせて、ライオンさんが伴奏してくれました。
すると、
いつの間にか、ひょうさんがチェロの低い音でリズムをきざみ、
そこへ、カッコいいメロディーを、黒ひょうさんが重ねました。
うさぎの楽器やさんは、もう、ほんとうに、うらやましそうに、
遠くから、見ていましたよ!
いたちの運送やさんが来て、ライオンさんのピアノを運んでいくまで、楽しい合奏は続きました。
<キングダム>を見送ったあと、
うさぎの楽器やさんは、始めからそこにいたように、いつのまにかニノくんの横に並んでいました。
「ニノくんがいてくれた、おかげだ。
ありがとう。」
うさぎの楽器やさんは、満足そうに、笑いました。
ニノくんも、満足していました。
ちょっと怖くて、とても、おもしろい仕事だったんですから。
「さて、楽器やの仕事は、まだ終わってないぞ。
会場の片づけを、しよう!」
と、言ってうさぎの楽器やさんは、歩き出しました。
会場の灯りに照らされて、なんだかカッコいいうさぎの楽器やさんのうしろ姿を、少し眺めてから、
ニノくんは、追いかけていきました。
「ぼくは、ふえを買った後も、うさぎの楽器やさんの仕事を、ずっと、手伝いたい。
そして、
いつか、きっと、ぼくも楽器やさんになるんだ!」
その時、ニノくんは、そう思いました。
会場の灯りが、ニノくんの胸の奥まで、照らしてみせてくれたかのようでした。
でもね、感のいいみなさんは、もう、わかっているかもしれませんが、
思ったとおりにならないことって、たくさんあるのです。
ニノくんも、そうだったんですよ。
ふえの持ち主になった後の、やまねこのニノくんのおはなしは、また、次のお話で。
うさぎの楽器やさんのおはなしは、おしまいです。
うさぎの楽器やさんは、少し、離れたところで、頭を下げて、
お礼を言っていました。
ニノくんは、だいぶ慣れて、
衣装を運ぶのを、手伝ったりしました。
黒ひょうさんは、ニノくんに、自分のバイオリンを持たせて、
弾き方を教えてくれたりして、遊んでくれました。
そして、ニノくんが、ふえを持ってきて吹いてみせると、
まだ、たどたどしい、ふえの音に合わせて、ライオンさんが伴奏してくれました。
すると、
いつの間にか、ひょうさんがチェロの低い音でリズムをきざみ、
そこへ、カッコいいメロディーを、黒ひょうさんが重ねました。
うさぎの楽器やさんは、もう、ほんとうに、うらやましそうに、
遠くから、見ていましたよ!
いたちの運送やさんが来て、ライオンさんのピアノを運んでいくまで、楽しい合奏は続きました。
<キングダム>を見送ったあと、
うさぎの楽器やさんは、始めからそこにいたように、いつのまにかニノくんの横に並んでいました。
「ニノくんがいてくれた、おかげだ。
ありがとう。」
うさぎの楽器やさんは、満足そうに、笑いました。
ニノくんも、満足していました。
ちょっと怖くて、とても、おもしろい仕事だったんですから。
「さて、楽器やの仕事は、まだ終わってないぞ。
会場の片づけを、しよう!」
と、言ってうさぎの楽器やさんは、歩き出しました。
会場の灯りに照らされて、なんだかカッコいいうさぎの楽器やさんのうしろ姿を、少し眺めてから、
ニノくんは、追いかけていきました。
「ぼくは、ふえを買った後も、うさぎの楽器やさんの仕事を、ずっと、手伝いたい。
そして、
いつか、きっと、ぼくも楽器やさんになるんだ!」
その時、ニノくんは、そう思いました。
会場の灯りが、ニノくんの胸の奥まで、照らしてみせてくれたかのようでした。
でもね、感のいいみなさんは、もう、わかっているかもしれませんが、
思ったとおりにならないことって、たくさんあるのです。
ニノくんも、そうだったんですよ。
ふえの持ち主になった後の、やまねこのニノくんのおはなしは、また、次のお話で。
うさぎの楽器やさんのおはなしは、おしまいです。
0
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説


ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。


淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる