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第三章 雑用、始めます
第六九話 新たな契約
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大変遅い更新になりましたこと深く謝罪いたします。
私事ではございますが、身内の不幸から各種手続きがありましたことが理由ではありますが、全て言い訳になってしまうことは理解しております。
それでも待っていただいた読者には深く感謝をしております。
引き続きお読みいただければ幸いでございます。
◆ ◆ ◆
北部への嫌がらせ計画始動から数日。
王弟の部下であるダズル子爵、その代理のファントム商会を見送った後に狼公の部下と会議を重ね、色々と問題点があることに気づいた。
その改善案を検討して、指示を出したり編成を変更したりと睡眠時間を削って作業していた。
しかし、運動不足でストレスが溜まっていたルークの密告により、俺はルイーサさんの説教を受けることになった。
それも過去最長時間の記録を塗り替えるという、とてもとても長い説教だった。
この説教時間、ナディアさんにとっても過去最長時間だったらしい。
ちなみに密告をした張本人であるルークはというと、ご褒美のおやつをもらいながらブラッシングを受けていた。
大層ご満悦だったようで、ストレスの元を作った俺にも寛大な心を持って接してくれた。
「じゃあ、コレを貸すから例の従魔を見つけて契約して来い」
「えっ? 許してくれたんじゃないの?」
「許したからこの程度で済ましているんだぞ? それにもう一体の従魔を見つけてこないと、オレは変わらずストレスに悩むことになる。最悪ハゲるぞ?」
「でも欠損再生だから、自分で治せるじゃん」
「──んっ? 何ぞ言うたか?」
ギロリと睨むルークに思わず怯む。
正論を言ってはいけない場面だったのね。
「な、何も。こ、コレは何かな? って」
「うん。それはな、あやつの魔力の塊だ。オレを囲っていた結界を突破できるなら余裕だ。行って来い」
「でも、外出禁止令発動中でして……」
「ルイーサの許可ならオレが取った。だから行って来い。一泊なら許されているぞ」
「一泊じゃ無理だよ。そもそも方角すら分かってないのに」
「方角は南の森だ」
「えっ?」
「とりあえず南に行けば大丈夫だ。さっさと行け」
「……行ってきます」
「うむ」
ルークに見送られて直接上空に向かって歩を進めたのだが、ふとルイーサさんたちに挨拶していくのを忘れたことに気づく。
しかしその頃にはもう子爵領を出ていたため、まぁいいかとスルーして先を急ぐことにした。
この決断が間違っていたとこのときに気づいていれば、後の悲劇を生むことはなかっただろう。
◆
「はい、到着。ルークのいた森に似ているけど、こっちの方が雰囲気が明るい気がするな」
余談だが、この森は東部辺境伯傘下の貴族家と南部公爵領の間に位置する森だ。
ここまでの道中、テオの実家の上空を通って来た。
明確に気づかれていはいなかったが、違和感を覚えたらしい数人が上空に視線を向けていた。
その反応だけでも領都周辺には実力者が多いことが窺える。
彼ら実力者の相手である敵対者は、大まかに分けて隣接する帝国と南側にある森から氾濫する魔物達の二つだ。
帝国は置いといて、問題は南側に位置する森の魔物。
そう、俺が今いる森の魔物だ。
この森は子供が一人で入ることを厳重に禁止しているほど危険であり、領主家とて例外とされないため成人の儀式の場所としても利用されているらしい。
テオが帰宅後の予定をブルーノさんに話しており、ブルーノさんに師事した理由の一つが史上最高記録を叩き出したいという目標を達成したいからと言っていた。
「本当にここにいるのかよ。そもそも精霊郵便が羨ましいと言ったことが発端なのに、何故に危険地帯にいる従魔が関係するのか。危険地帯出身の従魔は既にルークという有名獣がいるのに」
まぁ文句を言っても始まらないし、今回もイムレの分体が監視役として同行しているので、怒られるような言動をしないようにせねば。
──【神字:理体】
──〈魔力掌握〉
──【念動】
──《無属性魔法:探知》
普通ならこの組み合わせで大体発見できるんだけどなぁ。
今回は探すもののヒントが緑色の珠だけ。
──【神字:天理】
まずは鑑定系の【神字】で魔力を明確に知覚し覚える。
その感覚を忘れる前に文字を探索向きに切り替える。
──【神字:究理】
「これでどうだっ!?」
魔境である地の利を有効的に活用して全方位に探知範囲を広げていく。
町中ではなかなか出来ない芸当ではあるが、魔境で行う場合の方がリスクは大きい。巨大な魔力を持つことを周囲にアピールし、自分の居場所を周知することと同じだからだ。
周囲の魔物が弱ければ魔物が移動して生態系が変わったり氾濫のきっかけになったりするが、魔物が強かった場合は縄張りを侵されたと判断されて襲われることがほぼほぼ確定している。
「ルークも分かってて行かせたよね……」
しかも森を管理監視している貴族家は巡回要員を派遣しているだろうし、その巡回要員は感知能力が高い人物を起用していることは予想できる。
つまり、今回の広範囲探知を異変と感じて報告に行っている可能性大ということだ。
ちんたらしてられない。
「──あった」
俺に向かってくる強敵の攻撃を掻い潜り、中心部より少し南東寄りにある気配に向かって直走る。
代わる代わる襲いかかってきた強敵たちも自分の縄張りから出るまで追い続けることはなく、目的地に差し掛かった瞬間には不自然なほどピタッと止まって一定の範囲を超えることはなかった。
まるでそこに見えない壁でもあるかのように。
「何もいない……」
一本の巨木が生えている広場のような場所があり、そこには魔獣の魔の字もない。
「もしかしてルークと同じパターンか?」
広範囲型の《探知》を収束型に変えて注意深く探してみると、巨木のうろに亀裂みたいなものがあり、そこから緑色の珠と同じ魔力が漏れ出ていることが判明した。
亀裂の中を覗いてみると、確かに魔獣が寝ている姿を確認できた。
「あの~、起きてもらえます?」
直後、見えない壁の外で待機していた魔獣たちが一斉に逃げ出した。
……あれ? やっちまった感じ?
『──貴様か? 我が眠りを妨げた奴は?』
あっ。この殺気は、アカンやつだ。
「そうです」
『覚悟はできているということだな?』
「えぇ。しかしその前にコレを見ていただけますか?」
殺気溢れる視線で逆に覚悟ができ、いつもの死兵モードに徹することができた。
『餞別だ』
許可をもらったところで緑色の珠を放る。
だってコレを見せれば話は聞いてくれるって、我が家の食いしん坊が言ってたもんっ。
『──んっ? 何故コレを持っているっ!?』
殺気が増しましたけどっ!?
「持ち主が従魔だからですっ」
『んっ? もう一度言ってみろ』
「青獅子は僕の従魔です」
『証明してみろ』
少し前の自分なら、「できるかっ」と言っていた。
だが、夜間学習を重ねた今ならできる。
「【青炎】」
手のひらの上で揺らめく青白い炎は、お風呂代わりに覚えた一番出力が弱い【青炎】だ。
これで毎日ルークの子分たちを綺麗にする仕事をし、そこそこ懐いてくれるようになった。その実績を持って、今では得意魔法の一つだと自信を持って言える。
『──よし。話を聞いてやる』
殺気が霧散し、同時に亀裂から出てきた魔獣様。
その姿はオリーブ色という暗い緑色をした熊だった。
しかも初見のルーク並みの巨体。
それで察した。
この目の前の熊さん、ルークと同じ【星将獣】の一体だ。
わんぱく食いしん坊よ、ちゃんと言っておいてよ。
「まずは睡眠を邪魔してすみません。代わりと言ってはなんですが、軽食を持参しましたので宜しければどうぞ」
『小さくないか?』
「小型の魔物だと思っていまして……」
『仕方あるまい」
そう言って抱きつけるくらいのボリュームはあるが、先程の見上げるような大きさからかなり小さくなってくれた。
『美味いっ』
ルーク経由で渡されたブルーノさん特製のお弁当だからね。
しかもルイーサさんのおやつ付き。
「ルークはそのおやつが大好物なのですが、どうでした?」
『ルークとは青獅子のことか?』
「そうです」
『ふむ。美味いが、蜂蜜はないのか?』
「町で買ったものはありますが、満足行くものかどうかは……」
『良い』
ということで蜂蜜を献上することに。
途中の宿場町でトイレ休憩がてらお土産に買ってみたのだが、買っておいて良かった。
『うーん、普通』
「一応予定なのですが、精霊樹を植える予定がありまして──『じゃあ精霊花の蜜が食べれるのかっ!?』」
被せるように質問してくる熊さん。
それほど興味をそそられるものらしい。
「ルークはそう言ってましたし、居住地にはエルフがいますので栽培の失敗もないかと思います」
『うむうむ。この周囲に我が可愛がっているものもいるが、分けてあげられるか?』
「もちろんです」
『ふむ』
ジッと俺を見る熊さん。
これはルイーサさんのとき以上に目を逸らせない状況だ。
『──目的を話せ』
どうやら合格したらしい。
「是非とも従魔として契約していただきたいのです」
『やはりか。契約方法は血の契約か?』
「ルークのときは選択肢がありませんでしたが、僕も勉強しまして他の方法も──」
これ以上はアカンやつだ。
方針転換せねば、確実に死ぬ。
「──あるのですが、僕個人の我儘になってしまうのは承知の上で、是非とも血の契約をしていただきたいです」
『良い』
「ありがとうございますっ」
早速契約を済ませることに。
必要な種族は本獣に聞いた。
種族を聞いた感想は、図鑑と全然違う。
以前にニアが見せてくれた熊が、この熊さんだ。
図鑑は全く可愛くなかった。
でも本物は、殺気を放ってなければ可愛い。
テオが狂喜乱舞する姿が目に浮かぶ。
「我ディランは、生涯を緑陰熊【ヴァル】に捧げる」
『我ヴァルは、生涯を少年ディランに捧げる』
血を合わせて契約完了だ。
私事ではございますが、身内の不幸から各種手続きがありましたことが理由ではありますが、全て言い訳になってしまうことは理解しております。
それでも待っていただいた読者には深く感謝をしております。
引き続きお読みいただければ幸いでございます。
◆ ◆ ◆
北部への嫌がらせ計画始動から数日。
王弟の部下であるダズル子爵、その代理のファントム商会を見送った後に狼公の部下と会議を重ね、色々と問題点があることに気づいた。
その改善案を検討して、指示を出したり編成を変更したりと睡眠時間を削って作業していた。
しかし、運動不足でストレスが溜まっていたルークの密告により、俺はルイーサさんの説教を受けることになった。
それも過去最長時間の記録を塗り替えるという、とてもとても長い説教だった。
この説教時間、ナディアさんにとっても過去最長時間だったらしい。
ちなみに密告をした張本人であるルークはというと、ご褒美のおやつをもらいながらブラッシングを受けていた。
大層ご満悦だったようで、ストレスの元を作った俺にも寛大な心を持って接してくれた。
「じゃあ、コレを貸すから例の従魔を見つけて契約して来い」
「えっ? 許してくれたんじゃないの?」
「許したからこの程度で済ましているんだぞ? それにもう一体の従魔を見つけてこないと、オレは変わらずストレスに悩むことになる。最悪ハゲるぞ?」
「でも欠損再生だから、自分で治せるじゃん」
「──んっ? 何ぞ言うたか?」
ギロリと睨むルークに思わず怯む。
正論を言ってはいけない場面だったのね。
「な、何も。こ、コレは何かな? って」
「うん。それはな、あやつの魔力の塊だ。オレを囲っていた結界を突破できるなら余裕だ。行って来い」
「でも、外出禁止令発動中でして……」
「ルイーサの許可ならオレが取った。だから行って来い。一泊なら許されているぞ」
「一泊じゃ無理だよ。そもそも方角すら分かってないのに」
「方角は南の森だ」
「えっ?」
「とりあえず南に行けば大丈夫だ。さっさと行け」
「……行ってきます」
「うむ」
ルークに見送られて直接上空に向かって歩を進めたのだが、ふとルイーサさんたちに挨拶していくのを忘れたことに気づく。
しかしその頃にはもう子爵領を出ていたため、まぁいいかとスルーして先を急ぐことにした。
この決断が間違っていたとこのときに気づいていれば、後の悲劇を生むことはなかっただろう。
◆
「はい、到着。ルークのいた森に似ているけど、こっちの方が雰囲気が明るい気がするな」
余談だが、この森は東部辺境伯傘下の貴族家と南部公爵領の間に位置する森だ。
ここまでの道中、テオの実家の上空を通って来た。
明確に気づかれていはいなかったが、違和感を覚えたらしい数人が上空に視線を向けていた。
その反応だけでも領都周辺には実力者が多いことが窺える。
彼ら実力者の相手である敵対者は、大まかに分けて隣接する帝国と南側にある森から氾濫する魔物達の二つだ。
帝国は置いといて、問題は南側に位置する森の魔物。
そう、俺が今いる森の魔物だ。
この森は子供が一人で入ることを厳重に禁止しているほど危険であり、領主家とて例外とされないため成人の儀式の場所としても利用されているらしい。
テオが帰宅後の予定をブルーノさんに話しており、ブルーノさんに師事した理由の一つが史上最高記録を叩き出したいという目標を達成したいからと言っていた。
「本当にここにいるのかよ。そもそも精霊郵便が羨ましいと言ったことが発端なのに、何故に危険地帯にいる従魔が関係するのか。危険地帯出身の従魔は既にルークという有名獣がいるのに」
まぁ文句を言っても始まらないし、今回もイムレの分体が監視役として同行しているので、怒られるような言動をしないようにせねば。
──【神字:理体】
──〈魔力掌握〉
──【念動】
──《無属性魔法:探知》
普通ならこの組み合わせで大体発見できるんだけどなぁ。
今回は探すもののヒントが緑色の珠だけ。
──【神字:天理】
まずは鑑定系の【神字】で魔力を明確に知覚し覚える。
その感覚を忘れる前に文字を探索向きに切り替える。
──【神字:究理】
「これでどうだっ!?」
魔境である地の利を有効的に活用して全方位に探知範囲を広げていく。
町中ではなかなか出来ない芸当ではあるが、魔境で行う場合の方がリスクは大きい。巨大な魔力を持つことを周囲にアピールし、自分の居場所を周知することと同じだからだ。
周囲の魔物が弱ければ魔物が移動して生態系が変わったり氾濫のきっかけになったりするが、魔物が強かった場合は縄張りを侵されたと判断されて襲われることがほぼほぼ確定している。
「ルークも分かってて行かせたよね……」
しかも森を管理監視している貴族家は巡回要員を派遣しているだろうし、その巡回要員は感知能力が高い人物を起用していることは予想できる。
つまり、今回の広範囲探知を異変と感じて報告に行っている可能性大ということだ。
ちんたらしてられない。
「──あった」
俺に向かってくる強敵の攻撃を掻い潜り、中心部より少し南東寄りにある気配に向かって直走る。
代わる代わる襲いかかってきた強敵たちも自分の縄張りから出るまで追い続けることはなく、目的地に差し掛かった瞬間には不自然なほどピタッと止まって一定の範囲を超えることはなかった。
まるでそこに見えない壁でもあるかのように。
「何もいない……」
一本の巨木が生えている広場のような場所があり、そこには魔獣の魔の字もない。
「もしかしてルークと同じパターンか?」
広範囲型の《探知》を収束型に変えて注意深く探してみると、巨木のうろに亀裂みたいなものがあり、そこから緑色の珠と同じ魔力が漏れ出ていることが判明した。
亀裂の中を覗いてみると、確かに魔獣が寝ている姿を確認できた。
「あの~、起きてもらえます?」
直後、見えない壁の外で待機していた魔獣たちが一斉に逃げ出した。
……あれ? やっちまった感じ?
『──貴様か? 我が眠りを妨げた奴は?』
あっ。この殺気は、アカンやつだ。
「そうです」
『覚悟はできているということだな?』
「えぇ。しかしその前にコレを見ていただけますか?」
殺気溢れる視線で逆に覚悟ができ、いつもの死兵モードに徹することができた。
『餞別だ』
許可をもらったところで緑色の珠を放る。
だってコレを見せれば話は聞いてくれるって、我が家の食いしん坊が言ってたもんっ。
『──んっ? 何故コレを持っているっ!?』
殺気が増しましたけどっ!?
「持ち主が従魔だからですっ」
『んっ? もう一度言ってみろ』
「青獅子は僕の従魔です」
『証明してみろ』
少し前の自分なら、「できるかっ」と言っていた。
だが、夜間学習を重ねた今ならできる。
「【青炎】」
手のひらの上で揺らめく青白い炎は、お風呂代わりに覚えた一番出力が弱い【青炎】だ。
これで毎日ルークの子分たちを綺麗にする仕事をし、そこそこ懐いてくれるようになった。その実績を持って、今では得意魔法の一つだと自信を持って言える。
『──よし。話を聞いてやる』
殺気が霧散し、同時に亀裂から出てきた魔獣様。
その姿はオリーブ色という暗い緑色をした熊だった。
しかも初見のルーク並みの巨体。
それで察した。
この目の前の熊さん、ルークと同じ【星将獣】の一体だ。
わんぱく食いしん坊よ、ちゃんと言っておいてよ。
「まずは睡眠を邪魔してすみません。代わりと言ってはなんですが、軽食を持参しましたので宜しければどうぞ」
『小さくないか?』
「小型の魔物だと思っていまして……」
『仕方あるまい」
そう言って抱きつけるくらいのボリュームはあるが、先程の見上げるような大きさからかなり小さくなってくれた。
『美味いっ』
ルーク経由で渡されたブルーノさん特製のお弁当だからね。
しかもルイーサさんのおやつ付き。
「ルークはそのおやつが大好物なのですが、どうでした?」
『ルークとは青獅子のことか?』
「そうです」
『ふむ。美味いが、蜂蜜はないのか?』
「町で買ったものはありますが、満足行くものかどうかは……」
『良い』
ということで蜂蜜を献上することに。
途中の宿場町でトイレ休憩がてらお土産に買ってみたのだが、買っておいて良かった。
『うーん、普通』
「一応予定なのですが、精霊樹を植える予定がありまして──『じゃあ精霊花の蜜が食べれるのかっ!?』」
被せるように質問してくる熊さん。
それほど興味をそそられるものらしい。
「ルークはそう言ってましたし、居住地にはエルフがいますので栽培の失敗もないかと思います」
『うむうむ。この周囲に我が可愛がっているものもいるが、分けてあげられるか?』
「もちろんです」
『ふむ』
ジッと俺を見る熊さん。
これはルイーサさんのとき以上に目を逸らせない状況だ。
『──目的を話せ』
どうやら合格したらしい。
「是非とも従魔として契約していただきたいのです」
『やはりか。契約方法は血の契約か?』
「ルークのときは選択肢がありませんでしたが、僕も勉強しまして他の方法も──」
これ以上はアカンやつだ。
方針転換せねば、確実に死ぬ。
「──あるのですが、僕個人の我儘になってしまうのは承知の上で、是非とも血の契約をしていただきたいです」
『良い』
「ありがとうございますっ」
早速契約を済ませることに。
必要な種族は本獣に聞いた。
種族を聞いた感想は、図鑑と全然違う。
以前にニアが見せてくれた熊が、この熊さんだ。
図鑑は全く可愛くなかった。
でも本物は、殺気を放ってなければ可愛い。
テオが狂喜乱舞する姿が目に浮かぶ。
「我ディランは、生涯を緑陰熊【ヴァル】に捧げる」
『我ヴァルは、生涯を少年ディランに捧げる』
血を合わせて契約完了だ。
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