おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~

暇人太一

文字の大きさ
上 下
51 / 116
第一章 隠遁生活

第四十九話 報酬からの父母再会

しおりを挟む
 今回は【レジェンドガチャ】だから、天使さんをタップしてガチャを回す。

 寝そべっている天使さんが面倒くさそうにしながら、籠に入っているドロンの果実を手渡すように近づいてくる。天使さんの手からドロンの果実が離れた瞬間がシャッフルされている状態で、俺の目の前に届けられたときのドロンの果実の状態からスキルのレアリティが判断できるらしい。

 そのままは《ノーマル》で、アメ玉は《ユニーク》。お酒にもなれば《エクストラ》になるそうだ。

 やっぱりタマさんじゃん……。

 そして今回はアメ玉が二つ。一回ずつというドキドキワクワクを味わうことなく、数回分をまとめて回されるようだ。もう少しだけ御褒美をもらった感動を味わいたかった。せめて初回だけは……。

「よかったじゃない! ユニークは確定よ!」

「ドM勇者じゃないけど、魔眼系が欲しいなと思っているんで期待してます!」

「魔眼ならすでに持ってるじゃない」

「いまだに実感がないのは何故でしょう?」

「精霊が寄りつかないからでしょ」

 やっぱりな……。薄々分かってはいたけど、精霊を見たのは洞窟までの森の小道を進んでいたときだけで、それ以外は全く見ないんだよな。

 今回の拠点も精霊が寄りつかない場所になってしまっているらしい。悲しいことだ。

「さて、何が出たかな?」

 アメ玉が割れて二つのスキルが出てきた。

 一つ目は《付与:2》。二つ目は《細工:2》という結果だ。二つとも生産系職業のスキルである。気のせいかもしれないけど、俺って生産系のスキルが多い気がする。商人じゃなくて職人になるべきか?

「スキルがどちらもレベル2なのは、【レジェンドガチャ】がユニークを出した場合の最低レベルだからよ!」

「じゃあハズレなんですか?」

「失礼ね! そんなわけないでしょ! アルテア様がハズレはないって言わなかった!?」

「す、すみません……」

「まぁドロン酒で手を打ってあげるわ!」

 隙あらばドロン酒をかっ攫っていくな……。少しは飲む量を減らそうとか思わないのかな? 材料が底をつこうとしているのに……。

「ドロン酒は後ほど」

「絶対よ! それで今回のスキルのことだけど、あんたにとっては当たりよ! 《細工》の方がね!」

「何故です?」

「細工は統合スキルなんだけど、レベル8以上の細工系スキルが三つ以上合わさって《細工》スキルになるのよ。あんたが持っているスキルで条件を満たしているのは《木工》だけ。だから《細工》が加わることで、細工系のスキルを全て一つにできる上に、《木工》のスキルレベルが反映されて《細工:5》になるのよ!」

「それって他の細工系スキルも最大値なんですか?」

「入門の基礎を終えたら、細工系のスキルは自動で統合されて《細工:5》の恩恵を受けられるのよ!」

「すごい! 大当たりだ!」

「そうでしょ! そうでしょ!」

 満足そうに画面の向こう側で頷くタマさんに、ドロン酒を奉納する。それもこれもクエストを出してくれたタマさんのおかげだからと、思いたくなくても思わせてしまうほど感動したからだ。

 ワニさん問題が片付いたら革細工や石工などを始め、蛙さんの目玉を使った宝石細工もする予定だったから、なおのこと感動している。

「ステータスを確認してみたら?」

「そうですね。ステータス」

【名 前】 アーク
【性 別】 男
【年 齢】 5歳
【種 族】 鬼族(隠蔽)
【レベル】 56(10)
【魔力量】 439,200(400)
【魔 術】 無
      水魔術
      地魔術
      火
      風
      森魔術(隠蔽)
      飴魔術(隠蔽)
【職 業】 トイストア
【スキル】 
〈固 有〉=ユニーク=
      カタログ  2
      セクション 2
〈行 動〉=ノーマル=
      言語 10 算術 10
      観察 10 暗記 6 
      植物鑑定 7
      生物鑑定 6 
      思考強化 7
      身体強化 10
      防御強化 7
      歩法 10 跳躍 10
      疾駆 10 呼吸 10
      物理攻撃耐性  5
      水属性攻撃耐性 3
      地属性攻撃耐性 3
      無属性攻撃耐性 5
      気配察知    10
      魔力察知    10
      危機察知    10
      振動感知    4
      聞き耳 7 手探り 7
      話術  4 清掃  5
      採掘  3 威圧  4
      心話  10
      偽装  10(隠蔽)
     =ユニーク=
      魔力把握   5(感知)
      魔力制御   5(操作)
      魔力重複   5(強化)
      魔力循環   5(隠蔽)
      魔力圧縮   5(隠蔽)
      魔力具現   4(隠蔽)
      魔力武具   3(隠蔽)
      魔糸生成   2(隠蔽)
      魔力付与   2(隠蔽)
      魔力吸収   1(隠蔽)
      武器強化   4
      部位強化   3
      縮地 2 天駆 2
      合気 2 隠密 5
      身体異常無効 5(隠蔽)
      精神異常無効 5(隠蔽)
      状態異常無効 5(隠蔽)
      気配探知   3
      魔力探知   5
      害意察知   3
      解読 3 鑑定 3 
      念話 2 隠蔽 5(隠蔽)
〈職 業〉=ノーマル=
      調合 10 薬術 7
      採取 10 醸造 5 
      解体 10 料理 7
      土木 10 罠術 8
      農耕 10 加工 8
      図画 5  工作 7
      描写 8  造形 6
      裁縫 4  鍛冶 1
      信仰 10(隠蔽)
      体術 10 棒術  8
      槍術 5  細剣術 1
      投擲 6  布衣術 1
      弓術 1  操糸  1
      短縮詠唱 10(隠蔽)
     =ユニーク=
      医術 2  栽培 3
      製菓 2  発掘 2
      建築 3  錬金 1
      付与 2  細工 5(隠蔽)
      捕捉 2  交信 1(隠蔽)
      気功 1
      詠唱破棄 4(隠蔽)
【能 力】=身体系=
      高速再生 身体硬化
     =戦闘系=
      竜鰐闘技
     =特殊系=
      武威
【加 護】 創造神アルテアの加護(隠蔽)
      霊 王シリウスの加護(隠蔽)
      炉 神リゲルの加護 (隠蔽)
【称 号】 転生者(隠蔽)
      使 徒(隠蔽)
      勇 者(隠蔽)
      神 匠(隠蔽)
【備 考】=従 魔=
      耳長銀狼(ラビ)
     =召喚獣=
      フェンリル特異種(リム)

「えぇぇーーー! 何でーーー!?」

「ラビくん、どうしたの?」

「み、見えてる……? ぜ、全部見えてるの……?」

「もちろん! おかしなところがいっぱいあるね! 特に加護のところかな!」

「そ、そうだよね! ふ、不思議ダヨネー!」

「タマさん、どういうことです?」

 アルテア様以外には会ったことがないから、加護をつける機会はなかったはずなんだけど。

「【霊王】や大精霊クラスになると会わなくても加護をつけられるのよ。あんたの知り合いの神子だって、一応アルテア様の『寵愛』を受けているのよ? 会っていると思う?」

「いえ、全く!」

「だから、【霊王】がたまたま見つけて加護をくれたと思っておけばいいのよ。それから隠蔽と偽装はあたしの方で適当に操作しておいたから。あんた全然やんないし」

「ありがとうございます!」

 ちょっと面倒で人間に会わないからいいかなと思っていたから、タマさんが適当にやってくれたなら言うことなしだ。ありがたい。

「あといくつかお知らせがあるんだけど、加護の話をしていたから先に【炉神】である火の大精霊の称号について説明するわね。《鍛冶》と火属性以外の効果は、細工系スキルの習得習熟速度が三倍になるわ。おまけに、神の技術書『細工』の自由閲覧権もあるらしいから、ドンドン活用なさい。ただし、生産系の職業や神殿の者にバレたら監禁されるから気をつけなさい。勇者の聖剣を創らされるわよ!」

「勇者の聖剣って同じ物を使い回しか、アルテア様が用意するのと思ってましたが違うんですね」

「加護持ちが創って、アルテア様と火の大精霊が選んだ物にアルテア様が命を吹き込むのよ。加護とは違ったものだけど、物にかける加護みたいな感じよ。それと、勇者一人につき聖剣は一つのみ。使い回しや再生産はないわ。現在封印中の魔王たちは聖剣を媒介にして封印術を行使しているから、封印結界を壊せば聖剣も壊れるわよ」

 じゃああの高校生三人組たちのために剣を創ることになるかもしれないのか? 絶対に嫌だ。これは隠蔽一択だな。

 さすがサポート天使様だ。素晴らしい!

「次は魔物の能力の項目についてだけど、あんたとラビくんたちのような魔力の繋がりがあるものしか見えないから。ドM勇者という前例があるから安心してちょうだい。あとエクストラスキルが二つ以上存在しているんだけど、今追加を承認してステータスに表示しちゃうと習熟度が伸びにくくなるから、あたしが上限まで習熟できたと確認できてから表示させることにするから」

「はい! それでお願いします!」

「ちなみに魔力関係だから、これからは武術関係に力を入れなさい!」

「はい! 【トイストア】もレベルアップしましたからね!」

「最後に、早く風属性の魔術を覚えなさい! 複合属性の氷魔術が習得できないでしょ!」

「了解です!」

 ラビくんもソワソワしているけど、冷たいドロン酒が気になるのかな? それならば早速風魔術を習得しようではないか。

「風よ、爽やかな風よ、巻き起これ《送風》」

「うわぁーーっ!」

 思った以上の威力が出てしまって、ラビくんが風の勢いで転がってしまった。

「ご、ごめん! 大丈夫?」

「うん。ビックリしたけどね」

「美味しいもの作るから許して!」

「いいよーー!」

 胸に飛び込んでくるラビくんを抱き留めてモフモフしていると、上空から何かが近づいてきている気配がして思わず上を向く。

「ん? 何あれ?」

「何か飛んでくるね! 晩御飯かな?」

「何か乗ってるよ。……あっ! 親分だ!」

「え? あれが?」

 巨大な鳥の背中に熊親分が熊さん座りをしており、こちらに近づいてきている。俺はハイドラさんたちに敵ではないことを知らせて、熊親分を迎え入れる準備に移った。

「グォ!」

「お久しぶりです!」

 バサバサと翼をはためかせて降りてきた鳥さんの背中から、親分が滑り降りてきた。オークちゃんを伴って。

「オークちゃんも久しぶりです!」

「ブモ!」

「グォグォ!」

 何やら熊親分が鳥さんともめている。おそらくだが、鳥さんが帰りたくないと言ってごねているせいでもめている。親分がさっきからずっと『帰れ!』と繰り返しているからだ。

 いつもよりはっきりと親分の言葉が分かる。これが《念話》の効果だろう。素晴らしい!

「ブモ! ブモブモ!」

「時間がなかったとはいえ、あいさつが遅れてしまい申し訳ありません!」

「ブモ! ブモブモモ、ブモー!」

「決闘場に行くんですか? 領域持ちの責任と戦いの経験ですか……。確かに必要ですね。女王ワニはハイドラさんの助力と、新魔術がなければ死んでましたから」

「ブモ!」

 分かっているならよろしいと言わんばかりに頷き、ラビくんたちの方へ視線をやるオークちゃん。多分紹介しろってことなんだろうけど、未だもめている最中の熊親分を放置したまま話を進めていいものか悩む。

「お、親分。ドロン酒が完成したんですが、飲んでくれますか?」

「グォ! グーグォ!」

「ピュオーー!」

「グ……グォ……」

 親分は「飲む。だから帰れ!」と言って腕を振るったが、まさかの反撃によって敗北を喫した。

 いつの世も種族関係なく家庭内最強は、間違いなく母である。


 ==================

 遅くなりました。
 ストックが完全になくなりました。
 次話と閑話が二話くらいで今章は終わりです。

しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~

鮪鱚鰈
ファンタジー
昭和22年 ロサンゼルス沖合 戦艦大和の艦上にて日本とアメリカの講和がなる 事実上勝利した日本はハワイ自治権・グアム・ミッドウエー統治権・ラバウル直轄権利を得て事実上太平洋の覇者となる その戦争を日本の勝利に導いた男と男が率いる小隊は1001部隊 中国戦線で無類の活躍を見せ、1001小隊の参戦が噂されるだけで敵が逃げ出すほどであった。 終戦時1001小隊に参加して最後まで生き残った兵は11人 小隊長である男『瀬能勝則』含めると12人の男達である 劣戦の戦場でその男達が現れると瞬く間に戦局が逆転し気が付けば日本軍が勝っていた。 しかし日本陸軍上層部はその男達を快くは思っていなかった。 上官の命令には従わず自由気ままに戦場を行き来する男達。 ゆえに彼らは最前線に配備された しかし、彼等は死なず、最前線においても無類の戦火を上げていった。 しかし、彼らがもたらした日本の勝利は彼らが望んだ日本を作り上げたわけではなかった。 瀬能が死を迎えるとき とある世界の神が彼と彼の部下を新天地へと導くのであった

暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~

暇人太一
ファンタジー
 仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。  ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。  結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。  そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?  この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

怪物転生者は早期リタイアしたい~チートあるけど、召喚獣とパシリに丸投げする~

暇人太一
ファンタジー
 異世界に召喚された王明賢(おう あきたか)。  愚民呼ばわりが我慢できず、思わず「私は王だ」と言ってしまう。  単なる自己紹介が誤解を生んでしまい、これ幸いと異世界の国王を装うことに……。  その結果、リセマラ転生の生贄から実験体にランクアップして、他国の辺境男爵家のカルムとして第二の人生を送ることになる。  99人分の能力や生命力などを取り込んだ怪物となったが、目指すは流行の早期リタイア『FIRE』!

【スキルコレクター】は異世界で平穏な日々を求める

シロ
ファンタジー
神の都合により異世界へ転生する事になったエノク。『スキルコレクター』というスキルでスキルは楽々獲得できレベルもマックスに。『解析眼』により相手のスキルもコピーできる。 メニューも徐々に開放されていき、できる事も増えていく。 しかし転生させた神への謎が深まっていき……?どういった結末を迎えるのかは、誰もわからない。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。

スキル【アイテムコピー】を駆使して金貨のお風呂に入りたい

兎屋亀吉
ファンタジー
異世界転生にあたって、神様から提示されたスキルは4つ。1.【剣術】2.【火魔法】3.【アイテムボックス】4.【アイテムコピー】。これらのスキルの中から、選ぶことのできるスキルは一つだけ。さて、僕は何を選ぶべきか。タイトルで答え出てた。

処理中です...