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第1章 転生からの逃亡
第22話 拍手喝采
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追跡部隊の彼らが縦隊を組んでくれたおかげで、予想よりも多くの人数を削れた上、隊長も排除することができた。
結果は満足している。
しかし楽観はしていない。
何故なら魔力量の問題があるからだ。
最初に使った《魔力撃》の魔力消費量は一〇で、《魔力弾》は三〇だ。
属性弾もう少し多く、それぞれ五〇となっている。
眠れば回復するが、逃走中に眠れるはずもない。
さらに、王国の兵士をなんとか撃退したとしても、より危険な霊峰に魔力なしで挑むことは自殺と同じだ。
「逃げ切れるかな……」
可能ならこのまま逃げ切って、王国の兵士の相手は霊峰の魔獣達に任せたい。
「隊長の仇っ!」
「隊員はいいんかいっ!」
剣を振り被って斬り掛かって来た兵士に対してツッコミながらも、【転歩】を使って距離を取る。
まだレベルが低いせいで距離が短くぎこちないが、武術の才能がない俺が使える最速回避術だ。連発するしかない。
「クソッ! 学者じゃなかったのかっ!?」
「学者だよーー」
叫びながら再度走り出す。
そして追いかける兵士。
「嘘つけっ! 騙しやがってっ!」
「ホントだよーー」
「じゃあ……何で……《縮地》を……使えるんだよっ!」
走りながら喋るとか器用だね。
それにしても《縮地》か……。
知識様、教えて下さい。
「あぁ……戦技か」
武術系職業専用の戦技で、魔力を消費して短距離を瞬間移動できるスキルが《縮地》というらしい。
効果は似てるけど、【転歩】は魔力を使わない代わりに肉体に負荷がかかる。
それに戦技はどれも共通して予備動作が発動キーになった魔法のようなものだから、基本的に足を動かさず移動できるらしい。
すごい。羨ましい。
「これは違いまーす」
頑張れば誰でも習得できるはずだよ。
【歩法】から派生したスキルだからね。
「クソッ! 馬鹿にしやがってっ!」
「おいー、そんなに叫ぶなよー」
招かれざる客が来るかもしれないよ?
ここは森。
血の臭いが充満して興奮を煽り、騒音によって神経を過敏にさせているはず。
「グロォォォーーーッ」
「ほら来た」
狼かな? 俺が餌を用意しておいてあげるから、さっさと食べにおいで。
――《微風弾》
「ん? ――魔法だ」
「遅い」
再びの時間差三連射。
だが、今回は血を流させることが目的だから、不可視性と速度を優先。
二発は追跡部隊へ向けたが、三発目はおばさんの部隊に狙いをつけた。
「【索敵】」
よし。狼が迫ってきていることは確定し、おばさんの方にも戦力を分けたことが確認できた。
これで少しは圧力を減らせるかな。
俺も少し休みたい。
「副隊長っ! 左から森林狼が来ますっ!」
「クソッ! この忙しいときにッ」
「おい、マヌケ」
「はぁ!?」
狼の接近を確認するために視線を移していた男に声をかけ、こちらを向いた瞬間、袋に詰めておいたお馬さんの尿と体臭が付着した布を投げつけた。
「クサッ」
別に嫌がらせだけで投げたわけはなく、狼の標的になってほしくて投げたのだ。
これでお馬さんも浮かばれるだろう。
「殺す」
「ダメだろう? 連れて帰らなきゃ利用できないんだから」
「……」
「おや? 図星? 任務もこなせない部隊を残しておくほどキチ○イ王女は慈悲深くないと思うけど?」
「……生きていればいいんだよ」
「馬鹿だなー。そちらに選択の余地はないんだよ? 傷つける度合を間違えたら自殺してやるよ。死なば諸共。一緒に地獄に行こうぜ?」
「――はったりだっ!」
「なら、試してみろよ? あんたらの家族も無事だといいな? 僕を引き渡せなかった代わりに、奥さんや娘、それとも妹かな?」
「……何が?」
「慰みものに決まってるだろ?」
「させるかぁ!!!」
「じゃあ死なせないように注意を払わないとな? ――頑張れよ」
よし。休憩終わり。
可能なら水を飲みたいが、魔力の節約を優先するため我慢。
「捕縛準備っ」
「「「はっ」」」
あと四人か……。
「捕縛? 余裕あるの?」
ほら後の正面だーれだー?
「グルァァァッ」
「――え?」
そこそこ大きい狼が一人の首元に噛みつき、そのまま骨をかみ砕いた。
ゴリゴリと耳障りな音を立てて生きたまま餌にされている姿を、他の三人の同僚が眺めている。
え? 助けないの?
それならそれでいいけどね。
俺は逃げるし。
【気配遮断】と【隠形】を発動して、【転歩】で距離を稼いでいく。
「【索敵】」
うん、おばさんの方も交戦しているみたいだ。
俺が霊峰に駆け込むまで、そのままワンコたちと遊んでいたまえ。
◆
「ふぅ。あと少しだ」
森が途切れることはないが、霊峰との境に大きな川流れており、そこを渡れば霊峰へ入ったと言えるらしい。
この情報は、新しく入手した固有スキルの【地図】で知ったことだ。
今は川を渡れる場所を探している最中で、ついでに休憩の時間でもある。
が、世の中非常識な人はどこにでもいるから困ったものだ。
「――シッ」
「おっと」
アポなし訪問に加えて、物騒なあいさつときた。
「まったく。親の顔が見てみたいですよ」
「それは叶いません。あなたはここで死ぬのですから」
「おや? 殺したらキチ○イ王女が怒り狂うのでは?」
「殿下はキチ○イではないっ」
「さすが助手の鑑。素晴らしい忠誠心です。しかし、任務は捕縛でしょ? 殺してしまっては無能の烙印を押されてしまいますよ?」
「……構いません」
「あぁ。既に押されてしまった口ですか?」
「あなたのせいよっ!」
「何故みなさんは僕のせいにしたがるのでしょうね? 北方に向かう馬車を襲ったのは賊で、守れないくせに馬車に残れと言った阿呆はどうなりましたか? 半死半生で逃げ出し、部下は全滅だったのでしょ? そのまま残って死んでいたら、どちらにしろ北方への派遣も不可能だったわけですが?」
「報告ではあなたは襲われずに無傷で逃走したあります。賊を手引きしたのではありませんか!?」
「マジで言ってる? 倉庫に住まわせて、迷宮の出入りを監視していて、土地勘も情報もないのに、どうやって手引きすると思ってるんですか? 頭大丈夫ですか? 僕のせいにしたくて空想を現実にしようとしてません?」
どう報告したのか知らないけど、出会い頭に俺のせいにしてきた無能くんが言ったことだから、きっと支離滅裂だったのだろう。
「では! 何故無傷で、逃走できたのです!? 説明できないでしょ!?」
「保身しか頭にない無能兵士の言葉を信じすぎでは? 無能兵士が傲慢にも足を止めて応戦している間に、敵兵が少ないところを狙って駆け抜けただけ。そもそも護送のための護衛だろ? 応戦せず駆け抜けることを優先しろよ。基本的に王国の兵士は頭が弱いのよ。迷宮攻略とか侵略とかする前に、まずは脳ミソの訓練しろよ」
「もういいです。説明になっていないので、反逆罪を適用します」
「イッちゃってるーー」
初めて腰に差してある短剣を抜く。
「ふっ。学者がいっちょ前に」
「あっ、そうだ。暴動は起きましたか?」
「…………」
「そうですか。おめでとうございます。拍手を贈って差し上げます」
短剣を持ったまま手を打ち合わせる。
約束を果たせて感無量だ。
「あの騎士もきっと浮かばれることでしょう。彼のおかげであなたが賞賛されるのですから」
「死ねっ」
クソメイドは短剣というよりも大型ナイフを両手に持ち、的確に急所を狙って突きや斬撃を繰り返す。
時折魔力の揺れを感じることから、戦技や魔法を使いたいのだろう。
しかし、【魔力感知】で動き出しを読み取り、予備動作や詠唱開始を先回りして潰し、単調な攻撃だけを続けさせる。
「このっ」
「どうしました? 意外に動けるから驚きました?」
確かに武術の才能はないし、武器系のスキルは持っていない。
しかし、武器を盾にした防御はできる。
何故ならスライムを盾にして、スライムからの魔法やご主人様からのスライム投げを防いでいたからだ。
それでも盾スキルは生えなかったけど。
「いいでしょう。兵士にしてあげましょう」
「死んでも嫌」
「仕方ありません。死んで下さい」
「死んでも嫌」
再び魔力が揺れるも、呼吸から戦技はブラフだと判断してカウンターを繰り出す。
「くっ」
突き出された右手をかわし、右肩の付け根を逆に斬りつけた。
出血の量から傷は浅くないだろう。
「あなた……なぜ分かるのです?」
「何がですか?」
「私の攻撃です」
「勘ですよ」
「そう。言うつもりはないってことですか。では、言いたくなるようにしてあげましょう」
「サービスしてくださいよ?」
「痴れ者がっ!」
「どうして怒ってるのですか? 何かしてくれると言うから、サービスを期待しただけなのに……」
「私は誤魔化されませんよ」
「残念です」
それにしてもさっきから何か体調が変なんだよな。
「――え?」
周囲の魔素の動きや、クソメイドの魔力変化を注視して【魔力感知】を使用していたからか、体調の変化が進むまで気づかなかった。
「おや? どうしました?」
「変わった道具を使いますね?」
「ふん。今更気づいても遅いですよ?」
徐々に魔力を吸われていたらしく、魔力量は既に百を切っている。
これははっきり言って、かなりピンチ。
道具をなんとかするか、サクッと殺して範囲外まで逃げるか。
とりあえず、逃げてみるか。
「そうかな? 全力で足掻かせてもらいますよ」
川へは向かわずに再び森の中へ戻る。
クソメイドは待ち伏せをしていたわけだから、そのまま川に向かうのは不安しかない。
「待ちなさい」
「嫌ですーー」
こうしてクソメイドとのかくれんぼ大会の幕が上がるのだった。
結果は満足している。
しかし楽観はしていない。
何故なら魔力量の問題があるからだ。
最初に使った《魔力撃》の魔力消費量は一〇で、《魔力弾》は三〇だ。
属性弾もう少し多く、それぞれ五〇となっている。
眠れば回復するが、逃走中に眠れるはずもない。
さらに、王国の兵士をなんとか撃退したとしても、より危険な霊峰に魔力なしで挑むことは自殺と同じだ。
「逃げ切れるかな……」
可能ならこのまま逃げ切って、王国の兵士の相手は霊峰の魔獣達に任せたい。
「隊長の仇っ!」
「隊員はいいんかいっ!」
剣を振り被って斬り掛かって来た兵士に対してツッコミながらも、【転歩】を使って距離を取る。
まだレベルが低いせいで距離が短くぎこちないが、武術の才能がない俺が使える最速回避術だ。連発するしかない。
「クソッ! 学者じゃなかったのかっ!?」
「学者だよーー」
叫びながら再度走り出す。
そして追いかける兵士。
「嘘つけっ! 騙しやがってっ!」
「ホントだよーー」
「じゃあ……何で……《縮地》を……使えるんだよっ!」
走りながら喋るとか器用だね。
それにしても《縮地》か……。
知識様、教えて下さい。
「あぁ……戦技か」
武術系職業専用の戦技で、魔力を消費して短距離を瞬間移動できるスキルが《縮地》というらしい。
効果は似てるけど、【転歩】は魔力を使わない代わりに肉体に負荷がかかる。
それに戦技はどれも共通して予備動作が発動キーになった魔法のようなものだから、基本的に足を動かさず移動できるらしい。
すごい。羨ましい。
「これは違いまーす」
頑張れば誰でも習得できるはずだよ。
【歩法】から派生したスキルだからね。
「クソッ! 馬鹿にしやがってっ!」
「おいー、そんなに叫ぶなよー」
招かれざる客が来るかもしれないよ?
ここは森。
血の臭いが充満して興奮を煽り、騒音によって神経を過敏にさせているはず。
「グロォォォーーーッ」
「ほら来た」
狼かな? 俺が餌を用意しておいてあげるから、さっさと食べにおいで。
――《微風弾》
「ん? ――魔法だ」
「遅い」
再びの時間差三連射。
だが、今回は血を流させることが目的だから、不可視性と速度を優先。
二発は追跡部隊へ向けたが、三発目はおばさんの部隊に狙いをつけた。
「【索敵】」
よし。狼が迫ってきていることは確定し、おばさんの方にも戦力を分けたことが確認できた。
これで少しは圧力を減らせるかな。
俺も少し休みたい。
「副隊長っ! 左から森林狼が来ますっ!」
「クソッ! この忙しいときにッ」
「おい、マヌケ」
「はぁ!?」
狼の接近を確認するために視線を移していた男に声をかけ、こちらを向いた瞬間、袋に詰めておいたお馬さんの尿と体臭が付着した布を投げつけた。
「クサッ」
別に嫌がらせだけで投げたわけはなく、狼の標的になってほしくて投げたのだ。
これでお馬さんも浮かばれるだろう。
「殺す」
「ダメだろう? 連れて帰らなきゃ利用できないんだから」
「……」
「おや? 図星? 任務もこなせない部隊を残しておくほどキチ○イ王女は慈悲深くないと思うけど?」
「……生きていればいいんだよ」
「馬鹿だなー。そちらに選択の余地はないんだよ? 傷つける度合を間違えたら自殺してやるよ。死なば諸共。一緒に地獄に行こうぜ?」
「――はったりだっ!」
「なら、試してみろよ? あんたらの家族も無事だといいな? 僕を引き渡せなかった代わりに、奥さんや娘、それとも妹かな?」
「……何が?」
「慰みものに決まってるだろ?」
「させるかぁ!!!」
「じゃあ死なせないように注意を払わないとな? ――頑張れよ」
よし。休憩終わり。
可能なら水を飲みたいが、魔力の節約を優先するため我慢。
「捕縛準備っ」
「「「はっ」」」
あと四人か……。
「捕縛? 余裕あるの?」
ほら後の正面だーれだー?
「グルァァァッ」
「――え?」
そこそこ大きい狼が一人の首元に噛みつき、そのまま骨をかみ砕いた。
ゴリゴリと耳障りな音を立てて生きたまま餌にされている姿を、他の三人の同僚が眺めている。
え? 助けないの?
それならそれでいいけどね。
俺は逃げるし。
【気配遮断】と【隠形】を発動して、【転歩】で距離を稼いでいく。
「【索敵】」
うん、おばさんの方も交戦しているみたいだ。
俺が霊峰に駆け込むまで、そのままワンコたちと遊んでいたまえ。
◆
「ふぅ。あと少しだ」
森が途切れることはないが、霊峰との境に大きな川流れており、そこを渡れば霊峰へ入ったと言えるらしい。
この情報は、新しく入手した固有スキルの【地図】で知ったことだ。
今は川を渡れる場所を探している最中で、ついでに休憩の時間でもある。
が、世の中非常識な人はどこにでもいるから困ったものだ。
「――シッ」
「おっと」
アポなし訪問に加えて、物騒なあいさつときた。
「まったく。親の顔が見てみたいですよ」
「それは叶いません。あなたはここで死ぬのですから」
「おや? 殺したらキチ○イ王女が怒り狂うのでは?」
「殿下はキチ○イではないっ」
「さすが助手の鑑。素晴らしい忠誠心です。しかし、任務は捕縛でしょ? 殺してしまっては無能の烙印を押されてしまいますよ?」
「……構いません」
「あぁ。既に押されてしまった口ですか?」
「あなたのせいよっ!」
「何故みなさんは僕のせいにしたがるのでしょうね? 北方に向かう馬車を襲ったのは賊で、守れないくせに馬車に残れと言った阿呆はどうなりましたか? 半死半生で逃げ出し、部下は全滅だったのでしょ? そのまま残って死んでいたら、どちらにしろ北方への派遣も不可能だったわけですが?」
「報告ではあなたは襲われずに無傷で逃走したあります。賊を手引きしたのではありませんか!?」
「マジで言ってる? 倉庫に住まわせて、迷宮の出入りを監視していて、土地勘も情報もないのに、どうやって手引きすると思ってるんですか? 頭大丈夫ですか? 僕のせいにしたくて空想を現実にしようとしてません?」
どう報告したのか知らないけど、出会い頭に俺のせいにしてきた無能くんが言ったことだから、きっと支離滅裂だったのだろう。
「では! 何故無傷で、逃走できたのです!? 説明できないでしょ!?」
「保身しか頭にない無能兵士の言葉を信じすぎでは? 無能兵士が傲慢にも足を止めて応戦している間に、敵兵が少ないところを狙って駆け抜けただけ。そもそも護送のための護衛だろ? 応戦せず駆け抜けることを優先しろよ。基本的に王国の兵士は頭が弱いのよ。迷宮攻略とか侵略とかする前に、まずは脳ミソの訓練しろよ」
「もういいです。説明になっていないので、反逆罪を適用します」
「イッちゃってるーー」
初めて腰に差してある短剣を抜く。
「ふっ。学者がいっちょ前に」
「あっ、そうだ。暴動は起きましたか?」
「…………」
「そうですか。おめでとうございます。拍手を贈って差し上げます」
短剣を持ったまま手を打ち合わせる。
約束を果たせて感無量だ。
「あの騎士もきっと浮かばれることでしょう。彼のおかげであなたが賞賛されるのですから」
「死ねっ」
クソメイドは短剣というよりも大型ナイフを両手に持ち、的確に急所を狙って突きや斬撃を繰り返す。
時折魔力の揺れを感じることから、戦技や魔法を使いたいのだろう。
しかし、【魔力感知】で動き出しを読み取り、予備動作や詠唱開始を先回りして潰し、単調な攻撃だけを続けさせる。
「このっ」
「どうしました? 意外に動けるから驚きました?」
確かに武術の才能はないし、武器系のスキルは持っていない。
しかし、武器を盾にした防御はできる。
何故ならスライムを盾にして、スライムからの魔法やご主人様からのスライム投げを防いでいたからだ。
それでも盾スキルは生えなかったけど。
「いいでしょう。兵士にしてあげましょう」
「死んでも嫌」
「仕方ありません。死んで下さい」
「死んでも嫌」
再び魔力が揺れるも、呼吸から戦技はブラフだと判断してカウンターを繰り出す。
「くっ」
突き出された右手をかわし、右肩の付け根を逆に斬りつけた。
出血の量から傷は浅くないだろう。
「あなた……なぜ分かるのです?」
「何がですか?」
「私の攻撃です」
「勘ですよ」
「そう。言うつもりはないってことですか。では、言いたくなるようにしてあげましょう」
「サービスしてくださいよ?」
「痴れ者がっ!」
「どうして怒ってるのですか? 何かしてくれると言うから、サービスを期待しただけなのに……」
「私は誤魔化されませんよ」
「残念です」
それにしてもさっきから何か体調が変なんだよな。
「――え?」
周囲の魔素の動きや、クソメイドの魔力変化を注視して【魔力感知】を使用していたからか、体調の変化が進むまで気づかなかった。
「おや? どうしました?」
「変わった道具を使いますね?」
「ふん。今更気づいても遅いですよ?」
徐々に魔力を吸われていたらしく、魔力量は既に百を切っている。
これははっきり言って、かなりピンチ。
道具をなんとかするか、サクッと殺して範囲外まで逃げるか。
とりあえず、逃げてみるか。
「そうかな? 全力で足掻かせてもらいますよ」
川へは向かわずに再び森の中へ戻る。
クソメイドは待ち伏せをしていたわけだから、そのまま川に向かうのは不安しかない。
「待ちなさい」
「嫌ですーー」
こうしてクソメイドとのかくれんぼ大会の幕が上がるのだった。
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