怪物転生者は早期リタイアしたい~チートあるけど、召喚獣とパシリに丸投げする~

暇人太一

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第二章 シボラ商会

第三十一話 新入り

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『機嫌をなおせよルーゼ?』
「ふんっもうしらない」
『あと一週間の辛抱だからさ』
「どうせ私は役立たずのただの石像ですよーだ」

ルーゼは一度機嫌を曲げてしまうとなかなか立ち直ってくれない。
いっそのこと石像にしてしまおうか?

仕方ない。いつもの手を使うか。

『ルーゼ、これなんだと思う?』
「私の大好きな苺のショートケーキだ」
『しかも苺のスペシャル盛りだぞ?』

「じゅるり・・・美味しそう」

よだれが垂れてる。
相変わらずケーキの誘惑には勝ててない。
心はまだまだ子供である。

『一週間我慢すれば色々なケーキを食べさせてやるぞ?』

近くによせて匂いを嗅がせる。
首から下が石化してるのであと一歩が届かない。
まさに人参を目の前に吊るされた馬である。

「お願い食べさせてーーーーー?!
私我慢するからお願い?!」
『いい子だ。食べさせてやろう』
「幸せ。美味しいよシヅキ」


ルーゼは満足して眠ってしまった。
俺は魔石をボリボリ食いながら今後のプランを考えていた。
ルーゼは身体の大半が石化してしまって魔力の放出量が極端に下がっている。
今横取りしてしまうと意識を失い確実に石像に戻ってしまう。
慎重にならざるおえない。

世界樹大迷宮はアイクがニフィアの代わりに進めてもらっている。
前に見た迷宮核の大きさとこれまでの階層を考えて深くても50層程度だろう。
ユグドラシェルに聞くこともできるが大迷宮については自己進化、自動防衛が働いてるらしく詳細はわからなかった。
ルーゼとニフィアが加われば進軍スピードは跳ね上がるはずだ。






ルーゼは石化が中途半端に戻ってしまい動けずにいた。
『特製カレーライスだ。口を開けてくれ』
「あーん」
『美味しいか?』
「美味しいよ。ごめんね食べさせてもらって」
『気にするな』

ルーゼは約束通り大人しく我慢している。

『今のうちに黒絶眼のコントロールの練習をするぞ。
身体が石化している今なら反動もなく使えるはずだ。
黒絶眼の力は必要なものだけ受け止めてあとは俺に受け流せ。
お前は一人なんかじゃない』





石化して動けない私は訓練所に連れてこられた。

「アイク騎士団長すみません連れて来てもらって」
「ニフィア魔法士団がまたやらかしたらしいな。
重ね重ね申し訳ない」
『またとは?』
「前に回復ポーションと言われ飲んだら一日中腹痛に襲われたり、解毒薬が痺れ薬になってたり大変だったんだ」
『やっぱりあいつドジだったか?』


「滅ぼせ。破滅の邪眼」
「くぅう・・・」
『ルーゼ、俺に半分負担をよこせ』
「・・・楽になった。ありがとうシヅキ」

ルーゼがだいぶ使い方をわかってきたようだ。

『祈りの天眼と爆絶の神眼を解放しよう』
「新しい黒絶眼だ」
『祈りの天眼は対象の傷を癒やし状態異常を回復する天眼だ。
アイクがこれからニフィアの回復薬を飲む』
「いやー俺はちょっと・・・」
「団長そんなことを言わずに」
「最近疲れてるんでしょ?」
「貴様ら何を?!」
『既に俺が買収済みだ。身内の守りが弱すぎるぞ?』
「前より不味すぎる?!
ぐわぁあああ?!腹がぁああ?!」
『ちょうどいい具合に状態異常にかかったな』
「癒せ。祈りの天眼」

「腹が治った?疲れも引いていく・・・」
「うまくいったようだな」

『次に行くぞ。
爆絶の神眼は一点集中したところを爆破する魔眼だ。
より鮮明に爆発するイメージをするんだ。
俺がルーゼの魂空間でクソ犬を始末した時のようにな』

「爆ぜろ、爆絶の神眼」

『いい感じだ。
もう少し練習してみよう。
ということでアイクよ、もう一杯だ』
「やめろ?!ぬわーーーーーーーーー」



『今日はこのくらいにしよう。
魔力が底を尽きると意識を失って完全な石像に戻ってしまうからな』
「えー?!」
『今日はレアチーズケーキだ』
「はやくちょうだい。はやくー」

まるで今か今かと待ち侘びる雛鳥のようだな

『今食わせてやる。ほれ』
「はむっ美味しいよ」
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