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28 公開処刑2 ※R18
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※注 エログロ描写あり
「おい! 息子は関係ないだろう!」
将軍が叫ぶと、由貴妃はにっこりと微笑んで、民衆に向かって新しく連れてこられた彼の紹介をした。
「こちら菖李師団長。菖将軍の嫡子ですわ」
「や、やめろ、何をする気だ……!」
菖蒲に状況を問いかけようとするも、わなわなと震えていて、とても聞ける雰囲気ではなかった。
板に寝かされているのが菖蒲の兄ということは、今の由貴妃の紹介によれば、菖将軍は菖蒲の父親ということになる。
(そんな話、この三日間一切していなかったのに……)
何か言えない事情があったのか、あるいは言ってもどうにもならないと思っていたのだろうか。いずれにせよ、私達は目の前の光景を注視するのが精一杯で、何か話ができる状況ではなかった。
「そ。将軍のおっしゃったように、息子さんには直接の罪はないわ。でもね、今回は"将軍への刑"として、息子さんの存在が必要なのよ」
「どういうことだ」
「うふふっ。息子さんには、今から宦官になってもらいまぁ~す」
「……なっ!!」
舞台の声を聞くために静まり返っていた客席に、どよめきが広がる。「宦官にする」とはつまり、男性の一物を切除するということだ。今から、数万の民が見ている、この場で。
「将軍が私に盾突いた罰よぉ。ねぇ、手塩にかけて育てた息子が雌にされちゃうって、どんな気持ちかしら? この若さで師団長、ゆくゆくは将軍になることが期待されていたわよねぇ。将軍の刑は、まず目の前でその瞬間を見届けることよ」
先ほどのどよめきは収まり、逆に水を打ったようにしんとしていた。由貴妃の声が会場に響く。
「うふふ、それからね、今日は特別なお客様をもう一名用意してるのー。さ、連れてきて!」
由貴妃のその掛け声により、今度は縄で腕と胴体を縛られた若い女性が連れられてくる。その女性を見た途端、先程まで無言を貫いていた菖李師団長が、顔を上げて声を発した。
「おい、約束が違う! 妻には手を出さないと言っただろう!」
「心配しないで、奥様には何もしないわ。本当に、そこで見ててもらうだけよ」
あの女性は、師団長の奥さんだということだ。つまり、菖蒲にとっては、兄嫁にあたる。
それにしても、なんと惨いことを思いつくのだろうか。通常、宦官にする手術は密室で行われるはずだ。公衆の面前で、そして父親と妻の見ている前でそれを行うなどーーまた、父から見れば息子が、妻から見れば夫が、"そこ"を切られるところを間近で見せられるなど、並大抵の精神では想像もつかない。
私は震える菖蒲にかける言葉が見つからず、その手をぎゅっと握りしめた。
「菖李師団長。さすが、その歳で出世頭なだけあるわぁ……精悍な顔立ち、筋骨隆々なこの肉体、どこをとってもまさに美丈夫と呼ぶに相応しいイイ男ね」
由貴妃は彼に近寄り、その身体を撫で回した。
ビクっとした奥様を、両側の兵士が動かないよう押さえる。
「ねぇ、コッチの方はどうかしら? ……まぁ、さすがだわぁ。今から切っちゃうなんて勿体ないわねぇ」
帯をほどいて"そこ"を露わにした由貴妃は、感嘆の声を上げた。そしてそのモノへ手を伸ばし、上下に擦り始めた。
「……や、やめろ! やめろやめろやめろ!」
「んーっ! んんーっ!」
必死で師団長も抵抗するが、金具で固定された腕と脚はガチャガチャと音を鳴らすのみで、由貴妃の所業を止められない。
猿轡をされた奥さんの悲壮なうめきが舞台を覆う。
「あら? あらあらあら、凄い、凄いわ師団長! この状況でもこんなにそそり立って、本当に若くて精力に満ち溢れている身体なのね。それにしても、なんて立派なのかしら……長さ、太さ、硬さ、形、どれをとっても一級品ねぇ」
由貴妃は実に楽しそうに、手の動きを止めることなく大仰に叫んだ。涙を流してうめく奥さんに向かって、更に言葉をぶつけていく。
「私なんかの手で、勃たせちゃってごめんなさいね。でも、本当に美味しそう……ちょっと、いただくわ」
由貴妃は奥さんからよく見える位置をとって、師団長のモノに自らの口を覆い被せた。そしてわざと、ジュポッジュポッと水音を響かせながら、ゆっくりとそれを上下させた。
会場はしんと鎮まり、その音と、師団長とその奥さんのすすり泣く声が聴こえてくるほどだった。
誰も彼も、一言も発しなかった。
一般客も妃嬪たちも、そして私達も、多くは青ざめた顔をしてその壇上を見つめるしかできなかった。
「おい! 息子は関係ないだろう!」
将軍が叫ぶと、由貴妃はにっこりと微笑んで、民衆に向かって新しく連れてこられた彼の紹介をした。
「こちら菖李師団長。菖将軍の嫡子ですわ」
「や、やめろ、何をする気だ……!」
菖蒲に状況を問いかけようとするも、わなわなと震えていて、とても聞ける雰囲気ではなかった。
板に寝かされているのが菖蒲の兄ということは、今の由貴妃の紹介によれば、菖将軍は菖蒲の父親ということになる。
(そんな話、この三日間一切していなかったのに……)
何か言えない事情があったのか、あるいは言ってもどうにもならないと思っていたのだろうか。いずれにせよ、私達は目の前の光景を注視するのが精一杯で、何か話ができる状況ではなかった。
「そ。将軍のおっしゃったように、息子さんには直接の罪はないわ。でもね、今回は"将軍への刑"として、息子さんの存在が必要なのよ」
「どういうことだ」
「うふふっ。息子さんには、今から宦官になってもらいまぁ~す」
「……なっ!!」
舞台の声を聞くために静まり返っていた客席に、どよめきが広がる。「宦官にする」とはつまり、男性の一物を切除するということだ。今から、数万の民が見ている、この場で。
「将軍が私に盾突いた罰よぉ。ねぇ、手塩にかけて育てた息子が雌にされちゃうって、どんな気持ちかしら? この若さで師団長、ゆくゆくは将軍になることが期待されていたわよねぇ。将軍の刑は、まず目の前でその瞬間を見届けることよ」
先ほどのどよめきは収まり、逆に水を打ったようにしんとしていた。由貴妃の声が会場に響く。
「うふふ、それからね、今日は特別なお客様をもう一名用意してるのー。さ、連れてきて!」
由貴妃のその掛け声により、今度は縄で腕と胴体を縛られた若い女性が連れられてくる。その女性を見た途端、先程まで無言を貫いていた菖李師団長が、顔を上げて声を発した。
「おい、約束が違う! 妻には手を出さないと言っただろう!」
「心配しないで、奥様には何もしないわ。本当に、そこで見ててもらうだけよ」
あの女性は、師団長の奥さんだということだ。つまり、菖蒲にとっては、兄嫁にあたる。
それにしても、なんと惨いことを思いつくのだろうか。通常、宦官にする手術は密室で行われるはずだ。公衆の面前で、そして父親と妻の見ている前でそれを行うなどーーまた、父から見れば息子が、妻から見れば夫が、"そこ"を切られるところを間近で見せられるなど、並大抵の精神では想像もつかない。
私は震える菖蒲にかける言葉が見つからず、その手をぎゅっと握りしめた。
「菖李師団長。さすが、その歳で出世頭なだけあるわぁ……精悍な顔立ち、筋骨隆々なこの肉体、どこをとってもまさに美丈夫と呼ぶに相応しいイイ男ね」
由貴妃は彼に近寄り、その身体を撫で回した。
ビクっとした奥様を、両側の兵士が動かないよう押さえる。
「ねぇ、コッチの方はどうかしら? ……まぁ、さすがだわぁ。今から切っちゃうなんて勿体ないわねぇ」
帯をほどいて"そこ"を露わにした由貴妃は、感嘆の声を上げた。そしてそのモノへ手を伸ばし、上下に擦り始めた。
「……や、やめろ! やめろやめろやめろ!」
「んーっ! んんーっ!」
必死で師団長も抵抗するが、金具で固定された腕と脚はガチャガチャと音を鳴らすのみで、由貴妃の所業を止められない。
猿轡をされた奥さんの悲壮なうめきが舞台を覆う。
「あら? あらあらあら、凄い、凄いわ師団長! この状況でもこんなにそそり立って、本当に若くて精力に満ち溢れている身体なのね。それにしても、なんて立派なのかしら……長さ、太さ、硬さ、形、どれをとっても一級品ねぇ」
由貴妃は実に楽しそうに、手の動きを止めることなく大仰に叫んだ。涙を流してうめく奥さんに向かって、更に言葉をぶつけていく。
「私なんかの手で、勃たせちゃってごめんなさいね。でも、本当に美味しそう……ちょっと、いただくわ」
由貴妃は奥さんからよく見える位置をとって、師団長のモノに自らの口を覆い被せた。そしてわざと、ジュポッジュポッと水音を響かせながら、ゆっくりとそれを上下させた。
会場はしんと鎮まり、その音と、師団長とその奥さんのすすり泣く声が聴こえてくるほどだった。
誰も彼も、一言も発しなかった。
一般客も妃嬪たちも、そして私達も、多くは青ざめた顔をしてその壇上を見つめるしかできなかった。
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