【R18】月下の華は淫靡に拓く

佐伯 鮪

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※ハタチの角度やばい(語彙力)※

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※引き続き詩音一人称視点です。一応前話「詩音の悩み」と続いています。




――「私の子を、産んでくれるか」


 よく考えたら、いや、考えなくても、なんか凄い台詞。遥さまと私の子か......どんな子になるんだろ。身近に赤ちゃんいないからイマイチ想像つかないけど、ちっちゃい遥さまって考えたら―――


 あーーーだめだ、ぜったい可愛い。

 どうしよう、何があっても可愛い。

 笑っても怒っても泣いても可愛い。



「......詩音、おーい、詩音」


 名前を呼ばれ、はっと我に返る。
 彼が呆れた様子で、私の髪を撫でる。
 この行為も、私が大好きなことの一つだ。


「そなたは、考え事をしていることが多いのう。一体、何を考えていたのじゃ」
「そ、それは」


 貴方と私の赤ちゃんの、妄想を。
 さっき貰った台詞に浮かれているのがバレバレで、なんとなく言うのを躊躇った。



「先に言っておきます……はしたなくて、ごめんなさい」


 首を傾げる彼に、私は言葉を続ける。


「私、貴方が欲しくて堪らない。一週間も触れ合えなくて、身体がうずいて仕方なかったんです」

「……そんなの、私も同じだ」

「今夜は、私からしてもいいですか」


 返事を聞かずに、私は自分から彼に口を付けて舌を侵入させ、寝台の上で押し倒した。


「『私から』?」


 見上げる彼の表情から嫌がっていないと判断し、耳や首筋にキスをしながら帯に手をかけ服を脱がしていく。
 浮き出る喉仏、太く逞しい鎖骨、無駄な贅肉のない肩から胸……そのどれもが狂おしいほど愛おしく、指先で丁寧に確かめながら、至る処で唇を跳ねさせる。


 私の方がよっぽど盛りのついた雄みたいだと思いながら、止められない。


 自分も上半身を露わにし彼の身体にぴったりと重ねると、既に熱を持ってしっとりと汗ばんでいるのを感じ、きゅんとする。ただ肌と触れ合わせただけだというのに、私の胸の先端は勝手に尖って、そこからじんじんと熱を吸収していく。

 剥ぎ取った服を端に追いやり、もう一度唇を重ねる。

 上から見下ろす彼は、いつものオスらしいその時の顔と違って、めちゃくちゃ可愛い。


 男の人から女は、こんな風に見えているのだろうか――。



「はい。貴方を――食べてしまいたい」



 ようやくさっき投げられた質問に返事をして、既に硬くなった彼のそこに指を添わす。
 浮き出る血管、ちょっと握ったくらいじゃびくともしない頑丈さ、先端部の段差――そのどれもがこの後の快感を連想させ、自分の下腹部が勝手にきゅんきゅんと疼く。

 下から大きく舐め上げ、先端を口に含む。

 ぴくっと動いたに、私の何かが弾けた。


「ごめんなさい、いただきます」


 私は片手で彼のそこを支え、上から自分自身を下ろしていく。
 腰の力を抜くと、何もされなくても自ら潤いしたたった私のそこは、重力に任せてちゅぷんと音を立てて、一気に咥えこんだ。



 私が彼を、犯している。

 誰にも、絶対渡さない。


 私の腰の動きに合わせて息を弾ませる彼を上から眺めながら、湧き上がる支配的な感情に身を委ねた。



「……詩音、ごめん、ちょっと痛い」
「えっ」


 突然の訴えに、慌てて一旦引き抜いた。


「ご、ごめんなさい、私ったら、夢中で」
「いや、その、角度が…」
「角度?」


 一旦抜き取ったそこを見ると、彼のは、彼の上体の方向を向いている。
 私が騎乗位で直角に乗ってしまうと、本来の形よりも下に引き下げられてしまって痛くなってしまうようだった。


「詩音、おいで」


 上半身を起こした彼に呼ばれ、もう一度肌の張り付く距離へ近づく。


「こうしよう」


 彼の誘導で、座ったままの彼の上にまたがり、腰を落とす。
 すると、さっきよりも深く、より感じるところに突き刺さった。


 微笑む彼の顔を目の前にし、しがみつきながら自然に唇を重ねる。
 舌を交わらせながら私が身体を上下させると、どんどん泉が溢れだし、卑猥な水音を響かせた。


「これ、凄いです……」


 息も絶え絶えに私が言うと、嬉しそうな顔をして見せる。
 その表情に、余計にお腹がきゅうっと締まる。
 

 自分でも止められなくなり、肩につかまりながら腰を上下に動かしていく。

 彼は私の胸を揉んだり、お尻に爪を立てたり、首筋に噛みついたり、様々な刺激を与えてくる。

 私のリズムが安定してくると、その下がる瞬間に合わせて、下からぐっと突き上げられた。


「はぁんっ」


 脳天まで貫かれるような垂直の刺激に、背中が仰け反った。

 それ以降も、私の上下のタイミングと合わせて突き上げられ、ビリビリと頭が痺れていく。
 おそらくだらしなく口を開けた自分の顔が見えてしまっているのだろうが、そんなことは気にしていられない。

 白い靄のようなものが見えかかった私がリズムを速めると、ピークのところで今まで一番強く突き上げられ、靄がぱっと晴れて閃光が走った。


「はぁっ、あ…ふ…」


 力が抜けてようやく我に返った私を、繋がったまま愛しそうに見つめる瞳が目の前にある。
 気恥ずかしさに薄く笑うと、ちゅっと優しい口付けが施された。


「よう、さま……」
「詩音は、どうしてこんなに可愛いんだろうな」


 柔らかい、でも確かに鋭さのある顔をして、彼が私の側頭部を撫でる。


 私が喜ぶことを、ピンポイントで言ってくれて、してくれる。
 いつからこの人は、こんな風になったのだろう。


 私が余韻に浸ろうとしていると、まだそれは許さないとでも言うように、腰をぐっと掴まれ持ち上げられた。
 そのまま反対向きにされ、私が彼に背を向けて座る形で、再び挿入させられる。


「あぁ……」


 一度ほぐれたは、滑るように彼を飲み込み、私は感嘆の息を漏らす。
 じっくりと味わうように上下運動を開始すると、首筋を舐められ、胸を揉まれ、そして結合部分に手を添えられる。

 これは、この体勢は――ますます、やばい。


「詩音…気持ちいい?」


 耳元で荒い息とともに囁かれ、ますます思考をぼやけさせていく。


 挿入部に添えられた手は、今のところ動く気配はない。
 を期待してしまっている私は、本当に淫乱なのかもしれない。



「よ、よう…さま」
「ん?」


 腰を動かしながら、掠れた声で名前を呼ぶ。


「ほ、欲しいです。もっと、もっとぉ……」


 情けなくおねだりをしてしまう自分は、後から考えたら穴に入りたくなる位だろう。


「ダメ。だって詩音、すぐいっちゃうだろ」
「あぁん、そん、な」


 彼は両手を私の胸と局所から一旦外し、その動きを誘導するように腰を支えた。


「ようさ、まの…意地悪……っ」


 私が意識して自分の中に力を入れながら動かすと、支える彼の手の動きが少し早まってくるのを感じた。
 それを受けて、より速く、そして深く咥えるように、腰を動かす。


「……っ、ふ、詩音は、しょうがない子だ」


 ずん、ずん、と差し込む動きは変えずに、彼が私の秘部に手を近づける。


「耐えてよ」


 そう言って最も敏感な突起を指で摘みながら、反対の手で胸の方の突起もつねる。
 いつもより強い力だが、彼を求めてやまない私の身体は、その強さを歓迎してさらに昂ぶらせた。


「あっあっあっ」


 今すぐにでも受け入れてしまいたい快感をなんとかこらえるも、限界は近い。


「……う、詩音、いくよ、いい?」


 しばらく耐えた後、そう言われようやく意識を解放する。彼が突き上げる衝撃によって発生したおそろしく大きな波が、自分をさらって行った。

 
「あ、ああああああ……んっ」


 私が大きく身体を仰け反らせた勢いで、二人一緒に後ろに倒れこむ。
 結合したまま、まだとろとろと中に注がれているのを感じながら、肩で息をした。


 身体をずるっと横に滑らせ、彼の上から降りる。
 久しぶりに見る気がする正面の彼の顔と見つめ合ってから、もう一度キスをした。




。.。.+゜



 ふと目を覚ますと、まだ真っ暗だった。

 すぅすぅと眠る彼を起こさないよう、身体を動かさずに寝顔だけ見つめる。


(私って、こんなに淫乱な女だったのかな)
 

 先ほどのことを思い出し、かーっと顔が熱くなる。


 彼とたびに、もっともっとと情欲が溢れてきて止まらない。
 こんなに自分から求め、動き、欲しがるなんて、今までの私では考えられなかったことだ。


(……まぁ、比べるみたいだから、本人には言わないけどね)


 問われた時、「昔の男のことなんてほとんど覚えていない」と言った。
 事実、それはその時までそうだった。

 だが言われて思い出したというか、交わっていると「違う」と感じることが多々あった。


 なんでこの人は、こんなにも私の身体のことが、わかるのだろう。私を満足させてくれるのだろう。


 私がを捧げたの彼は、全然こんなではなかった。
 もちろん、自分も同等に未熟だったのだろうが、胸なんて力いっぱいガシガシと掴むだけ、指も洗濯機のようにグルグル掻き回し抜き差しするだけで、痛さしか感じなかった。それに、とにかくすぐに入れようとしてきていたことを思い出した。


(単に、個人差なのかなぁ。遥さまと初めてした時、彼が初めてっていうのも、嘘じゃないと思ったんだけど)


 彼がしようとするより先に、私の方が我慢できなくなってしまう。


(気持ちの問題なのか、よくわからないけど)



 答えは出ないけれども、今この幸せに身を任せていたいと、心から思う。


 私は横向きに寝ている彼のまぶたにそっとキスをして、その胸の中に潜り込んだ。
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