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第1章 ビキニアーマーができるまで
直接対決
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生徒会は、早朝から緊急会議を開いていた。議題はもちろん、ケルベロスについてである。
友依はケルベロスが学校の敷地以外で現れたことや、その特異な習性などについて報告した。神山の黒幕疑惑についても話したが、これは報告と言うより、憶測を述べただけに過ぎない。しかし、生徒会長の白鳥が興味を持ったのはそこだった。
「友依くんの話は実に興味深い。この件について皆の意見を聞かせてくれないか?」
会議には自衛団代表として、柔道部の剛田も参加していた。早朝稽古をしていた剛田は、柔道着姿のまま会議に出席していた。
「神山は以前から胡散臭い奴だと思ってたんだ! 俺ら柔道部をいつも下に見やがって。まったく許せねぇ! 神山を徹底的にマークすることに一票を投じるぜ!」
剛田はテーブルをドンッと叩いた。その反動で、剛田の腕の汗が周りに飛び散り、向かいの席に座っている友依のほっぺにかかった。
「うげー。最悪なのですー。ゴリラはバナナでも食って、大人しくしとけば良いのですー」
「何だとコラ! みすみすケルベロスを逃したような奴が偉そうなことを言ってんじゃねーぞ。お前こそ、そのやかましい口にバナナを突っ込んどけ!」
「下ネタ、最低ですー。ゴリラゴリラ」
「バ、バカ! 俺は、そんなつもりで言ったわけじゃ……。ちきしょうが!」
剛田と友依の相性は最悪だった。
こんなときでも会長の白鳥は冷静だ。周りに流されず自分のペースで会議を進めることができる男、それが会長の白鳥なのである。
「さて、異論は無いようだな。では、これより生徒会及び自衛団は、ケルベロスの見回り強化の維持に加え、神山先生の動きを徹底的にマークしていく!」
会議は終了した。しかし、生徒会室から出て行こうとする友依を、白鳥は呼び止めた。
「友依くん。確認したいのだが、笠原くんが神山先生から呼び出しをされた日は、さきほどの報告にあった通りで間違いないかね?」
「はいですー。雪ちゃん本人から聞いたので間違いないですよー」
「では、これを見てくれたまえ。今朝、友依くんが調べてくれた、神山先生の過去二ヶ月分のスケジュールだ」
「神山先生の黒幕説を裏付けるために作った資料ですね。それが何か?」
白鳥は神山が休暇を取っている日付を指差した。
「笠原くんが神山先生に呼び出された日、神山先生は身内の不幸があって学校には来ていない」
「およっ! 本当ですね……。私としたことが気づきませんでしたー。でも、雪ちゃんが嘘を言っていたとは思えませんし……」
「単純に、笠原くんが日にちを間違えて話していたとも考えられる。だが、もしも間違っていなかったなら、笠原くんは一体、誰と会っていたのだろうか……」
白鳥は、鋭い眼光を窓の外へ向けた。
✳︎ ✳︎ ✳︎
雪見は教師専用口で神山を待ち伏せていた。神山が生徒会にマークされる前に、本人から直接話を聞き出すつもりなのだ。
「神山先生、おはようございます。少しお時間よろしいでしょうか」
「俺は忙しいんだ。ガキの相手をしてる暇は無い」
「ケルベロスのことでお聞きしたいことがあります。これを見れば、先生の気も変わると思いますが」
雪見は水の入ったペットボトルを取り出し、神山の目の前でポーションに生成させてみせた。
「一度目は只のまぐれでした。ですが、昨晩、お風呂の中で成功するまで何度も練習したんです」
「生成魔法……か」
「やはりご存知なんですね」
「良いだろう。つきあってやる。だが、ここは目立つ。旧校舎までついて来てもらおうか」
──雪見と神山の直接対決が始まろうとしていた。
友依はケルベロスが学校の敷地以外で現れたことや、その特異な習性などについて報告した。神山の黒幕疑惑についても話したが、これは報告と言うより、憶測を述べただけに過ぎない。しかし、生徒会長の白鳥が興味を持ったのはそこだった。
「友依くんの話は実に興味深い。この件について皆の意見を聞かせてくれないか?」
会議には自衛団代表として、柔道部の剛田も参加していた。早朝稽古をしていた剛田は、柔道着姿のまま会議に出席していた。
「神山は以前から胡散臭い奴だと思ってたんだ! 俺ら柔道部をいつも下に見やがって。まったく許せねぇ! 神山を徹底的にマークすることに一票を投じるぜ!」
剛田はテーブルをドンッと叩いた。その反動で、剛田の腕の汗が周りに飛び散り、向かいの席に座っている友依のほっぺにかかった。
「うげー。最悪なのですー。ゴリラはバナナでも食って、大人しくしとけば良いのですー」
「何だとコラ! みすみすケルベロスを逃したような奴が偉そうなことを言ってんじゃねーぞ。お前こそ、そのやかましい口にバナナを突っ込んどけ!」
「下ネタ、最低ですー。ゴリラゴリラ」
「バ、バカ! 俺は、そんなつもりで言ったわけじゃ……。ちきしょうが!」
剛田と友依の相性は最悪だった。
こんなときでも会長の白鳥は冷静だ。周りに流されず自分のペースで会議を進めることができる男、それが会長の白鳥なのである。
「さて、異論は無いようだな。では、これより生徒会及び自衛団は、ケルベロスの見回り強化の維持に加え、神山先生の動きを徹底的にマークしていく!」
会議は終了した。しかし、生徒会室から出て行こうとする友依を、白鳥は呼び止めた。
「友依くん。確認したいのだが、笠原くんが神山先生から呼び出しをされた日は、さきほどの報告にあった通りで間違いないかね?」
「はいですー。雪ちゃん本人から聞いたので間違いないですよー」
「では、これを見てくれたまえ。今朝、友依くんが調べてくれた、神山先生の過去二ヶ月分のスケジュールだ」
「神山先生の黒幕説を裏付けるために作った資料ですね。それが何か?」
白鳥は神山が休暇を取っている日付を指差した。
「笠原くんが神山先生に呼び出された日、神山先生は身内の不幸があって学校には来ていない」
「およっ! 本当ですね……。私としたことが気づきませんでしたー。でも、雪ちゃんが嘘を言っていたとは思えませんし……」
「単純に、笠原くんが日にちを間違えて話していたとも考えられる。だが、もしも間違っていなかったなら、笠原くんは一体、誰と会っていたのだろうか……」
白鳥は、鋭い眼光を窓の外へ向けた。
✳︎ ✳︎ ✳︎
雪見は教師専用口で神山を待ち伏せていた。神山が生徒会にマークされる前に、本人から直接話を聞き出すつもりなのだ。
「神山先生、おはようございます。少しお時間よろしいでしょうか」
「俺は忙しいんだ。ガキの相手をしてる暇は無い」
「ケルベロスのことでお聞きしたいことがあります。これを見れば、先生の気も変わると思いますが」
雪見は水の入ったペットボトルを取り出し、神山の目の前でポーションに生成させてみせた。
「一度目は只のまぐれでした。ですが、昨晩、お風呂の中で成功するまで何度も練習したんです」
「生成魔法……か」
「やはりご存知なんですね」
「良いだろう。つきあってやる。だが、ここは目立つ。旧校舎までついて来てもらおうか」
──雪見と神山の直接対決が始まろうとしていた。
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