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森のかくれんぼ

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今日もこの時間がやってきた。
この時間といっても決まった時間があるわけではない。
だけど確実にその時が来たようだ。
聞こえる聞こえる聞こえる。楽しい声が聞こえる。
そして木々が伝えてくれる彼らが来たよ。
今日はどんな人たちかな。
楽しみ。
怖い。
私は高いところから静かに音のする方向を覗き込んだ。
確かに来た。
大きいのが2人に小さいのが2人。
1人は楽しそうに走り回っている。
もう1人はというと大きいのに隠れている。
何を怖がっているのだろう。小さいといっても僕はよりはずっと大きいくせに。僕らよりも長く生きているくせに。
気に入らないな。
堂々としてくれ。
この明るい世界に出てきてから。今日で、何日目だろうか。
縄張り争いにも疲れてきたところだ。
いっその事捕まってしまった方がいいのではないか。
聞くところによるととても待遇の良いところもあるらしい。
とても優しいものもいるらしい。
だけどやっぱり怖いな。
あいつらはどっちなんだろう。
あの走り回るやつには捕まりたくないな。
何をされるか分からない。

考えているうちに彼らがすぐ近くまでやってきた。

「いないね」
元気な小さいのが言った。

「簡単には見つからないさ。ほらあっちああいうところにいるもんだよ。」

僕の真下にいた彼らはさらに奥に進んで行く。捕まってあげても良かったのかもしれない。
だけどもう少しこの場所でいろんなものたちをみていたい。捕まるのはその後だ。

私がみているのはここにいるそのひとときだけで、彼らの素顔は知らない。
それでもここで彼らが見せる表情は様々で、見ていて退屈はしない。
時に罠を仕掛ける大きなもの、時にビビりながらついてくるものもいる。

彼らは数人でいることを好むらしい。私は1人でいた方が楽だ。
彼らはどうして群れるのだろうか。そう考えていたその時、二輪の機械が音を立ててやってきて数メートル先に止まった。
そこから1人の大きなものが降りてきた。
私の方を見つめている。
その目は今まで私がみてきた中で最も澄んだ瞳だった。彼は真っ直ぐに私のほうに向かってくる。
完全に私に気づいている。
逃げるべきかな。
柄にもなく私は考えた。
いつもならすぐに飛び立っているのに。
心のどこかでそろそろだと告げている。
どうせならより多くの世界を見よう。
彼ならいいと私の心がつぶやいた気がした。

私は彼の手の届くところまで降りた。

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